レセプション
亮は智子の足元を見ると組んだ
足のつま先が微妙に揺れていた。
その行動つまり貧乏ゆすりは緊張感を和らげる行動であり
亮の前で智子が緊張するが変だった。
「そうですね、今度は不動産の仕事をやると思いますよ」
「本当!儲るの?」
「もちろん」
亮はわざと笑顔を智子に見せた。
「そう言えば小妹ちゃんは?」
「小妹は今、美喜さんと香港にいます」
「マギーや蓮華、桃華は?」
「今別な仕事で今忙しんだ」
「寂しいね。ボディガード役がいなくて」
「大丈夫ですよ、日本は治安がいい」
亮は昨夜京都であった事件を智子に隠した。
「そうね・・・」
智子は眉をひそめた。
「他に何か質問は?智子さん」
「ううん、彼が帰国したら連絡するわ。
そうだ亮、道玄坂46の麻衣のスマートフォンストラップあげる」
「あ、ありがとう」
亮はニコニコ笑ってスマートフォンにそれを付けた。
「えっ、亮は彼女が好きなの?」
直子は亮がファンと聞いて驚いていた。
「ええ、好きですよ。大人っぽくて」
「ぷっ!」
戸惑うことなく簡単に答える
亮がおかしくて直子は吹き出した。
「変ですか?彼女は僕と同じ年ですよ」
「そう言えばそうね」
直子は納得して笑っていた。
「さてそろそろ仕度をしないと・・・智子さん
ストラップありがとうございました」
亮は智子と別れてタクシー乗り場に向かった。
「亮、たまには治療院に顔を出して」
後を追ってきた直子は甘えるように
顔を近づけて言った。
「そうですね・・・行きます。行きます。
そうだ直子さん買い物に付き合ってください」
亮は突然直子を美宝堂に誘った。
丸の内から銀座に向かうタクシーの中で
亮は直子の耳元に顔を近づけた。
「直子さん、智子さんの様子変でしたね」
「ええ、以前の智子さんと違って
落ち着きが無かったわ」
「智子さんの彼氏、残念ながら
二井物産にはいませんでした」
「やっぱり・・・。多分智子さんは亮に
対抗意識を持って彼の仕事の嘘をついたのよ。
それとも彼に嘘をつかれているか・・・」
「そうですね、彼に嘘をつかれていないと良いんですが」
「男に騙されていたらかわいそう・・・」
直子は昔理恵の父親に食い物に
されていた智子が亮に救い出されて事を
知っていただけに、もう二度とそんな目に
あってもらいたくなかった。
「直子さん、智子さんは優しくて賢い女性です。
もう内村和行の時のような事には
なって欲しくないです」
亮は智子が心配で仕方が無かった。
「私が時々智子さんに連絡を取って彼の情報を取るわ、
男の正体が分かれば亮ならどうとでもなるんでしょう」
「はい、なんとでもします」
亮と直子は美宝堂に着き
スタジオDに千沙子を呼んだ。
「姉さん、直子さんに好きな服を選んで
貰ってください、支払いは僕で」
「えっ?」
直子は驚いて亮の顔を見た。
「治療院の運営を頑張ってくれているお礼です」
「あ、ありがとうございます」
「亮、今どこ?」
美咲から電話がかかってきた。
「美宝堂にいます」
「そう・・・国城の自供で知念を手配したわ」
「了解です。ありがとうございます。
詳しい話は明日にでも」
「レセプションは出ないのかしら?」
「なんですか?」
「7時からオーストラリア環境エネルギー省の
レセプションだけど行かないの?」
「招待は受けていませんけど」
「変ね、誰も声を掛けないなんて・・・父言って
何とかするわ。準備しておいてね」
「分かりました」
亮は電話を切って直子の顔を見た。
「直子さん、レセプションに行きましょう」
「えっ!」
直子はまた驚いていた。
「姉さん、今からオーストラリアのレセプション
へ行きますから、直子さんにイブニングを用意してください」
「あら、亮の所へ招待来なかったの」
「はい」
「変ね、羊毛商品の関係でうちには来ていたわよ。
お父さんが行く予定だわ」
そこにホワイトハウスのエマから
電話が有った。
「オーストラリア環境エネルギー省から
招待状来た?」
「いいえ」
「何かの手違いね、ラルフ・スチュアートエネルギー
長官の代理で行って欲しいの大使館から車を向かわせるわ」
「分かりました、僕の居場所は・・・」
「銀座美宝堂ね、あなたの居場所はいつも把握しているわ」
「分かりました」
「姉さん、タキシード」
亮は美咲に誘われて行くのでスーツで良いかと思って
いたがエマの指示で慌てて千沙子に言った。
「あなたのロッカーに入っているわよ」
亮は駆け足で更衣室へ向かった。
「まったく忙しいわね、あの子」
「はい」
「直子さん今日は奥様の役ね、頑張って」
「はい」
直子はプレッシャーを感じて返事をした。
「マギー、今どこ?」
「お父様とレセプションへ行くので支度中です。
亮さんは?」
「急に言われたので今着替えています」
「えっ、知らなかったの?」
「全然」
「てっきり知っていると思って、今日あった時
確認取らなかったわ、ゴメンナサイ」
「良いよ、間に合ったから」
直子がヘアメイクを終えて亮と腕を組むと
「綺麗です、直子さん」
「ありがとう、亮」
美宝堂の前には黒塗りのキャディラックが止まって
いた。
亮が近づくと運転手がドアを開け
スーツ姿の女性が頭を下げた。
「秘書官のグレース・長谷川です」
「よろしくお願いします」
亮が頭を下げるとグレースが直子の顔を見た。
「奥様ですか?」
「いいえ」
亮が言うとグレースが困った顔をした。
「それでは、婚約者の・・・」
「池田直子さんです」




