13 作戦会議
水奈がいなくなってからべッドを這い出た俺は、彼女の姿を探した。
入れ替わりに入って来た見つけたツインテール美女に声をかける。
「理沙、頼みがある」
予想通り、相手には凄く嫌そうな顔された。
だが、ここで引くわけにはいかない。
「アンタまさか、まだやるつもりなの?」
「諦められない事情があるからな」
「余計なお世話だって分からないの? 状況を悪くするだけよ。それに、あんだけ手ひどくやられたのに……。次はこんなんじゃすまないわよ」
一応心配はしてくれてるんだな。
理沙の言う事は分かってる。
奴はおそらく本気だった。
一度ならず二度まで歯向かえば、おそらくもう俺はここにはいられなくなるだろう。
でも、それでもやらなきゃならないのだ。
ここでブルって、膝抱えられるような奴が船頭牙なんかじゃ許せねぇんだよ。
ため息をついた理沙は、探る様にこっちに問いかけてくる。
「勝算は、あるの?」
「それを今から考えるんだよ。協力してくれ」
「……」
理沙は答えない。
けれど牙が頭を下げると諦めたようにため息をついた。
「仕方ないわね」
「お前って色々キツイとこあるけど、いい奴だよな」
断わられるとは思ってなかった。
水奈の親友だからというのもあるだろうけど、理沙はなんだかんだ言いつつも困ってる奴を見捨てない奴なのだ。
「とりあえずアイツの能力について確認しよう」
「万有引力……。オールグラビティ……。どんなものにも存在する引力を自由に使える力よ。だけど、制約もある」
「どんな?」
「触れたものしか発動できない」
んん……?
会話の最中に抱いた疑問を見過ごせずに、確認の意味も込めて問いかけた。
「でも、あいつ何かに触れるような行動とってないぞ?」
「詳しく言うと、一度触れたもの……ってことよ。あそこがどこだか分かるでしょ」
ああ、なるほど。
納得した。
ようするに敵の根城にまんまと突っ込んでいったと言う事だ、俺は。
「体触られてなくて、良かったわ。あんた自身が引力の発生元になったら手が打てなくなるところだった」
男は、好き好んで野郎の体に触りたくないもんだからな。
それがゴミクズ野郎だったらなおさらだ。
俺はゴミじゃねぇ。
いや俺が言ったんだけど。
くそ、何かムカついてきた。