第四十八話 「宇宙海賊ミーム」
乂門…それは幕末の時代、高杉晋作が秘密裏に作った組織、奇人隊に端を発する。
奇人隊とは、日本中からヤバイ奴らを集めた隊であった。
彼らは高杉晋作の名言『面白きなき世を面白く』に基づき、幕末から現代にかけて、この面白くもない世の中を武力とおふざけで転覆させようとしている集団である。
そして、あの『喧嘩凸板最強トーナメント』から3年が経った20xx年。遂に日本は乂門の手に落ちた。
日本の政界、角界、芸能界に潜伏していた乂門達は一斉に行動を起こしたのである。
政界では『槇原敬之から国民を守る党』が与党となり、ファシズムの嵐が日本に吹き荒れていた。国民は消費税70%と言う重い税金に苦しめられることとなる。
角界では横綱に長州小力が就任。決まり手のラリアットで優勝の山を築いていたのである…
そして、日本の首都は島根となり、島根以外の地域は超過疎化、超貧困化が進み、国民はまさに虫の息となっていた。
政府は戦後以来はじめての配給制度を実施するも、配給も乂門の息がかかった人間達によって行われていたのであった…
ネオ埼玉…
殆どの建造物は荒れ果て、不毛の大地が広がっていた。
僅かに残った集落で人々は極貧生活を強いられていた。
砂漠と化した街、倒壊したビルの間にレザースーツにモヒカン頭の男たちが数人立っていた。
彼らは乂門の下っ端達だった。
その男達の前におびただしい人が列をなして立っていた。
彼らは男達から配給の飯をもらうことを期待して立っていたのだ。
「オラオラ!!!お前ら!!!この薄汚え豚どもがあ!!!」
乂門の1人が叫び声を上げる。
ここには最早人権はない。
列の中で1人の老人が倒れ込んだ。
あまりの暑さから膝を折って前のめりに倒れ込んだのだった。
「おじいちゃん」
その老人の近くにいた女性が老人に駆け寄る。
「おいおい、この少子高齢化の時代に、老人など存在しているだけで罪!!!ここに死刑を言い渡す」
乂門の1人が叫んだ。
男達は老人を取り囲み、手に持った槍で一思いに串刺しにしようとした。
「またれい」
その時、落ち着き払った声がネオ埼玉に轟いた。
誰だ!?
その声がする方向に皆顔を向けた。
そこにいたのは、黒いマントをなびかせ、眼帯をつけた男だった。
そして、男の片手はサイコガンになっていた。
「お前は一体何者だ!?」
乂門の1人が叫んだ。
「俺の名は、キャプテンミーム…宇宙海賊だ…」




