09 健闘しますんで
指名手配犯的な状況になっている為、下手に外を出歩く事は出来ない。
なので、水菜と合流し今後の方針なんかを打ち合わせした後は、そのままその駄菓子屋に泊まる事になった。
一度理沙達に家に連絡を入れたいと言ったのだが、どこから足取りを掴まれるか分からないと言われたので止められたのだった。
まあ、家に心配はかけるが、一日いなくなったくらいで警察沙汰にはならなおいだろう。
船頭牙という人間は、大人しくするには無理のある性格をしていたので、色々と前科があるのだ。つまり、やんちゃだったって事で。
そんで、状況が動いたのは朝方だ。
駄菓子屋に例の黒服達がやってきた。
「おおおお、ちょ、これ本当に大丈夫なのかよ」
夜明け前。
まだ暗闇の残る時刻だというのに、付近一帯は騒がしい。
それもそのはずだった。
例の黒服たちが家を囲んで、能力一斉攻撃みたいな事をしているからだ。
「安心なさい。おばあちゃんの防護壁が破られた事なんて一度もないから、どんと構えてればいいのよ」
「マジで! すげぇ! 優秀なんだな」
理沙と違って、とはさすがに言わなかった。
冷静に考て、これは駄菓子屋してる普通のおばあちゃんの能力ではないだろう。驚嘆を隠しえない。
だが、長くはもたない。
理沙のおばあさんの力はどんな攻撃からも対象を守るというものだが、持続力がないのが欠点……との事。
「さ、今はこちらで何とかしておくから。おいきなさい」
後が心配だけど、ここにいたって意味がない。
「おおう、すみません」
「おばあちゃんも気をつけてよね!」
「健闘を祈る」
おばあさんに促されて、家の裏口へと向かう。
能力が切れた後の事は大丈夫なのだろうかと思うのだが、リフォームした際に作った隠し通路から逃げるから問題ないらしい。
とんでもない駄菓子屋が町の中にあったものだ。
 




