7 ネタ
小説を書くにあたって肝となるのは、やはりネタだろう。
そのネタを思いつくかどうかが人気になれるかどうかの違いかと思われるが、そんなことはない。
実はネタを考えるのはあまり難しくない。
ネタと言っても、これって面白そうと思うものを形にすればいいのだが、その面白いがなかなか思いつかない。
しかしながら、これにはちょっとした簡単な方法があったりする。
ネタと言うのは、普通とはちょっと違う要素。
つまりは現実的かつ、現実とはちょっとずれている感じの要素である。
どういうことかと言うと、我々が普段日常であまり体験しないが、現実にありえそうな事柄である。
例えばホラー。
幽霊とかゾンビは非現実的なネタではあるが、ストーカーや殺人事件など、実際にありえそうなことをネタにすると怖さが倍増する。
まぁ、これは極端な話ではあるのだが、現実感が増すと恐怖は増えるのだ。
実際に起こった事件の話をまとめた記事を読んだりすると「怖い」ってなったりすると思う。
具体的には「ヒグマのアレ」とか「甲府盆地の風土病」とか「人民寺院」とか「北九州のアレ」とか(実際にググってみたけど、このワードで記事がヒットします。調べる際は自己責任でお願いします)
他にも「ルワンダ内戦」「民族浄化」「文化大革命」「大躍進」「大粛清」「ホロコースト」など。恐ろしい事実をまとめた記事がぞろぞろ出てくる。
実在したシリアルキラーの話なんかも、話を聞いてみると「怖い」ってなる。
これらは現実に起こった事柄だ。
だからこそ、「怖い」ってなる。
ホラーはフィクションだから、安心して見られるのだ。
現実に起こった事件はホラーの恐怖を軽く凌駕する。
すこし話がそれてしまった。
つまりネタとは現実的であればあるほど、面白いと思ってもらいやすいのだ。
では、現実的かつ、日常には起こりえないネタとは何か。
実はこれ、割と簡単に作れるのである。
その方法は「相反する属性を組み合わせる」ただそれだけ。
相反する属性は、ありえない二つの事柄を組み合わせることで作れる。
そう難しく考える必要はないのだ。
要は普通だったら結びつかない要素を二つくっつけるだけでいい。
例えばこうだ。
中年男性と中年女性が不倫する話。
というのは大して興味を惹かれない。
何故なら普通だから。
しかし、「中年男性と女子高生」もしくは「中年女性と男子高校生」の不倫であれば、少し面白くなる。
中年男性と交際する女子高生は非現実的である。
そこに金銭などの要素が絡むと途端にその非現実性が失われてしまうが、「純愛」や「両想い」などの要素を付け加えることで非現実性を維持できる(作者は成人と未成年の恋愛を推奨しているわけではない、念のため。
これをもっと非現実的にするとしたら……。
「息子が隣の家の奥さんと不倫している事実をネタに、不倫相手の娘が交際しろと俺を脅迫してくる」
……とかにすると、小説のネタになるかと。
書いてて意味が分からないが、非現実性と日常性が混じった感じのネタになった。
まぁ……常識的に考えてありえないのだが。
それでも「チート」や「異世界」や「世界最強」よりもずっと現実感があると思う。
とまぁ、割と無理やりな感じではあるが、本来結びつくはずのない「中年男性(もしくは女性)」と「女子高生(もしくは男子高校生)」という要素が結合(おい)すれば、物語のネタとしては「面白く」なるのだ。
これを普通の恋愛にするにはどうすればいいのか。
簡単である。
パートナーに「本来であれば結びつかない要素」を属性として付与すればいい。
例えば「超絶美少女な幼馴染が俺を毎週ダムへ連れて行く」とか。
ダムと美少女という、本来であれば結びつかないような要素をくっつけることで、どこか非現実的に思わせることができるのだ。
商業作品で言えば「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」だろうか。
「妹」と「エロゲー」という結びつきにくいような要素をくっつけることで、興味を惹きつけるような作品になっている気がする。
現実的な観点から物事を見るのはつまらない。
しかし、それに非現実的な要素を付け加えることで、物語はグッと面白いものになる。
リンゴをリンゴと認識するのは当たり前。
リンゴに毒を塗ってもそれはただの毒リンゴだ。
毒リンゴを食べた白雪姫が眠りにつき、王子様のキスで目覚めることによって、物語はファンタジーになるのだ。