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誘拐

「そこまでおっしゃらなくてもいいのに・・・」

「いやいや、君には嘘は付けないよ、

すべて見透かされているような気がして」

真壁は絵里子の気を引こうとして

自分の女性関係を明かした。


「そんな事ありません、

私が見透かせない男性も居ます」

「ああ、例の男か・・・」

真壁は絵里子の言葉の端々に亮の事が出てくるので

気に入らなかった。


「では、明日の岡村幹事長のお嬢さんのいらっしゃる、

トランプホテルに9時でよろしいですね」

絵里子はそう言って立ち上がった。

「おいおい、もう帰るのか。せっかくだから私のホテルで

 飲み直さないか?」


「うふふ、そちらのお付き合いはできかねます、

それに祐希も居ますし 」

絵里子が首を横に振ると

真壁はため息をついて時計を見た。

「わかった、私はもうしばらくここで飲んでいく。気をつけて」


~~~~~

「おい、女達だけ出たぞ。パウラ、チャンスだ」

「はい」

サムに命令されパウラはレストランを出て外に居た

仲間を連れて絵里子と後ろに付いた。


「おい、姉さん達命が惜しければ黙って我々に付いて来な」

「はい」

絵里子は絢香を護るためも有って

危険回避の為に黙って後ろの男に従った。

絵里子達は3方を男に囲まれホテルの

玄関を通り過ぎ表通りに出よとしていた。


その向かいから小妹と蓮華と桃華が歩いてきた。

「やっぱり、絵里子さん達を誘拐するみたい。卑怯な奴」

真ん中の小妹が呟いた。

「小妹、レベルはいくつ?」

蓮華が小妹に聞いた。

「そうね、両腕骨折のレベル2」

「了解」

小妹の脇にいた蓮華と桃華が突然走り出し

絵里子の両側に居た男の股間を蹴り上げた。


すると男達の体は一瞬宙に浮き

股間を押さえて転がっていた。

小妹は絵里子の両肩に手を掛けて

絵里子を飛び越え後ろにいたパウラ

の肩に上に乗り足を首に絡ませ締め上げ後ろに倒し

気を失わせた。


「絵里子さん、大丈夫?」

「ありがとう、小妹」

絵里子は小妹に感謝を込めてハグをした。

「蓮華、桃華!」

小妹が二人の男を見ると股間を押さえたまま

気を失っていた。


「両腕を折る間もなく一蹴りでこのありさまよ」

桃華は相手があまりにも弱いので両手を広げた。


「絢香は?」

絵里子はロビン達に預けた絢香が気になった。

「あちらは大丈夫。ネズミ一匹は入れないわ、

 骨折で済めばいいけど・・・」


~~~~~

亮が帰り支度をしていると

亀山がCDを10枚持って来た。

「病室でハワイアンでも聞いてください」

「あ、ありがとう」

亮は亀山に突然CDを渡されて驚いていると

マリエがそれの一枚を手に取った。


「わあ、素敵。イズラエル・カマカヴィヴォレ大好き」

「有名なんですか?」

「うん、日本のおすもうさん以上に太っていて、

曙、武蔵丸、小錦も唄っていたわ」

「あはは、面白い聴くのが楽しみです」


そこにマリエの兄ケアカがレストランの中に入って来た。

「カラ、迎えに来た」

「兄さん、心配したのよ、電話が通じなかったから」

「ああ、すまないスマートフォンを家に忘れちゃって」

「じゃあ、メール読んでいないんだ」

「あっ、ああ」

ケアカはカニエラにスマートフォンを

取り上げられていた事を

隠していた。


「それがとてもいい話なの亮がね、お兄さんの・・・」

「はじめまして、カラ、いいえマリエの兄のケアカです」

ケアカはマリエの話しをさえぎって亮に挨拶をした。

「團亮です。マリエにはいつもお世話になっています」

「いいえ」


「亮さん、またいらしてください。お待ちしています」

亀山が亮に声をかけた。

「もちろんです。ところで機内食の方は?」

「レシピが30ほど出来上がりました、

後は冷凍のテストなんですが

 これは私の専門外なので・・・」


「了解です、それは僕の方で手配します」

亮が亀山に別れを告げるとケアカが

亮の乗っている車椅子を押した。

「カラ、俺が押すよ」

「ありがとう、兄さん」

マリエはケアカの優しさに感謝し

亮がケアカの船をツアーで使いたいという事を

早く伝えたかった。


「マリエ、まず亮さんを車に乗せるから手を貸してくれ」

乗用車と違ってSUVの車高が高いので

亮を乗せるのには一人では容易ではなかった。


亮がケアカとマリエの助けで後部座席に乗るとマリエは

車椅子をたたんでシートの後ろに載せて

スライドドアを閉めた。


すると、ケアカが急に車を発進させた。

「兄さん!」

マリエは自分がまだ車に乗っていないのに

走り出した事に驚き手を振りながら

車を追いかけた。


「亮!」

祐希はスマフォを取って絵里子に電話をかけた。

「ママ、亮が誘拐された」

「ロビンに連絡をして」

「はい」

祐希は妙に落ち着いている絵里子に違和感を感じながら

ロビンに連絡をした。


「祐希はとりあえずホテルに来てくれ」

「はい」

~~~~                             

「兄さん、なんて事を・・・」

マリエはケアカが何をしたか気づき

車のテールランプが遠ざかって行くのを見ながら

道路に跪いた。


~~~~~

何事が起きたか直ぐに察した亮は奥歯を2回噛んで

マイクのスイッチを入れると体を起こし

腕時計のGPSのスイッチを入れ

運転席のケアカに声をかけた。


「ケアカどこへ行くつもりですか?」

「すまない、ある人の指示で」

「そうですか、どなたかの指示ですか」

亮は冷静に腕を組んでシートに

深く座り直した。


間もなくケアカの運転する車は

住宅街の中で停車し亮の座っている後部座席の

スライドドアが開いた。

「降りろ!」

体格のいい色の黒い男が亮に声をかけた。


「降りたくても足が動かないんだけど・・・」

「クソッ!」

男は亮の手を引き肩に抱えた。

「おお・・・」

亮は子供の頃以来何十年か振りに人に抱えられたので

嬉しくて声を上げた。


「おい、それは何だ?」

脇にいた男が亮に話しかけた。

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