捜査会議
「それが仕掛けた犯人と爆弾を見つけたけど
爆破処理の運送中何者かに盗まれました。
中にシアン化水素が入ってとても危険です」
「本当!大丈夫なんですか?」
蓮華は驚いて聞き直した。
「危険ですね、警視庁が必死で探していますけど
直ぐに見つかるかどうか・・・、
マギー、蓮華、桃華、暗鬼の力を
借りなければならないかもしれません。
小妹と美喜さんはいつ帰ってきますか?」
「それは忍者の末裔の美喜さんの三度目の
訓練が終わり次第ね」
「なるほど、意外と早いかもしれませんね。彼女なら」
そこに森と伊藤早苗と菅野雪と野口麻実が入って来た。
「おお、お揃いだな」
森が久々に会うマギーと蓮華と桃華を見て言った。
「皆さんおはようございます。
今から捜査会議をしようと思います」
「あはは、捜査会議か最近変な事件が多いからな」
森は亮の周りで起きている事件あまりにも多いので
不思議に思っていた。
「はい、今朝も手首のない男の全裸死体が
見つかったばかりです」
「て、手首がないの?」
全く警察に関わったことのない
麻実は気持ち悪そうな顔をしていた。
「切断箇所にまったく生活反応がない
所から手首は死後切断され
指紋から身元が判明するのを遅らせる為かと思います」
「プロの仕業か・・・」
森が言うと亮がニコニコと答えた。
「はい、でも僕があまりにも優秀なので
身元は直ぐに判明してしまいましたけどね」
「自分で言うか!しかしどうやって?」
「まあ、それは色々と判断材料があって、
インモーとかあれの色とか・・・
インモーと言っても中国の映画監督じゃないですよ」
亮は交通課と言えど捜査を知っている
元警察官の早苗の問いに答えた。
「わかっているわよ、そんな事!それに
インモーじゃなくてイーモウだし」
雪と麻実は亮と早苗のやり取りを聞いて大声で笑った。
「今日の亮は何か乗りが違うわね。
全裸死体の霊が取憑いたのかしら?」
「言われてみれば何か腰の辺りの動きが・・・」
亮は腰を回し首を横に傾けた。
「そう言えば捜査一課の刑事に殺された人の霊が
夜な夜な枕元に立つそうだ。早く犯人を探してくれって」
「キャー」
おどろおどろしく森が言うと麻実が悲鳴を上げた。
「それは単に昨日の夜亮がやり過ぎただけじゃないの」
美咲がそう言って会議室に入って来た。
「確かに・・・」
亮がニヤニヤしているとマギーは亮を睨みつけ
脇腹にパンチを打った。
「うっ!」
「亮、佐藤幸雄の部屋から持ってきたお母さんお骨よ。
お墓に入れる約束をしたんでしょう」
美咲がバッグをテーブルに置いた。
「はい、わざわざありがとうございます」
「ううん、佐藤幸雄の部屋に
家宅捜査に入って持ってきただけよ。
裁判所の許可を貰うのに苦労したけどね」
「済みません」
亮は恐縮してお骨を受け取って頭を下げた。
「いいのよ、おかげで佐藤も素直に捕まったし」
「自供は?」
「まだ、口をつぐんだまま・・・」
美咲が首を横に振ると全員が
お骨と自供の話に興味を持った。
「さて、美咲さんも来た事だしそろそろ
捜査会議を始めましょうか」
亮は会議室のホワイトボードに自分が帰国してからの
事件を綴り始めた。
「まず、僕が帰国してからますマッスルカーブの
インストラクターの
労働ビザが発行されていませんでした。理由はわかりませんが、
これは美咲さんのお父さんに
法務省に圧力を掛けて話しが済みました」
「そうだったの?インストラクターの
労働ビザなんか直ぐに下りるはず」
雪が首を傾げた。
「次にマッスルカーブの従業員が脅されて辞めて行きました」
「完全に狙い撃ちだな」
森は狙われている亮を心配して腕を組んで言った。
「はい、間違いなく営業を妨害されています」
「早瀬恵里香さんを襲ったあの男は未だに
黙秘を続けている。黙秘を続け
ていれば当然暴行罪で起訴されるわ」
美咲はそう言って亮に男の写真を渡し
亮はそれをホワイトボードに貼った。
「どうもこの男の背景が見えませんね。
ブルーノに聞いたらアメリカのアラブ系企業からの買収を
断った問題が飛び火したんじゃないかって言っていましたけど」
「マッスルカーブってそんなに大きな会社なんですか?」
何も知らない麻実はスポーツクラブ如きで
大きな組織が動く事が不思議だった。
「マッスルカーブは全米1000店舗、ハリウッドのVIP専用ジムは
俳優や女優が役作りの為のトレーニングに来るし
ニューヨークなど大都市ではセレブの為の個人トレーナーの
自宅出張をしています。
フロリダ、ボストン、ロサンジェルスそしてミネソタには
陸上用トラック、競技用プール、体育館、テニスコート、
ゴルフ場、乗馬クラブ、野球場、
フットボール場、スケートリンクまである
大型施設があってプロ選手や
メダリストをたくさん輩出させています」
「そ、そんなに!」
麻実は目を丸くして驚いていた。
「はい、トレーニングマシンの製造会社、
プロテイン、サプリの製造販売会社、
トレーニングウエアの会社、
トレーニングDVD、本の販売会社、最近ではネット
パーソナルレッスンも始めていて関連企業が
12社もあります。アメリカでは
男はたくましくないともてませんからね。
みんなさんジムで鍛えています」
「それじゃあ、亮さんは日本でマッスルカーブを
成功させないとまずくないですか」
「あはは、そうなんです、絶対成功させないと・・・」
亮は麻実にズバリ言われると幾分気落ちしていた。
「わかった、その謎の男の背後関係を調べればいいんだな?」
「はい、その件なのですが、僕が入手した情報によると
組織がテロリストとして訓練した日本人に
テロ攻撃させると言う話なんです」
亮はそう言って美咲の方を見た。
「その情報を亮に聞いて公安部は調査を
始めているけど組織はまだ見つからない。
せめてあの男の身元が分かれば・・・」
「ねえ、この男日本人?」
蓮華が立ち上がって写真を見ていた。
「えっ?」
亮は蓮華に聞かれ自分の固定観念を払拭し
アイザックに言われた事を思い出した。
『奴らは白人や黒人は日本では目立つので
アジア人や日本人を訓練し
日本に送り込んでいる。注意しろ』
亮は写真を見て画用紙に絵を描き始めた。
「何描いているの?」
美咲が覗き込むと写真の男の絵をベースに描き加えていた。
「これがこの男の韓国人バージョン、
こっちが中国人バージョン」




