第五十五話 「カレクッドゥ」
カレクッドゥ。神戸が生み出した悪魔。
彼は第二試合開始の合図を告げるドラが鳴ったと同時に懐からカレーライスの載った皿を取り出した。おそらく、そのカレーライスは毒入りであろうことは容易に想像できた。
「お前に食わせてやる…」
にやりとカレクッドゥが笑い。カレーライスを誕生日のサプライズパイ投げよろしく、吉岡の顔面に向けて放り投げた。
「危ないわん!!!」
その時である。主人を守るべく、吉岡の飼い犬、本郷太郎が飛び出した。彼はそのカレーを顔面で受け止めてセーブした。
カレーを顔面で受け止めた本郷は地面に倒れ込み、何度か痙攣したのちに動かなくなった。
本郷太郎、享年26歳。あまりにも早すぎる死であった。
「本郷…」
吉岡は本郷太郎の亡骸を抱き上げた。
そして、死体の柔らかな腹に顔を埋めた。すると、なんと、吉岡は本郷太郎の腹を食いちぎったではないか!!!
バグバグと本郷太郎の血と肉を喰らいだす吉岡。
「気が狂ったのか!?」
控室にいた原が思わず叫ぶ。
「違う!!!あれは、本郷を食べることにより、食物連鎖の輪の中に組み入れ、彼の死を無駄にしないと言う思いやりの心!!!」
藤浪ドラゴンが叫んだ。
その通りであった。吉岡は本郷太郎をカニバリズムすることにより、命の尊さを観客に見せつけようとしていたのである。まさにこれが食育と言わずして何と言おう。
吉岡は本郷太郎の臓物を全て平らげた。
そして、立ち上がり、血塗れの顔でカレクッドゥを見つめた。
「お前にこれができるか?教育者というのはな。生徒第一主義なのだ。俺は愛する生徒のためならその血肉すら食らうぞ」
吉岡とカレクッドゥはコロシアム中央で睨み合った。
その時であった。吉岡の顔面がみるみる内に青ざめていき、その場に倒れ込んでしまった。
彼は地に伏せ、何度か痙攣したのちに動かなくなった。
説明しよう。本郷を食べたはいいものの、死体の臓器にはまだ毒入りカレーが残っており、それをそのまま食べてしまった為、吉岡は悶絶。死に至ったのであった。
吉岡清一郎。享年28歳。あまりにも早すぎる死であった。
第二試合!!!勝者!カレクッドゥ!!!




