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13/18

13.関係

 地面を蹴って、後方に飛ぶ。足首のすぐ右側をルナさんが撃った銃弾が掠めた。

「なかなか良いコントロールだね」

「ダスクさんはまだ一発も撃たれていませんよ」

「だって銃弾無駄じゃない」

  銃弾って高くつくんだよね。だから僕は、確実に当たる位置に来ないと、撃たない。

「そんな、こと、言ってると、死にますよっ」

 右手、右肩、右足狙いの三発が連続で来た。素早く避けてターン。

「本気を出しなさい、ダスクさん!」

「ええーっ。僕、シェンの命令しか聞かないよ?」

「ミチルってば、俺が好きだね」

「いや、違うし。と言うか部外者は黙れ」

「あれ、俺の命令しか聞かないんじゃないの?」

 会話に気を取られて危なく被弾しそうになるのを、長いコートで去なす。

「くっ……流石はダスクさん。やりますね。しかし」

 避けた方向に銃弾が飛んで来た。しまった、左肩に被弾だ。

「……っ」

「ミチル、本気を出しなさい」

 あ、もしかして、僕はずっとシェンの命令を待ってたのか。

「その言葉、待ってた!」

「ルノアール、こちらも本気を」

「本気です!」

 今までずっと黙っていたシュナ・クリスティン・ヒューが口を開いた。でもその顔は、シェンのように余裕がない。

 乱射される弾丸にルナさんの混乱が見える。残念だ、銃撃戦は冷静さだけが僕の味方をしてくれるんだ。それは、ルナさんも例外ではなくて。

「貫け!」

 僕の声と同時にルナさんの右腕を銃弾が貫いた。ルナさんはもう、攻撃できる程腕が上がらないはずだ。

「勝負あったな」

 崩れ落ちるルナさんをシュナさんが受け止める。

「シュナ……ごめんなさい」

「いいんだよ、ルノアール。僕の大切な君が死んではたまらないから」

 抱き合う2人。あのー、ここは公共の場ですが。

「兄上」

 シュナさんがシェンの方を見て、ニヤリと笑った。その不適な笑みが、兄貴そっくりで、僕は心の中で笑った。

「何だい弟」

「部下との関係は僕の勝ちですね」

「なに!?」

 僕とシェンの関係は、絶対服従的で素晴らしいと思えるんだけどな。

「それでは、兄上、ごきげんよう」

 シュナさんは負けたのに、何故か勝ち誇った顔で帰って行った。




「あいつ、これ見せに来やがったな」

 僕は多分、この日はじめてシェンの本音を聞いたと思う。


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