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ナイトメア ~白銀の契約~  作者: 仲仁へび
第二章 流水の絆
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14 生意気なアルシェ



 あれやこれや作戦を考えたところで、理沙に連れられてやってきたのは組織内部にある放送室だった。

 考えた作戦を実行するには、この中にいるゲートの力を持った知人の協力が必要らしい。


 重厚なドアをえっちら開けると、部屋の内部には小さな金髪の少年がいた。


「外国人?」


 横にいる理沙へと問いかける。

 言葉とか通じるよね、みたいな意味も一緒に込めて。


「アルシェよ」


 理沙その外国人さんの紹介をたった一言で消化。


 お坊ちゃんに向けて一言言うが、入出許可を取る前に踏み出す。


「入るわよ」

「もうちょいなんかないのかよ」

「何よ、珍しくないでしょ、今時」


 そりゃ街歩いてりゃたまに見かけるけどさ。

 交代組織で見かけた事はなかったんだから、しょうがないだろ。


 個人的な特徴とか、もうちょっと事前に教えてくれませんどす?

 理沙は仁王立ちして、腕を組みながら相手に頼む。


「アルシェ、あんた私達に協力しなさい、返事は聞いてないわ」


 相手に用件伝える前に、是も否も答えを握りつぶしやがった。

 っていうかそれ人に物頼む態度じゃねぇだろ。


「どうしたの理沙姉。水奈姉がまたいじめられたの? 慰められにきたの?」


 お前、水奈が不憫な目に合う度にここに来てるのか。

 しかし、こんな歳下の子供に面倒みられるって……。


「今日はそういうのじゃないわよっ」


 理沙は、顔を真っ赤にして、拳を振り上げる。

 ゴンッ。

 そして、アルシェに命中だ。


「あいたっ」


 ほらねー。

 すぐ手が出るこの子ったら、もー。


「あんたもよ」

「何で……いっ」


 ゴツンッ。

 さっきより、良い音したな俺の。嬉しくねぇ。

 意味分かんねぇよ、という抗議はしても意味ないんだろうな。

 なんか、もう慣れてきたし。

 でも、こんな慣れ嫌だなあ。

 




 入室直後に、そんな一幕があった後、俺達はあらためて金髪の子供アルシェも交えて、作戦を立てていた。

 これで水奈をイジメたアイツをぶっ飛ばせる。


 だが、小一時間かけて細かいところまで煮詰めていったところで、アルシェが口を開いた。


「協力はする前に、一番大事な事を聞いてないよ」

「何か他にあったかしら?」


 理沙が首をかしげる心境に同意。

 ここまで散々考えることは考えたし、説明すべきことはだいたい説明したはずだ。


「船頭牙、お兄さんの目的って何?」


 だが、アルシェはそんなことを尋ねてきた。


「はぁ、そんなの里沙と同じだろ」

「本当に同じ? じゃあ言葉にしてみてよ」


 そりゃあ

 アイツをぶん殴る事だ。

 それによって水奈を助ける事ができるのだから。

 いや、言葉にした時の違和感に気がついた。

 ……。

 そういう事かよ。


「水奈を助ける事だ」


 本末転倒になるなって、言ってくれるじゃねーか。

 俺の言葉を受けてアルシェは頷いた。


「合格、いいよ。協力してあげるよ。何か凶暴そうな状態のお兄さんとずっと一緒にいるのは、か弱い少年の教育に良くないからね」


 確かに見た目はか弱い少年してるが、こいつの中身は全然か弱くない気がする。作戦建てる時も、結構さんこうになったし。

 理沙が助言を求めて来たのもよく分かる気がした。


 頭良くて気も効くって結構最強じゃねぇ?


「あと、実戦で役に立てる力だったら、猶更株は上がってたよね」


 人の心まで読めるとか、ひょっとして天才?


 そんな事を思っていれば、理沙に「あんたが分かりやすすぎるだけよ」と言われてしまったが。



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