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40 ここらでちょっとひと休憩

 バリバリ創作系エッセイを書いていると、ちょっと頭を休ませたくなります。

 ということで今回は何でもないお話でもしようかなと。


 そうですね。

 これはたらこが子供の頃のお話。


 動物園に行ったことです。


 その日はとても寒い冬の日でした。

 動物園にペンギンさんがいたのですが、その近くに小さな水槽があったのです。

 水槽には何もおらず、ただ水が溜まっているだけでした。


 結構、きれいな水だったと思います。

 円形のプールのような水槽で、周囲にはベンチがついていました。


 たらこは何を思ったのか、そのベンチに乗り出して水槽の氷を手に取ったのです。


 そしてそのまま氷をカプリ。

 口にしてしまいました。


 今思うとなんて衛生的に危ないことをしていたのでしょう。

 おいしそうにぺろぺろ氷をなめるたらこを、笑って見守る両親。


 いや……止めろよ。


 水槽に張っていた氷なんて、何が入ってるか分かったもんじゃない。

 口にしただけでお腹を壊すと思うのですが、特に体調を崩した記憶はありません。


 そして何故かハッキリと覚えて言える氷の触感。

 手に持った氷の形と、冷たさと、口に入れた時の感触。

 今でもはっきりと思い出せます。


 なんでこんな微妙なことを覚えているのか、自分でもよく分かりません。

 ですが氷の形や冷たさや味は、忘れずに頭の中に記憶として残っています。


 多分、脳が勝手にあいまいだった記憶を補完しているのだと思います。

 でないとここまで鮮明に思い出せるのはおかしいと思うのです。


 あっ……もしかしたら。


 あの後お腹を壊して、ひどい目にあったのかもしれません。

 苦しい想いをしたからこそ、たらこの脳はこの記憶を残そうとしたのかも。

 だとしたら……これは生存本能なのかもしれない。


 二度とそこら辺の氷を拾って食べてはいけないという戒め。

 肝に銘じるのです。



 ◇



 その辺に落ちているものなんて、誰も口にしないと思います。

 ハンバーガーやおにぎりが転がっていたとしても、ラッキーって手に取って食べたりはしないでしょう。


 でも、それはなぜなのか。


 周囲の環境がそのように思わせているのかもしれません。

 赤ちゃんは自分のウンチの匂いをいい匂いと感じるそうです。でも周囲の人から、それは嫌なにおいだと教わることで、ウンチの匂いを不快な物ととらえるようになるとか。


 それと同じで、なんでもかんでも口にしてはいけないと、周囲の大人が教えることで、子どもは落ちている物を拾って口に入れなくなるのかもしれないですね。


 いまちょっと調べてみたら、子どもが口に入れてしまうのは学習行為の一環なのだそうです。

 口にしてみることで食べられるかどうかを確かめているのだとか。


 つまり……たらこの両親は学習させるために、あえて氷を口にするたらこを止めなかった?!


 ……んなはずないな。

 多分何も考えてなかったんだと思う(とおいめ


 でも、今でも氷の感触を覚えているのは、その時の止めなかったからなんだよなぁ。

 この記憶に意味があるとしたら、いったいどんな理由からなのだろう。


 自分の頭の中に残る記憶について、疑念をぬぐい切れないたらこなのでした。

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― 新着の感想 ―
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