第五十九話 「噛み合いっこ」
加賀チーム、まさかの2連敗。しかも、どちらも宇宙人による連れ去りによって敗れると言うまさかの展開。
「ふざけんなよ!!!なんで宇宙人は吉岡を!!山口を連れ去るんだ!!!そして本郷太郎はなんで2回死んでるんだよ!!ミームってなんだよ!!!」
混乱した原が叫ぶ。しかし、加賀はニヤリと笑っているだけだった。
「取り乱すな…原よ…残りの試合全勝すればいいだけのことよ」
藤浪ドラゴンが落ち着いた口調で呟いた。
三将戦。藤浪ドラゴンvsガンギマリ敬之
二人はコロシアムの中央で睨み合った。
ガンギマリ敬之…異様な風体の男である。全身毛むくじゃらで野生味のある男だが、メガネの奥で光る眼光はどこか知的な印象と愛嬌がある。恰幅のいい身体にはうっすらと脂肪がのっている。
敬之がニヤリと口を開けて笑う。するとその中から見えたのは歯並びが悪くガチャガチャになった歯だった。
「ガンギマリ敬之…まさか…まだ生きていたとは…」
原が漏れるようにそう呟いた。
ガンギマリ敬之。裏社会でその名を知らぬ者はいない喧嘩師である。
常にシャブを食っているゲイで、戦った相手は骨の髄までしゃぶり尽くしてから犯すと言う猟奇的な行為を繰り返し恐れられていた。
そんな彼も数年前、通算二度目の逮捕で獄中に繋がれ、彼の長い冬が始まるかと思われていたが、まさか、乂門によって釈放されていたとは…
ガンギマリ敬之はうっとりとした目で藤浪ドラゴンを見つめていた。
なんていい男。こんな男に会いたくて、逢いたくて、ここまで戦ってきたのかもしれない…どうしようもないガンギマリ敬之に天使が舞い降りてきたのであった。
試合開始を告げるドラが鳴る。
ガンギマリ敬之が藤浪に言う。
「小細工はなしで行こう。噛み合いっこだ」
藤浪はニヤリと笑った。二人はコロシアムの中央でガッチリとお互いの肩を掴み合い、そして激突した。
お互いの唇を貪り合う。
それはまるで恋人同士の熱いディープキスのようだった。二人の唾液がコロシアム中に飛び散る。
「俺たちは一体…何を見せつけられているんだ!?」
原は困惑していた。
両者一歩も引かずにお互いの唇を貪りあっている。しかし、拮抗が崩れ始める。グググっと藤浪の身体が持ち上がる。なんと、ガンギマリ敬之は首の力だけで藤浪を持ち上げていたのであった。
そのままの勢いでガンギマリ敬之は藤浪を首でぶん投げた。
藤浪の身体がコロシアムに弾かれる。転がった彼の顔の皮膚がベロリと下半分剥がれ、皮膚が剥き出しになっていた。
一方、ガンギマリ敬之のガチャガチャの歯も何本も抜けて、口の端から血が流れ落ちている。
グロテスクな光景であった。しかし、それでも二人は笑った。




