育成費
亮の顔つきは真剣になり踊っている
すべてのダンサーをチェックした。
「みなさん、ご苦労様です。
審査結果を発表は1時間後に行います」
亮は奈々子と部長の関口と三人で話し合いを始めた。
「これからプロダクションダブルウイングに
RRレコードジャパンの部所を作り彼女たちを所属させ。
一緒に育てていきましょう」
「はい、よろしくお願いします」
奈々子と関口は亮に頭を下げた。
1時間後に五十三人がステージに並ぶと
奈々子は三十人を発表した。
「以上三十人はダンサーの研究生として
無償で週2回ダンスのレッスンを受けていただきます。
その成果によってアーティストのライブ及び
プロモーションビデオのバックダンサーとして
出演していただきます。
ただしその間無断で3回欠席をした場合、
品行に問題があった場合はやめていただきます。
また、タトゥーは禁止です。その時もやめていただきます
問題なければ契約書に本人と
保護者のサインをしてください」
次に亮は朝倉美代子と潮田佳代子他十一人の名前を呼んだ。
「以上の十一名はこの後歌を唄っていただきます。そして
ダンサー志望十名は2週間後、
7月20日から2週間ハワイでの研修に出発、
優秀者はニューヨークで研修
ジャネットのバックダンサーとしてレッスンします。
レッスンについていけなかった場合は
1週間で帰国させます。
成果を見て専属契約をしていただきます。
帰りに仮契約書にサインをしてください。
成果によってはジャネットのバックダンサーとして
ワールドツアーに参加してもらいます」
それを聞いた十人が喜びのあまり声を上げて抱き合った。
「パスポートを持っていない方はパスポートを
早急に取得してください。
もしハワイ、ニューヨークに行けない方、
行きたくない方はここで手を挙げてださい」
亮は十人の顔を見てした。
「全員行けますね。ちなみに、
ダンスのコーチは日本語を話しません。
1週間で英語のヒヤリングの勉強をしてください」
それを聞いてがっくり膝を着く
ダンサー達を見て亮はニヤリと笑った。
「最初に名前を呼ばれた落選した人と研究生の方で
歌手志望の方いらっしゃいますか?
手を挙げてください」
すると全員が手を挙げた。
「分かりました、皆さん歌を聞かせてください」
亮そう言うと席から立ち上がった。
「亮さん、亮さん、美菜子歌に唄わせるんですか?」
五郎は妹の美菜子が十人に残されていた事に驚いて
駆け寄って亮に声を掛けた。
「ええ、そうですよ。彼女の歌が聴きたいんです」
「あいつの歌を歌っている所見たことないんですけど」
「大丈夫ですよ、踊り終わった後に
お腹で呼吸をしていました。声は出ますよ」
「お腹で呼吸?」
五郎は亮の言った意味が理解できなかった。
「はい、発声の基本はお腹から声を出すことです。
腹式呼吸の男性に比べ肺式呼吸に馴れた
女性はお腹から声を出すのが苦手なんです。
それを美菜子さんは」
「腹式呼吸をしている訳ですね」
「その通りです」
亮は五郎の言う事に頷いた。
「休憩中に美菜子さんを勇気づけてください。
緊張がとけて声が出ると思いますよ」
亮はステージの美菜子を見るとアサシオと仲良く話をしていた。
「あっ、必用ないかもしれないな」
亮はそう言い残し客席の後方にいる
紀子とめぐみのところに行った。
「紀子さん、めぐみさん話はどうでした?」
「はい、私も事務所を辞める事にしました。
でも仕事が9月まで決まっているのでどうしたらいいか・・・」
紀子は事の重大さに顔の血の気が引いて青白くなっていた。
「めぐみさんプロダクションとの契約書はありますか?」
「はい、所属契約書に署名捺印しました。ちょうど1年になります」
「契約内容と契約期間を調べてください。タレントの所属契約のほとんどは
一方の解約の希望がない限り自動的に契約を更新するというのが多いので
多分、紀子さんもめぐみさんもそれだと思います」
「もし、違約金の請求がされたらどうしますか?」
紀子は芸能人が何億もの違約金を請求された話を聞いて
それを怖がっていた。
「それはプロダクションの仕事の発注先から
違約金が請求されて時です。
とにかく辞める旨を社長に伝えてください。
売れっ子が二人辞めるのだから
かなりもめると思います」
「そうなんです。社長は問題が起こると
必ず弁護士を使うんです」
「どんな弁護士ですか?」
亮はいわゆる芸能界に巣食う強面の
ヤクザ弁護士を思い浮かべた。
「夫婦で弁護士事務所をやっている熊田さんという人です」
「あはは、それは良い」
亮は理沙の元夫の熊田と聞いて嬉しくて大声で笑った。
「どうしたの?亮」
「戦いましょう。弁護士費用は全て僕が出します」
「はい、お願いします」
紀子とめぐみが一緒に頭を下げ亮について行くことに決めた。
「ところでレッスン費用はただよね。三十人も大丈夫なの?」
紀子は自分が世話になる事務所の資金が気になって聞いた。
「もちろんです。これにはからくりがあって彼女たちには
スタジオDやブリリアンスショーの服を
1週間貸出してレッスンの時に新しい物と
交換するんです。あれだけのスタイルと
ルックスで踊りが上手となれば
学校や職場で人気者に違いありません」
「そうか、人気者が着る服なら話題になるわね」
「そうです、それでスタジオDから広告宣伝費をいただくんです」
「まさかその回収した服ネットオークションで
売るんじゃないでしょうね」
紀子が亮を怪しんで睨みつけた。
「はい、売りますよ。オークションじゃなくて
古着ですけどね」
亮は悪いことと思わず平然と答えた。
「別に女子高生の下着を売るわけじゃないし・・・」
「うふふ、それなら私の水着売りましょうよ。
高く売れるかも」
めぐみは自分の水着を売る事を提案した。
「それもいいですね。ただ水着は
オークション禁止なので他の物にして
売上は慈善団体に寄付しましょう」
亮は喜んでめぐみと握手をした。
「そんな使い古しを人に売るなんて嫌だわ」
「そうかなあ、自分の好きな人の
持ち物を欲しがるのは当然の心理です、野球選手はバット
プロゴルファーはクラブ、グラビアアイドルは衣装、
いいじゃないですか。
僕だってFカップのめぐみさんのブラを
部屋に飾りたいですよ」
「うれしい、じゃあ亮にお気に入りの水着を
あげるから部屋に飾って!」
「お礼に僕のTバックのビキニのパンティをあげます」
「きゃー、もっこりパンツ、私それでオナっちゃおう」
亮とめぐみは冗談を言い合って笑っていた。
「何を言ってるの?バカバカしい・・・亮、
それだけで彼女たちの育成費用出るの?」




