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第117話 一件落着?

「つーわけだから鬼束パイセンもこっからは一緒だからっ」

「なんか悪いね。俺コーヒー飲んだらすぐ退散するからさ」

俺は岡島に頼まれ、少しの間だけおそろしくきれいなキャバ嬢二人とファーストフード店で時間を潰すことになった。


「全然いいって。鬼束パイセンさん、よろ~」

「つうか鬼束パイセンさんって年いくつ~?」

「二十四だけど」

「え~、二十四だって。超普通じゃ~ん」

「マジウケる~」

けらけらと笑うキャバ嬢たち。

岡島によるとこの二人のうちのどちらかが岡島の命を狙っているらしいとのことだが。

ちなみにテーブルを挟んで対面に座っている子がアカリで、斜め前に座っている「ウケる~」が口癖の子がキララという名前なんだそうだ。もちろん本名ではないのだろう。


俺はすでに読心呪文と悪人感知呪文を発動させている。

それによると二人からは微弱な悪人の反応を感じていた。

ただ正直これくらいの人間は街を歩けば結構みつかるので即断罪というわけでもない。

そして心の中で何を思っているかということについてだが――


「二人は岡じじゃなかった、翔のことどう思ってるの?」

訊いてみると、

「超好き~、超大好き~」

(超好き~、超大好き~)

「あたしも翔くん大好きだし~っ」

(あたしも翔くん大好きだし~っ)

二人揃って嘘偽りなく岡島のことが好きなようだ。


やっぱり岡島の思い違いだろう。

俺はそう結論付けてアイスコーヒーをごくごくと一気飲みする。


(だからキララにとられるくらいなら翔くんはわたしが殺す!)

(だからアカリにとられるくらいなら翔くんはあたしが殺す!)


「ぶふっ!?」

「ちょっ、どしたんすか鬼束パイセンっ。いきなりコーヒー吹かないでくださいってマジでっ」

「いや、悪い。二人も悪い、かからなかったっ?」

「わたしたちは平気っすよ~」

(なにこの人、超ヤバめだし~)

「ぜんぜ~ん」

(変な奴。翔くんの知り合いじゃなかったら絶対ないわ~)


「岡島、ちょっといいか」

「ん、なんすか?」

「ちょっと二人ごめんね。男だけで話があるから、こいつ借りるけど」


俺は二人の心の声に若干傷つきながらも平静を装い、小声で岡島を誘って二人のいる席から離れた。


「岡島、死にたくなかったらあの二人はやめとけ」

「へ? それってどういうことっすか? あの二人のうちのどっちかがやっぱりおれを殺そうとしてるんすかっ?」

「いや、どっちかじゃなくて両方かもしれん」

「はい? よくわかんないんすけど。じゃあ事故を装っておれの命を狙ったのはどっちなんすかっ?」


店の端っこで俺たちは顔を突き合わせながら言葉を交わす。

アカリとキララが不思議そうにこっちを見ているので声を落としつつ話す。


「それは正直知らん。でもよく聞け、あの二人と一緒にいたらお前はいずれ死ぬかもしれないぞ」

「はあ、いずれっすか……?」

「悪いことは言わないからあの二人とは縁を切れ。い、いや、切らない方がいいのかな。んん、どうなんだ」

俺にもよくわからなくなってきたぞ。

今の均衡状態を保つことがベストなのかな……?


「う~ん……」

「鬼束パイセン、だいじょぶっすか?」

「……なぁ岡島。いっそあの二人俺が消してやろうか。あの二人はそれなりに悪人のようだからさ」

そうすれば岡島は助かるはずだ。


しかし、

「おれ馬鹿だからよくわかんないっすけど、要はあの二人は今はおれの命を狙ってなんかいないってことでいいっすよね?」

「うん、まあ今はそうだな……命を狙ってはいないだろうな、うん」

「それだけ聞ければ満足っすよ。じゃおれ二人のとこ戻るんで」

岡島は言う。

いいのかそれで、岡島。


「お前、長生きしないぞ」

「かもしれないっすね。でもこれがおれなんで。じゃあ鬼束パイセン、いろいろありがっした!」

岡島はへらへらとした締まりのない顔を俺に見せてから、二人のキャバ嬢の待つテーブルへとスキップしていった。

そんな背中を眺めつつ、

「はあ~、なんだったんだあいつは……まったく」

俺は自然と笑っていた。

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