41 ホラーは小説に向かない?
ホラーは小説と相性が悪いとの言説を目にして、んなはずねーだろって突っ込んだたらこです。
ですが、ウェブ小説に限ると確かにと思う。
ホラーを何作か書いた身として、何故そう思うのかをお話したいと思います。
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これは一個人の感想でしかないのですが、ホラーって長編向きじゃない気がするんですよね。
どちらかというと短編の方がウケが良い気がします。
なぜ短編なのかというと、怖い状態って長続きさせるの難しいんですよ。
ほら、エロ小説とかで濡れ場を書くじゃないですか。でもずっと濡れ場だと読んでる方も疲れちゃうでしょ。
だから盛り上がるシーンで濡れ場を入れないといけない。
それと同じで、ホラーも盛り上がるシーンで怖い状態に持って行った方がいいと思うのですけど、長編だと怖がらせポイントをどこにするか迷うんですよねぇ。
これは単純に書き手の実力もあると思います。
実力のある作家さんなら高い構成力で、怖いシーンを適度に挟んで、文庫本一冊分の長さでホラーを成立させられると思うのです。
でもこれがウェブ小説となると……ちょっと不利かもしれませんね。
ウェブ小説って閲覧媒体がスマホなどの電子端末であることが多く、読んでいる時間も通勤通学の合間や、休み時間などのちょっとした隙間時間であることが多いからです。
ちょっとした時間で読むとしたらライトな作品が好まれる気がしますね。
たらこ自身もホラーを書きますが、ほとんどが短編です。
長編設定だとポイントの伸びも悪い気がします。
なろうで検索したところ、ホラー作品は全部で32,556作品ありました。
そのうち短編は24,026作品。
いかに短編が多いかが分かりますね。
ちなみに長編の完結作品は全部で4,499作品。
そのうちで10万文字未満の作品は4,023作品でした。
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話を戻して、ホラーは小説では不利との言説。
その主張の一つに絵がないからというのがありました。
さすがにこれには笑いましたね(にっこり
絵がついてたら怖さが倍増するかというと、違います。
エイリアンやプレデターって、恐怖の対象が明確に描写されてるじゃないですか。
確かに恐怖を与えることを目的とした映画かもしれませんが、たらこが思うホラーとはちょっと違うかなって。
同じ理由でゾンビとか幽霊が恐怖の対象であっても、明確に描写してしまった時点で、なんか違うって思ってしまいます。
ホラーはあえて恐怖の対象をぼかすというか、想像の余地を残すのがベターだと思うのですよ。
でないと怖さの底が知れてしまうんですよね。
底が見えない井戸って、覗き込むと絶妙な怖さを感じるのです。
ここから落ちてしまったらどうなるのか。底には何が沈んでいるのか、何が潜んでいるのか。
見えないからこそ、想像力が掻き立てられ恐怖を覚えます。
でも水が枯れて底が見えていたら?
それはもうただの枯れ井戸なのです。
落ちたらすごく痛いし、死んじゃうかもしれないな~。って思って終わり。
危険な場所で感じる恐怖と、何があるか分からない場所で感じる恐怖は別物。
前者は近づかなければいいだけ。
後者は自分自身の中から無限に恐怖心が湧いてきます。
井戸が枯れてしまわない限り。
恐怖の対象を可視化したところで、恐怖心が倍増するかというと、違うというのが結論です。
恐怖の種類が変わるだけなんですよねぇ。
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他にも音がないとか言われていますが、擬音で表現しなかったとしても、その場の状況を臨場感あふれる描写で表現すれば自然と音が聞こえるものです。
まぁ、これは一部の読者に限ると思います。
文章だけで音が聞こえないという人は、ホラーは小説以外の媒体で楽しむ人が多いかもしれませんね。
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特に反論するつもりはないのですが、こうして書いてみると「それは違うよ」って言ってるみたいですね。
まぁ、実際にそのように書いているわけですが。
ですがここに書いたのはあくまで「一個人の感想」でしかありません。
ホラーについて個人的に思っていることを書いただけ。
それ以上でも、それ以下でもありません。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。