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異界と解脱

 この世界は、シャボン玉の膜のようなものである。ふつうはそれぞれが独立している。しかし、二つのシャボン玉が接する場合がある。それでも通常であれば二つのシャボン膜は干渉しない。が、その接合面は両方からの強い干渉を受ける。接合面は変化が激しく、やがて消え、二つのはシャボン玉は大きな一つのシャボン玉となる。


 この接合面こそが今、啓徳のいる異界の正体だ。一方の世界が地上であり、もう一人の法海がいる世界がもう一方の世界である。二つのシャボン玉の表面には今三つの世界が存在している。やがてこの状態から一つに融合するか、二つに分離するかのどちらかの道に進む。


 分離すれば何事も起きない。が、融合となると表面はカオス状態となる。今、この世界は融合に向かっている。


 一つは人間の世界であり、もう一つが神の世界。この二つが一つの世界から分かれたのか、異なる二つの世界だったのかは問題ではない。二つの世界が接している状態であることが問題なのだ。


 法海は二つの世界を融合ではなく、分離をさせようとしていた。接している二つのシャボン玉を安全に分離するには、接合面にもう一つの空間をつくり、三連構造にすることで、接地面は、ドーナッツ状態、輪ゴム状態と徐々に減り、やがて二つに分かれる。


 本来、膜の上にもう一つ空間をつくれば、二つの空間ができるはずである。これが一般的な解脱である。しかし、三連の空間では両端の世界が分離すれば真ん中の世界は消滅する。それはあたかも最初から存在していなかったかのように。これが、無になるということである。


 獣というのが接合面そのものであるので、破壊すれば二つの世界は融合し、どちらの世界もカオス状態になる。いままでは、法力で接合面の広がりを抑えてきた。しかし広がりを食い止めることはできなかった。法海のいう最期の手段とは、二つの世界に分かれた彼自身が異界で出会うことで三連空間をつくり、二つの世界を分離するというものだった。分離すれば、中央世界の法海は新たな世界を築くことなく消滅する。

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