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30 小説を閉じる

 前回のエッセイで小説を閉じることについてちょろっとお話したのですが、どういうことなのか具体的にお話をしたいと思います。


 小説を閉じるというのは、風呂敷をたたむことです。

 物語の中で伏線を回収してキレイに物語を終わらせることを、広げた風呂敷をたたむというような言い方をすることがあります。

 お話の規模を大きくしたり伏線を張ったりすることを、風呂敷をひろげるとも言います。


 物語を続けていくうちに、だんだんと世界観が広がっていって、人間関係も複雑になってと、お話の規模が広がっていくさまが、あたかも風呂敷をひろげているような感じに見えるのかもしれませんね。


 さて、物語を閉じるというのはどういうことなのかというと、単純に終わらせればいいってわけじゃないんですよね。

 物語にちりばめた様々な要素を拾い集めて、物語の終盤できちんと全部回収して見せて、はい終わりましたよーって読者さんにお見せする。

 物語を読んだ人が、この物語は最後のこのシーンの為にあったんだなぁと、しみじみ実感できるような終わり方。


 うーん。

 できる気がしない。


 ハードルを上げ過ぎている気がするのです。

 名作映画や、名作漫画のように、大勢の人から読んでもらって、沢山の評価を得て。

 そんな夢みたいな妄想をしているから、いつまでたっても進歩しない。


 とほほ。

 自分のダメダメ加減にげんなりするのです。


 でもまぁ、終わらせようとすれば、終わらせられる。

 打ち切りエンドであればすぐにでも完結にできますからね。


 打ち切りなんていやだー!

 心の中でもう一人のたらこが叫びます。


 でも見事に全部をまとめ切るような、素晴らしい物語を書く実力もない。

 ではどうすればいいのか。


 答えは簡単です。

 物語をダイエットすればいいのです。


 これねぇ。

 活動休止の間ずっと脳内でこの作業をしていたのですよ。


 今書いている(休止中だけど)連載小説を終わらせるにはどうしたらいいか。

 頭をひねって出した答えがこれだったのです。


 壮大になりすぎた物語を大幅にダイエットして、何とか今の自分でも終わらせられるような長さに整える。

 具体的にどんな風にダイエットしたのか、列挙していきたいと思います。




 1 過剰な設定の削除


 物語を作るにあったって様々な設定を付けくわえるかと思いますが、設定が増えればそれだけ物語のボリュームも増えるわけで。

 書くのに必要な文字数もどんどん増えていきます。

 なので、不用意に付け加えてしまった設定を無かったことにして、大幅にプロットを変更しました。


 といっても、すでに書いてしまった部分は削除せず、後から出す予定だった設定に関しては見送りにしました。

 もったいない気もしますが、書かないで放置するよりもマシです。


 設定が軽くなることで、物語を書くのに必要なコストも削減できるわけですから、完結がずっと近くなると思うのです。

 実際、不用意に付け足してしまった設定について、どのように回収するのか道筋が建てられていなかったので、これでかなり気が楽になりました。


 このキャラクターの正体が実は……とか。このキャラクターにはこんな過去が……とか。

 特にキャラクターに関する設定の削除を進めました。


 結果、大幅にプロットを短縮することに成功したのです。




 2 物語をショートカットする


 予定していたイベントをすっ飛ばして、その後のイベントに無理やりストーリーを繋げる作業です。

 そんなこと可能なのかと疑問に思われるかもしれませんが、結構できるんですよ。


 具体的に言うと、敵の街を攻略するイベントがあったのですが、その街の攻略イベントそのものをすっ飛ばすことにしました。

 別になくても大丈夫だと分かったので。


 なぜ大丈夫なのかというと、その町は後で敵が攻めて来て撤退する予定だったのです。

 なので結果としてはあまり変わらないことに気づいたんですね。


 加えて、前項で述べた設定の削除も関係していて、その街を攻略することで物語の核心に迫る! なんて息巻いてプロットを作成したのですが、その核心部分の設定そのものを無かったことにしたのです。

 つまりは物語を大幅に簡略した結果、その街へ行く必要性がなくなってしまったわけです。


 この街へ行かなくなってよくなっただけで、かなり気持ちが楽になりました。

 物語としては一章分の内容になりますが、なくても成立すると自分自身で理解することで、モチベーションがかなり上がったと思います。


 プロットを書いている時は特に気にならなかったですが、実際に書いていると、物語を書くことの大変さが身に沁みました。

 早めに終わることに越したことはないのです。




 3 キャラクターの整理


 これねぇ。

 酷いと思うのですが、何人かのキャラクターに死んでもらうことにしました。

 と言ってもほとんど主人公と敵対するキャラクターなんですけど。


 何人も出してしまったキャラクターですが、敵が増えれば増えるほど、戦闘シーンも増えるわけで。

 なので、さくっとお亡くなりになってもらうことで、戦闘シーン自体を減らすことにしたわけです。


 あとまぁ。

 敵が増えると、なんかこう物語が複雑になるというか。

 書くべき事柄が増えて脳内がわちゃわちゃしちゃうんですね。


 だからキャラクターを削減して、できるだけ執筆時にかかる負担を減らしたいと考えたわけです。


 キャラクターが増えればそれだけ物語のボリュームも増えますからね。

 これは本当に身に染みて実感しています。


 長編を書く時はプロットを綿密に練って、登場するキャラクターが本当に必要かどうか精査するべきだと思いました。

 一人でも登場人物が増えるだけで、大幅に物語の内容も増えます。キャラクターを作っている時はとても楽しいのですけど、物語を閉じる要素が増えて書くのが大変になることを考えると、キャラクターの追加は慎重になった方がよかったなぁ。



 ◇



 こうして書いてみると、かなり大胆なことをしたと思います。

 まぁ、まだ全然書いてないわけですが、少しずつ前へ進んでいる気がするので、そのうち何とかなるのではないでしょうか(おいおい


 でも何もしないよりましって言うね。

 コツコツと少しずつ自分のペースで頑張るのです。



 ◇



 物語を閉じる大変さに気づいたのは、やはりプロットを沢山書いたからでした。

 物語の終盤に進むにつれて筆が進まなくなる自分がいる。


 物語に沢山の要素を増やし過ぎると、それだけ閉じるのが大変になるのです。


 んなこと、少し考えれば分かると思うのですが、たらこには分かりませんでした。

 なぜなら書くことそのものが目的になっていたから。


 物語を書くのってとっても楽しいんですよねぇ。

 でもそれを閉じるのってすごく大変。


 ダンジョンおくりびとを書いていた時もそうでした。

 閉じるのにめっちゃ苦労した。

 10万文字程度の長さの物語なんですけどね。


 いろんな要素を束ねて物語を完結に導く。

 これはとても大変な事なのです。

 これができる人は本当にすごいなって思います。


 短編を沢山書いたので分かるのですが、長編を閉じるのと、短編にオチを付けるのって、ちょっと違うんですよね。

 なかなか言葉にするのはむつかしいですが……なんか違うって思ったのです。


 一筋縄にはいきませんが、これからもコツコツ頑張るしかないのです。

 そう思うたらこなのでした(ちゃんちゃん

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何人かのキャラクターに死んでもらうことに… 吹きました笑 制作の裏側って、作者は大変だけど聞くのは楽しいです。 ありがとうございました
[良い点] すごく参考になりました! 物語のダイエット!そうだよね~。そうだよね~。 私も今、壮大な群像劇で「どないしたもんか」と悩んでいたので、そうだね、そうしよう~と笑! あと、各章の中で伏線を…
[一言] 物語のダイエットの仕方、とても参考になりました。 私は今のところ、長編も10万字強のものまでしか書いていないので、おおよそ書くべきことは書ききって終えているのですが、キャラクターが多ければ多…
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