異世界3日目 後編
僕と父さんは久しぶりに来たこの町を散策していた。食べ物食べながらフラフラしているとまた父さんの知り合いに会った。
「ヒロユキさんこんにちは。久しぶりですね。タクミくんもこんにちは。実はこの町に例の情報屋が来てるんです」
今まで笑顔だった父さんの顔が曇った。
「情報屋は今酒場にいるみたいですよ。でも本当に仇を討ちに行くんですか? タクミくんどうするつもりですか?」
「タクミなら俺がいなくてもきっと大丈夫。魔法の適正は俺以上のものを持っている」
「父さんまでいなくなるのは僕耐えられないよ。敵討ちなんてやめよう。母さんもそんなこときっと望んでないよ」
僕は父さんに素直な気持ちを伝えた。だが父さんの顔は怒りに満ちた顔をしていた。
「ごめんタクミ。でも俺は敵を討つためだけにこれまで生きてきたこの気持ちは変わらない」
そして父さんは走って酒場に向かった。僕を置いていって。
「待ってよ。父さん。僕を一人にしないでよ」
僕は父さんを追いかけ酒場に向かった。
僕が酒場に着くと父さんは情報屋らしき人と話していた。
「魔王は本当にそこにいるんだな。ありがとう。これ情報料だ」
「父さんまさか本当に魔王を倒しに行ったりしないよね? 母さんの仇取りたいのは分かるけど僕を一人にしてまでも敵討ちが大事? 僕は父さんにまだ教わりたいことがたくさんあるんだよ」
「悪いタクミ。母さんの無念は俺が晴らすって決めてるんだ。それにタクミには教えることはない。たとえ一人になっても大丈夫なように育ててきた」
「じゃあ僕も連れていって。死ぬときは一緒でしょ。僕たち家族なんだから」
「それはできない。魔王からお前を守りながら戦うことはできない。それに危険だからこそタクミは家で待っててくれ」
「何を言っても父さんの気持ちは変わりそうにないね。分かった。父さん絶対に勝って戻ってきてね」
僕はそう言い家に向かって歩き出した。父さんは僕と反対の方に歩いて行った。今は父さんの言葉を信じて待つしかなかった。
僕は家に着きご飯の用意を始めた。昨日取った食材を料理した。
僕は一人ぼっちで料理を食べたがどこか物足りない気持ちだった。
早々に部屋へ行き僕は父さんの事を考えながら父さんの帰りを待ち眠りについた。