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動かない政府

「大規模噴火の兆候はありません。国民のみなさんは安心して旅行にでかけてください。装備さえしっかりしていれば、山に登ること自体は危険ではありません。が、不要不急な登山などの行動は避けてください。」

 しっかりとか不要不急とかまったく基準を示さない政府。早い話が、自己責任。結局、国としては登らないことにも登ることにも責任を持たないといっているに過ぎない。


「地元の反対でトンネル工事が遅れています。このままでは責任問題になりかねません。」

「地震の影響で遅れていることにしたまえ。」

 国土交通省の大臣はリニアモータカー建設の遅れにいらだっていた。

「このままでは次期選挙の資金が得られない。」

 国の調整能力の無さに対する不満が、鉄道会社からの政治献金の減額という形で現れていた。


「まだ、大規模な被害は報告を受けていない。国としては推移を監視し続けます。」

 官房長官の説明だ。

「臨時国会も対策本部も作るつもりはない。せっかくの夏休みなんだ。官邸になんかいたくない。あ~早くゴルフしてえ。」

 総理は側近に愚痴をこぼす毎日。


 未知のウィルスに続き、群発する地震。

「なんで、よりによって、総理の時に。これじゃ改憲もできやしない。いっそ、解散選挙でもするか。」

 なかばやけになってる総理を

「今選挙しても、実弾(現金)が配れないので票が集まらない。それより、内閣改造じゃないか。」

 と、副総理が口を尖らせながら諭す。

「いいじないですか、ウィルスのお陰で、デモ集会も規制されてますから。」

 次期総理と目されている細面の男も、彼等の機嫌をそこねまいと必死になだめる。

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