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ミニ作戦

「まさか・・・」

「團さん!」

栗田が亮を見つけ近づいて来た。

「栗田さん、こんばんは」

亮は栗田に直子を紹介した。


「昼間に続きまたお会いできましたね」

「ええ、すごい人の数ですね」

「ロシアがエネルギー輸出規制をしているので

 エネルギー産出国のオーストラリア

が俄然注目を浴びている訳です」


「なるほど、僕はこのレセプション今日知りました」

「本当ですか・・・まさか」

栗田は亮の元に今日まで連絡が無かった事に

首を傾げた。


「ウイルソン長官の来日で凄い人が集まっていますね」

亮は周りを見渡し岡村の座った席の方を見た。

「そう言えば岡村幹事長が見えていましたね」


「はい、岡村幹事長は野党とはいえ

政権奪還を狙っていますからね、

 それに元経済産業省大臣ですから太いパイプがあります」

「なるほど、でも僕には気がつかなかったみたいですよ」

亮は黒縁のメガネをかけて言った。


「それは團さん。タキシードを着たら

風格があってハワイの時とは

 まるで別人です」

「そうですか?そう言えばオーストラリアの天然ガス

 の新しい採掘の話があるそうですね」


「さすがですね、私どものグループ四菱鉱山が

 参画しようと努力しています」

ハリスアメリカ大使の周りも挨拶する

人々が多くなり亮は遠慮がちに立ち上がった


「亮、メガネをかけているから探すのに苦労したわ、

 直子さんが居たから分かったようなものよ」

美咲が亮と直子の席の間に立った。

直子がニコニコと笑っていると

栗田が美咲に会釈した。


「こう見えても、警察庁の警視なんですよ。

 そうは見えないでしょう」

亮が栗田に美咲を紹介した。

「け、警察官!」

栗田は美人すぎる美咲を見て驚きの声を上げた。


「原美咲です」

「四菱銀行の栗田です」

美咲が栗田に頭を下げると亮の耳元で囁いた。

「前の方には経産大臣、安倍事務次官、

経団連会長、石油連合会

 石油会社の社長、大物がたくさん来ているわ」

亮は石油会社の社長たちが座っている席を立ち上がって

眺めた。


「本当ですね、これでは警備も大変ですね」

「ええ、政治家なんかよりも彼らを護る方が大切だわ」

「えっ?」

栗田は警察官らしからぬ美咲の発言に耳を疑った。


「あはは、政治家にはSPが付いていますからね」

亮は慌てて美咲の発言の言い訳をした。

「まだ、時間があるわね。亮ちょっと外へ」

「はい」

美咲は会場の外へ亮を連れ出すと無線機を渡した。


「ちょっと手伝って、中の警備が手薄なのよ。

特に前の方は式典の邪魔になるから

人を立たせられないのよ。あなたの居る席ちょうどいいわ」

「いいですよ」


亮はイヤフォンマイクを耳の中に入れ

無線機を美咲に返した。

「美咲さん、何か喋ってください」

「テスト、テストこちらマリア」

「OKです、周波数が合いました」


「凄い!」

美咲は警察庁より最新機器を

持っている亮に驚いていた。

「ところで、式典のプログラムは?」

「経産省大臣の歓迎の挨拶、ウイルソン

環境エネルギー省長官挨拶そして歓迎セレモニーよ。

 経産省の事務次官も来ているから

何か話すかもしれないわ」


「なるほど、それセレモニーの出し物は

何をやるんですか?」

「和太鼓だって」

「和太鼓いいですね」

亮は和太鼓演奏者、林英哲のカーネギーホール

演奏以来のファンだった。


「それはそれ、女性の和太鼓よ。海外でも人気のある」

亮は和太鼓の演奏が聴けるのでご機嫌だった。

「ピストルの携行は?」

亮は一度でいいからジェームズ・ボンドの

ようにタキシードの下に

ワルサーPPKを携行してみたかった。


「ダメに決まっているでしょう。あなたは普段は

民間人の秘密捜査官Rなんだから」

「秘密捜査官Rいつから?」

「警視庁があなたの正体をしつこく聞くから

 出まかせで言ったのよ」

「秘密捜査官R・・小説になりそうです」

亮はその名前に満足していた。


「なるわよ、あなたの体験を書いたら、

それともスパイエロ小説がいい?

 そのいやらしく動く舌先と指、そして太い

あそこは武器になるわよ。うふふ」

「了解しました。今度は舌で戦ってみます」

亮は美咲に敬礼をした。


「あなたならやりかねないわ・・・

どうやって戦うか分からいけど。

ところでどうしてアメリカ大使の席にいたの?」

「今日はラルフ・スチュアートエネルギー省長官の

 代理で来ました。後でウイルソン長官の

 所へ挨拶に行かなくては行けません」


そこに突然ライトが消え、控え室から出てきた

ウイルソンと妻のソフィアはSPに前後を護られ、

その後ろにスタッフが付いてきた。

「随分派手な演出ですね。結婚式みたいです」

「奥様を目立たせたいウイルソン長官の希望らしいわ」


「美人ですね。それに上品です」

「ええ、なんかイギリスの名門の出身らしいわ」

「なるほど」

「それで、その後ろにいるのが奥さんの親戚の

シカゴの貿易会社コールドラインの経営者息子ジョージです」


「うん、知っている」

亮は無言でジョージに手を振った。

「あっ、ダン」

ジョージが亮を見つけると

駆け寄ってハグをした。

「しばらくだな、ダン」


「うん、みんな元気か?」

「この前ジェシーとニューヨークで会ったぞ」

「えっ!」

「なんか、取材で日本に来たいと言っていた」

「そうですか」


「ダンはEB-1-1優先ビザを取得したんだろう

 ジェシーが言っていたよ」

「うん、みんなのお陰でさ」

「そうだ、後でおじさんを紹介する」

「うん、ありがとう」

「じゃあ、後でな」


「へえ、彼と知り合いなんだ」

「ハーバード大学時代の友達です」

亮は美咲の問いに答えた。

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