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最強格闘家になろうシリーズ  作者: カカカカカ
第二部「喧嘩凸板最強最大トーナメント編」
32/113

第三十二話 「矢吹流武術」

ファぁぁぁぁあ!!!!




真島の雄叫びが会場に響く、さっきまでの真島とは別人のようだ。


その様は夭折したジークンドーの開祖でもあり、伝説の映画スターでもある、あの伝説の男に酷似していた。




真島の右足が跳ね上がる。


その足が晴男の顔面を捉えたかに見えたが、


晴男はふらつくように、大きな動作で反り返り、その足をかわすと、その体勢のまま、真島の腹に拳を打ち込んだ。その反則的な動きは酔拳に酷似していた。


これは、矢吹晴男が身につけた武術のひとつ、クレイジーモンキー笑拳法である。


真島は打たれた腹を気にするそぶりも見せず、晴男に打ちかかる。それを晴男はかわしつつ、また打ち込む。




激しい連打合戦となった。






2人の姿を観客席の1番奥、手すりにもたれかかりながら見ている1人の男がいた。


彼の名は加賀八明である。


「甘いな…矢吹…技に溺れている」


彼は一言ポツリと呟き、また2人を凝視した。






2人の拳のやりとりはほぼ互角に見えたが、その均衡はジリジリと崩れ、そして決壊しそうになっていた。


真島の拳が早すぎるのである。


まずい、矢吹がそう思ったと同時に、拳が顔面に突き刺さる。


それが合図だった。全身を真島の拳が、足が襲いかかる。


めったうちにされつつ、矢吹ができるのは、全身の筋肉に力を入れて、ガードに専念することだった。


打ち疲れた隙をつく、そう思い、亀のように丸々も、真島の隙を見つけられなかった。




まずい…倒される…


全身が腫れ上がっていく、痛みで全身の皮膚の感覚が麻痺していく、限界であった。




晴男の脳裏に浮かんだのは、これまでの戦いの歳月である。




加賀の元で修行を終えてから、晴男はひたすら戦い続けた。


それは修練の日々でもあった。


ひたすら敵と戦い、勝つ為に新しい武術を身につけ、作り出し、打ち負かす。


ひたすら繰り返してきた。


ある時は、真島に格闘技を教えた時期もあった。獄中で泣いた日もあった。


犬達と生活し、ラブアンドピースに目覚めた時もあった。


スティーピーワンダーに爆殺されかけた日もあった。


俺は強くなった。それでも勝てないのか?


武芸百般とは言わずとも、武芸七十一般くらいは修めた。




何故だ?あれだけ努力して、あれだけ犠牲にしてきたのに勝てないのか?






「それでは、魔門にはどのように勝てばいいのですか?」




矢吹晴男は加賀にそう尋ねた。


雨が降り頻る庭が見える。




「成熟した魔門に勝つことは不可能だ。しかし、まだ門が開き切っていない魔門には勝てる」




「どうすれば…」




「簡単だ、武芸百般を修めよ」


加賀はそう答えた。


「魔門の利点は見ただけで全てを模せること、しかし、弱点もまた同様。つまり、経験値が少ないってことだ」




「お前はお前の矢吹流武術を見つけろ」


あの日、夕日の中、師匠がそう言った。






つまり、つまり…そう言うことだったのか!?






「勝者!!!真島浩高!!!」




レフェリーが両手を広げ、そう告げる。


と、真島はその拳を打ち込むことを辞めた。


勝った…勝ったのだ…師匠に…!!!


涙が溢れそうだった。


うぉおおお!!!!真島は叫んだ。




と同時に倒れ込んだ。


真島の首に晴男の手刀が叩き込まれていたからである。


真島は完全に気を失っていた。




この試合、バーリトゥドルール。なんでもあり、決着はギブアップか失神のみである。




実は、先ほどのレフェリー、矢吹晴男だったのである。




晴男はこれまでいくつもの象形拳をマスターしてきた。


レフェリーの姿形を模すなど朝飯前である。


魔門に不慣れな真島は朦朧な状況でないと門を開けない。


そんな真島が一瞬でも晴男をレフェリーと勘違いするのは仕方がないことである。




「武芸百般を修れば、敵、環境、技によって1番最適な解を導けると言うことだ…それが、お前の武術だ…晴男」




矢吹晴男は片手を天高く突き出した。


晴男は「喧嘩凸トーナメント流武術」を生み出したのであった!!!


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