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(九)越えてゆくもの

『岩窟の根城』その最奥

   グドゥ対クノール――



「――こんな……何なんだ、貴様っ」


 極度の集中で汗を滲ませるクノールが、膨れ上がった疑念を思わず口にする。

 剣速はすでに上限に達し、知る限りの手練手管も使いきり、その上自分だけが踏み込める枠外の(・・・)剣術スキル二連撃さえ、すでに十指を越える数だけ放っていた。

 記憶に残る強者でさえ、三人抜きできるほどの手数を繰り出している。

 だのに、それらのことごとくを仮面の蛮族は流れるような剣鉈捌きで受け、反らして無傷で凌ぎきり、時に弾き返しざま、逆襲にさえ転じてみせる。



 ビヒュッ

「――つあっ」



 あり得ぬはずの反撃に、辛うじて剣を合わせたかに見えたクノールが、一転――『硬直無効リジッド・フリー』の発動で、瞬時にカウンター攻撃を炸裂させた。


 反撃の反撃――――それは多くの熟練戦士を葬ってきた極悪な対反転技法リフレクション・テクニック!!


 舐めるな、蛮族が、と。

 瞬時に乱反射する攻防こそ『硬直無効リジッド・フリー』の独壇場。例え獣のごとき反射神経を有する蛮族だとて反応しきれる速度域ではない。

 だが、クノール会心の反撃を、一度は置き去りにしたはずの剣鉈によって、易々と防がれてしまうとは。

 まるではじめから(・・・・・)そこに構えていた(・・・・・・・・)かのような、尋常ならざる受けの速さで。


「――まさかお前……」


 同類か(・・・)、と。

 胸元を伝い落ちる、ひとしずくの冷たい汗。

 無論、そんなはずがない。

 だが思わず疑ってしまうほどの、信じがたい反応速度と対応力。

 それはどうにも理解し得ない――人外の動きだ。


「ナニヲ、オドロク?」


 そのいぶかしげな口調が鼻につき、クノールは反射的に剣で振り払う。


「お前の……デタラメさにだよっ」



 『孤月刃・湖水』――――



 肩口から斬りかかる基本形を湖面を撫で斬る軌道に切り替えて。

 応用を利かせた派生剣技(スキル)の体現は、クノールの剣士としての才覚が尋常ならざることを物語る。その剣才に実戦で磨きをかけたひと振りが『湖水』だとすれば、その切れ味は――。



    フィア――ァ――……

              ――ギッ



 横疾る金色の斬光を蛮族の剣鉈が受け止めた刹那、はじめからそうであったように――下段構えに(・・・・・)変化していた(・・・・・・)クノールの斬り上げが(・・・・・)、仮面の剣下をかいくぐり襲い掛かるっ。

 『硬直無効リジッド・フリー』による遅滞なき連続攻撃が仮面の防御を無意味と嘲笑う――しかし。


 ギキ、

     キッ、

          ――キ



「――くそがっ」


 瞬時に立ち塞がる蛮族の“受け”。

 それを凌駕せんと閃く対反転技法リフレクション・テクニックの三連打。

 反射神経と判断速度――そのいずれも含めた、人の反射能力を越えてゆく限界突破の大攻勢。

 先ほどよりも深く踏み込んで(・・・・・・・)

 人外領域での攻防に、鍛え上げられしクノールの四肢が軋みを上げ、内臓が苦悶に捩れおののく。そこまでしてなお――

 

 届かない――。


 その防御はまさに切り立つ壁。

 まるで岸壁に打ち込んでるかのごとく、四方八方どこから攻め込んでも、硬い剣鉈によって厳然と阻まれる。

 渾身の力を振り絞る両腕に、わずかに押し込む手応えすら、感じさせることなく。


「なぜだ――こんな、デタラメがっ」


 歯噛みはするも、力なく。

 届かぬ事実がクノールの双眸から戦意を薄らげる。

 さもあらん。

 例えるならそれは、人を寄せ付けぬアル・カザル山岳の寒風吹き荒ぶ大雪渓――まさにクノールの腹腔を占めるのは、大自然の驚異に阻まれた、探索隊を打ちのめす絶望感に他ならない。


「デタラメ、デハナイ」

「――あ?」


 唐突な言葉にクノールがマヌけた声を上げてしまう。それを意にも介さず、仮面の蛮族は言葉を続ける。


「ワザダ――」

「わざ?」

「オナジ、ウゴキヲ、クリカエス」

「……」

「クリカエセバ、ソレガ――ワザニ、ナル」


 そこでようやく、クノール自身が先ほどから、蛮族の攻防を「デタラメだ」と評していたのを思い出す。

 同時に、蛮族が何を伝えようとしているのかも理解した。それ(・・)はあまりに単純なコトであり、また、きちんと整理して体系化するからこそ出てくる発想でもある。

 そう。

 まさか未開の地に棲みつく蛮族ごときに諭されるなど。


「訓練か……」


 馬鹿馬鹿しすぎる答えを半笑いで口にするクノールに蛮族から異論は上がらない。

 つまり正解か? いやそれしかあるまい。

 だが、そんな一言で済ませられるほど生易しいものではないはずだ。

 一見デタラメと見える動きには、何度も見かける

“構え”があった。それを蛮族は状況に合わせて選択しているのだと、今さらながらに気付かされる。

 そこに気付けば、その“構え”が寸分違わぬ再現度で繰り返されている事実にも気付かされる。そこで初めて――クノールは戦慄した。


 ――あり得ない、と。


 左右違いに掲げる腕の角度、腰の位置、広げる足幅に膝の曲げる角度まで――注視すべき点は数多く、同じ構えを再現するには、何度も同じ動きを繰り返し肉体に刷り込ませるしか方法がない。

 つまり“訓練”だ。

 ならば、この蛮族めは、どれほどその“構え”を繰り返し続けたというのか。

 いや、どれほどの歳月を繰り返せば、あのような(・・・・・)動き(・・)が成し得るというのか。

 “構え”から“構え”へと、まるで神代魔術の空間転移を用いたかのような、瞬転の動きが。


「ゴジュウ、ネン――」

「!」


 まるでクノールの思考を読み取ったかのようなタイミングで蛮族が答える。

 五十年――それが蛮族が積み重ねてきた歳月だというのか?


「できるかよ――」


 そんなことが。

 飽きるだろ、普通なら。

 「こんなのが何の役に立つ」と文句を言い、苦しい退屈だとしごき(・・・)に耐え抜いた新兵時代をクノールは思い起こす。

 早く実戦に出たい。

 敵と刃を交え、修羅場を潜り強くなりたい。


「そうして叩き上げるのが――強さだろ」


 なのに、この、蛮族めは。


「命のやりとりが、俺らを強くするんだろうがっ」

「チガウ。ソレハ、シュダンノヒトツ」


 仮面を睨み付けるクノールの気持ちなど知らぬげに、蛮族はやにわに剣鉈を構えると「イクゾ」と告げた。

 それこそまさに訓練――宣告するなど愚の骨頂。

 一体何のつもりかとクノールが眉根を寄せれば、蛮族があくまで真剣であったことを知ることになる。



 ――――フンッ



 出遅れた。

 攻めると告げられたにも関わらず、肩口間際でギリギリ受け止める。


「くっ……」


 辛うじて命を拾えた実感に、クノールの口から苦鳴が洩れる。


 何だ、今のは――?!


 速さだけではない。

 先ほどとは明らかに違う、重い一撃。

 受けねば無造作に肺深くまで断ち切られたことは間違いない。そう実感したからこそ、クノールは全身冷や汗にまみれていたのだ。

 ド、ド、と気付けば上半身が震えている。

 これまで味わったことのない心臓の高鳴りは、明らかな恐怖を感じてのもの。


 それでも今のは……ただの斬撃だったはず。


 人外故の骨格や関節から繰り出される歪な軌道に惑わされるが、それでも単なる斜め斬りに他ならない。

 『俗物軍団グレムリン』の新兵訓練でもやらせている素振りの基本技。

 それがなぜか、一撃必殺クラスの凄みを帯びる。


「ワカル、カ――?」

 

 問いかけながら、またも蛮族が教えるように剣鉈を分かり易く構えてみせる。

 腰を沈める呼び動作を大きくとりながら。

 横から繰り出すは――薙ぎ払い。



「くあっ」 ――――ギンッ



 突き。



「むおっ」 ――――ジッ



 切り上げ。



「……っ」 ――――ガッ



 ひとつひとつ丁寧に、繰り出される単純な技にクノールはしかし、明らかに後手を踏み反撃する余裕すら与えられず、防御に徹しきる。

 いや、それしかできない。

 させてもらえない。


 ――こんな、馬鹿な。


 なんだ、この無様さは。

 なんだ、この体たらく。

 あまりに一方的な展開は『一級戦士』の面汚し。

 それはクノールが他者を嘲笑ってきたものであり、彼自身がそのような目に遭うなど想像外の出来事だ。


「きぃっ」


 下から襲い来る斬り上げを、下段払いで受けた刹那、『硬直無効リジッド・フリー』を発動――中段受け(・・・・)に転じるはめになる。


 できない――反転攻勢が。


 わずかでも集中を乱せば、攻撃に意識を向けた刹那、致命的な反応遅れが出ることを戦士としての本能が訴える。


「どうなって――」

 ――ギンッ


 ガッ

 シッ

    ――ブシッ


 ついには受けきれず、頬、腕、脇腹と少しづつ切り刻まれていく感覚にクノールの顔面には冷たい汗の珠が浮き上がり、肌は白く血の気を失ってゆく。

 対反転技法リフレクション・テクニックすら封じる蛮族の剣に、今こそ、肉体の底から震え上がっていた。


「コレガ――ワザダ」


 狼狽えるクノールとは真逆に、あくまで平静な蛮族が静かに語りかけてくる。


「コレガ――ツミカサネル、トイウコト」


 奇態で歪な動きでありながら、そこには確かに洗練さが感じられる。

 無駄もなく音もなく。

 そよ風も巻かずに静から静へと移り変わる。

 修練でしか練り上げられない動き。


「……実戦より、上だと?」

「チガウ。ソレモ、ツヨサノヒトツ」

「?」

ドチラモ(・・・・)、ダイジ。ドチラモ、ヒツヨウ」

「……」


 受けるたびに、実感が湧く。

 受けられるたびに、見せつけられる。

 蛮族の“受け”から“受け”への変化、あるいは“構え”から“斬り終わり”まで――『一級戦士』のクノールでさえ認識を許されぬ“異次元の速さ”が、何によって支えられているかをはっきりと感じ取る。

 その背景にある、長き修練の時を。

 遙か高く積み上げられた、その厚み(・・)を。

 それはまさに“驚嘆”の一言に尽きる。

 いや感動的でさえある。

 だが同時に奥底から沸き上がってくるものは――



「ふざけるな――」



 尊大さがなり(・・)を潜めた低い地声。

 だが、蛮族が戸惑いを示したのは、辛うじて凌いでいたにすぎないクノールの受け位置(・・・・)が、肉体直前から本来あるべき定位置・・・に移っていたがため。

 時に押し込まれ、肉まで断たれていた受けの弱さが、驚くほど力強いものに変わっていたからだ。それほどのいかなる変化が、クノールの心中で起こったというのか。


「“強者”は俺だ……お前じゃないっ――」


 誰かに、あるいは自分に言い聞かせるように。

 力強い波動を感じるその声は、明らかな『戦気』による効能だ。昂ぶるクノールの感情に呼応して、無意識に生み出された『戦気』が彼の力を底上げしている。

 だが、へし折れかけた彼の心に熱を入れたのは、何かへの“恐怖”。


「俺は……強さを手に入れたっ」


 咽を絞り上げるクノールの叫び。

 その言葉はもはや自負ではなく、祈りに近い。

 だから叫ぶのか。


「俺は強いっ、強いっ、強いっ!!!」


 力みは剣を鈍らせる。だが時に、常軌を逸した力を発現させることもある。

 今のクノールがまさにそれだ。

 連発させる剣技スキルに体力や精神力が枯渇寸前になっていてもおかしくない状況で、それが無限であるかのごとく放ち続けるその異常。

 故に、狂ったように乱れ舞う斬撃に、尽きることのない金色の軌跡が混じり合う。

 その死線が荒れ狂う空間に、不気味なほど、刃と刃の噛み合う音が響くことはない。

 それもクノールの『硬直無効リジッドフリー』がすべての打ち合いを強制回避しているからだ。

 繰り出されるすべての斬撃が、互いの刃先を触れ合わせた刹那、遅滞なく、次の斬撃へと連ねられてゆくために。

 だが同時に、蛮族の剣もまた、互角に打ち合っているからこそ実現される現象でもある。



 ギ、キキキキキキキキキキ――……



 弾けあう火花のきらめきと、刃が空気を切り裂く風切り音。

 瞬きする一瞬に、幾重にも重ねられる音の圧力が狂ったように鼓膜を振るわし、しかし当人達の意識から耳鳴りのような音はすべてカットされる。

 特にクノールの集中力は異常なものだ。


「――――っ」


 彼の振り切れた感情が、ある限界点を突破して、ただ無心で剣を振り続けていた。

 その目は、すでに目の前の蛮族すら見ていないかのように焦点がズレている。


消えろっ(・・・・)。俺の前から――」


 まるで別の誰かを相手にしているように。

 その必死さに怯えすら垣間見えるのが原因か――溜め込んだ暗い感情が裡から溢れるように、クノールの身体から、黒い靄のようなものがゆらめき立ちはじめる。


「消えろぉおおおおおお――!!!!」


 それは心の底からの拒絶。

 絶叫と共に放たれた一撃は、当然のように蛮族に受けられるも、そこで終わることはなかった。


「ムグ?!」


 これまでと明らかに違う剣圧に蛮族の剣鉈が押し込まれ、はじめてその仮面から呻きが洩れる。まさか、そのまま支えきれずに押し退けられてしまうとは。

 彼にとっては本戦闘が始まってから、初めての後退。それを成したのは、人外の身体能力を有する彼からすれば、幼児に等しきただの人間(・・・・・)


「……ハァ――……」


 クノールの口からゆるりと洩れる濃い灰色の吐息(・・・・・)

 その双眸は忘我の域に漂うように、心ここに在らずといった塩梅で。

 まるで物語に出る冥府の眷属がごとく(・・・・・・・・・)、妖異なる空気を纏わり付かせていた。


 ◇◇◇


 それは薄れていたはずの記憶――



 今日こそ、止めてみせると少年は心に決めていた。

 十二を迎えても、腕は細くあばら骨が浮き出て見える痩身ではあったが、重労働に耐え抜き今日まで生き抜いてきた自負が、少年の中に生まれていた。

 それが“抗う”という小さな意志の芽も同時に育んでいたに違いない。


 今日こそ、守ってみせる――。


 睨み付けるのは扉代わりに垂らした布きれ――その先の外。

 外から来るモノ。

 そよ風で揺れる布きれは、あまりに薄くて目隠しにさえならない。

 馬小屋のような家には立派な“玄関”ではあったが、外からの理不尽な暴力を押し留める力など期待できないのだ。無論、押し入られたところで、めぼしいものなどあるはずもなかったが。

 ひと部屋しかない間取りには、寝るのに必要な藁と汚く薄い毛布が一枚きり。他には手製の竈と食器そしてわずかばかりの食べ物があるくらい。

 ただ、暮らしを支える大切な農具は“家宝”と言えるだろう。

 だがそれだけだ。

 貧しくて当然であり、街で見かける浮浪者がいない辺境の村としては、三割程度がこうした底辺家庭であり一般的なのだ。

 いや、少なくとも少年にとっては、生活用具以上に大切なものがある。

 それだけが支えであり、すべてだ。


 誰だってそうだ――子供であるならば。


 なのに、その大切なものを奪いに来るがいる。我が物顔で出入りし、食い散らかし、踏みにじり、去って行くだけのケダモノが。

 そいつ(・・・)の去り際に見せる満足顔が少年にとっては不快でならなかった。吐きそうなくらいに気持ち悪かった。


 そしてなによりも――怖ろしかった。


 それでも、そいつ(・・・)の姿が消え去ると、途端に、ふつふつと怒りが湧いてくる。

 噛みつき、爪を立て、ぐちゃぐちゃにしてやりたいと叫び出したくなるほどに。

 なのに、そいつ(・・・)を目にすると、いつも震えて何も出来ない。

 大切なものを蹂躙されるがまま、泣きじゃくって終わるのだ。

 嵐が過ぎ去るのを待つように。

 涎を垂らす野犬が興味を失ってくれるのを祈るように。

 むしろもう少し幼い時の方がマシだったろう。


 やめてと懇願したこともある。

 いじめるなと怒ったこともある。


 ぼろ雑巾のように殴られ蹴られて打ち棄てられるだけだったが。


「――――それも、今日までだ」


 何とか振るえるようになった大人用のクワを少年はきつく握りしめた。必要以上に力が入っていることに気付けぬまま。

 布きれ越しに外をうかがう。

 そいつ(・・・)が来るのは数日のペース。

 連れ合いと畑仕事をこなし、子供をあやして、家庭での平凡な日常をしっかり堪能した後に、やってくる。

 平穏の退屈さ(・・・)をまぎらわすかのように。

 刺激を求め、獣のごとき欲望を満足させるためだけにそいつ(・・・)はやってくる。

 だがなぜそれを少年達が受け止めねばならないのか。それが少年には分からない。だが蔑みあるいは憐れみの目を村人達から向け続けられれば、何となく「そういうものだ」と事実のみを受け止めるようになってくる。

 それでも理由は不明だ。聞かされても納得などできるはずもないが。

 だが自然と自問自答する。

 父がいないからか?

 貧しすぎるからか?

 あいつにとって、自分達は――



「――おい、どけよ」



 びくりと震えて、少年は思わず脇に避けていた。

 暗い記憶に埋没しているうちに、そいつ(・・・)が近づいていたのを気づけなかったのだ。

 すっかり機先を制された少年は、動揺しすぎて心臓の高鳴りに気をとられ、片手で胸を鷲掴みにするので精一杯。当然、そいつ(・・・)と視線すら合わせることもできずに素通りさせてしまう。

 だが、それでは駄目だ。

 それではいつもと何も変わらない。

 そうはいっても、かすかに声を洩らせたのは軌跡に近かった。


「…………てよ」


 そいつ(・・・)がぴたりと足を止める。


「――ぁあ?」


 怖ろしい形相で振り向いた時には、少年の頬に熱が入って、同時に頭が真っ白になった。

 夢中でクワを振るったはずだが覚えてはいない。争いにさえならず、一方的にやられていたのは確かだろう。それでも、少年は初めて、何度でも抗おうと試みたのだ。

 たった一度だけでも、身体が動けばそれが続けられた。朦朧としていたせいかもしれないが。

 ただ、すべてはわずかな時だ。

 時間稼ぎにもならない。

 訳も分からずに土の冷たさを肌で感じ、土の臭いをわずかに嗅ぎ取っていた。続けて打ち付けられた衝撃は感じることさえできずに。

 女性の悲鳴が聞こえた気がしたが定かではない。すぐに意識を飛ばしていたからだ。

 その後は、いつも通り。

 いや、いつも以上。

 事実が語る――少年の奮闘などなかったのだ。


「じっとして……」


 次に少年が気付いたときには、目の前に不安に満ちた女性の顔があった。

 肌はくすんで目尻に皺も多くなったが、きちんと養生できていれば、年相応に若く見え、何よりもきれいであったろう。

 それでも少年にとっては美しく、優しい――母なのだ。


「か……さん」

「しゃべらないで……今きれいにしてあげるから」


 埃と血だけでなく、溜まった垢がへばりついた我が子の顔を、母親は懸命に汚い布きれで拭おうとする。

 こすって落ちるものでもない。

 だから唾で布きれを湿らせ、汚れと戦う。

 嫌な匂いのする母親の顔の方がよっぽど汚れているのだが、少年が手を伸ばし拭ってやろうとすると、やんわりと押し戻される。


「わたしは……いいの」

「か……」

「いいのよ。それより、男前が台無しね」


 苦しそうな笑顔。

 笑顔の下に押し込められたものを少年でさえ感じられるほど。それを意に介さぬ母親は懸命に拭い続ける。

 足りなければ、直接少年の頬に口づけて。

 不思議と、触れたところだけ痛みがひくような。

 じん、としていただけの部分に感覚が戻ってくるような。


「痛く、ない……」

「……ごめんね」

「?」


 何かが頬に当たった気がするが分からない。それよりもっと分からないのは、自分こそ謝らなければならないのに、ということだ。


 自分がもっと――


 自分がもっと――――ければ。


 ◇◇◇


 陽炎のように揺らめいていた黒き靄が薄くなり始め、同時に忘我の域にあったクノールの双眸が明らかな意志の光を強めてゆく。

 そうしてゆるやかに目覚める(・・・・)


「――ちっ、何でいまさら」


 いつの間にか、振るっていた剣を下ろしていたクノールは、不機嫌を隠さずに吐き捨てた。

 あの日の翌日、冷たくなっていた母を目にしたとき、すべてを変えたはずであった。

 失望と怒りによる『昇格アンプリウス』――事例がないと言われたが、世界は広い、似た話はあるだろう。

 ただし、同時に『異能アビリティ』まで獲得した者は、金輪際、現れることはないかもしれないが。

 文字通り生まれ変わった彼は、弔い、獣狩り(・・・)を終えたことで、惰弱な自分とは決別したのだ。燃え落ちた村と共に。

 そうとも。

 もはや自分は蹂躙される側ではない。


する側(・・・)なんだよ、今の俺は――」


 だから充実している――はずなのに。

 消えない。

 口にしたところで消えやしない。

 あの時の、母の舌触りが。

 忘れられない――あの得も言われぬ感覚が。


「くそっ」


 クノールは目の前にいる蛮族を睨む。


「貴様のせいで……」


 手に入れた力を抑え込む、抗えぬと思い知らされる蛮族のせいで、あの時の恐怖や痛みが――苦しみが奥底から這い上がってくる。

 一瞬、舌女が脳裏にちらつくが拒絶した。


 認めん――惰弱など。


 示せばいいのだ。

 もう一度、獣狩り(・・・)をすることで。

 そして、この忌々しい記憶を呼び起こした根城も潰してしまえばいい。もはやクノールの頭に組織からの指令など消えていた。いや、『俗物軍団グレムリン』のことさえも消えている。

 今、彼にとって重要なことは、薄れた強者としての実感を取り戻すこと。彼を過去に引きずり戻す元凶をぶち壊すことのみ。


「イキがるなよ、蛮族が。貴様に、俺がどれだけ強いか、分からせてやるっ」


 腹の底でうねり狂う感情を、吐き出すようにクノールが吼える。

 すでに『戦気』は十分に練り上げられた。

 胸中でとぐろを巻く、濁りきった感情も混ぜ合わせることで、危ういが過剰な力に育て上げられている。それが黒い靄の正体だ。


 クノール独自オリジナルの『戦気瘴』――

 原理は己でも不明だが、生命力を削るデメリットよりも身体能力が通常『戦気』の三割増し感覚で増強されるメリットに利を見出した“切り札”だ。

 ちなみに、状態悪化を与える魔術耐性にも秀でているが、今回の対決には残念ながら意味はない。


 それはまるで冥府の女神が従えるという狂戦士ベルセルクに似た姿。

 首筋から黒き瘴気をゆらめかせるクノールに、だが、グドゥと名乗った仮面の蛮族は動じもしない。

 増してゆく圧力に、獣的な反応を見せてもいいはずなのだが、身体を小揺るぎもさせずに二つの剣鉈をゆるりと掲げたまま。


「サッサト、コイ」

「気取るな、蛮族っ」


 再び吼えると同時にクノールの相貌から表情が消え去った。


「五十年。お前の積み重ねは確かに凄い。褒めてやる……だが、闘神が定めし戦技スキル積み重ねに(・・・・・)、比肩し得るか――?」


 それは問いではない。

 敵意に溢れるクノールの挑発だ。



 体術スキル『瞬歩』――

        ――からの剣術スキル『孤月刃』



 瞬時に間を詰め、その踏み込みが剣撃のそれ(・・)となり、上乗せされた剣速が黄金の軌跡に凄絶な鋭さを与える。

 通常の戦技スキルを越えるその速さに、軌跡の黄金が白光に変わりかけるほどの鮮烈さ。

 それはクノールの異能(アビリティ)硬直無効リジッドフリー』の効能が、あり得ぬはずの戦技連携スキル・コンボを実現させた証。



 ――――ァ……ゥウ!!



 放った当人さえ追えぬ剣速、そしてその輝きは、“最も神に近づきし者”――『至人イデア』の御業に瓜二つ。

 

 それがわずかに反らされる。


 ただ一本の剣鉈ごときに。

 遅れて走り抜けた衝撃波にグドゥの態勢が崩れるも、クノールは追撃すらかけることができずに固着していた。


「……んだ、と?!」

 

 驚愕がその心を鷲掴みにしていたからだ。

 当然だ。

 『戦気瘴』を使って敏捷性を強力に底上げし、その上で『瞬歩』の加速を『孤月刃』に乗せて放ったのだ。

 考えられる限りの、最大最速の技を叩き込んだのに躱されるなど、それも音速とも呼べる領域の剣を避けられては、今見たことでさえ納得できるものではない。

 決めるつもりだった。

 対『幹部クアドリ』を想定してひた隠しにしてきたこの至技で。

 それが。


「…………これすら抗えるのか」


 ぞわり、と産毛が逆立っていた。

 恐怖ではない。

 それは純粋なる興奮。

 たった今、蛮族が見せたものは、クノールにとっても単なる無念や絶望を抱かせるものではない。


 小さいが、目が眩むほどのまばゆい奇蹟。

 あるいは白き光明。


 なんということか。

 神が定めし剣筋に、己が力のみで肉薄し、手を届かせる道筋があるというその事実に、戦士としての本能が打ち震えていた。


「やれるのか、そんなところまで……」

「ヤレバイイ」

「!」


 無造作な一言にクノールはびくりと震える。

 何を云ってやがる、と。

 

「オレハヤッタ」

「……」


 淡々と事実を告げるだけの言葉は、クノールにとってはことさら重く感じられるもの。

 五十年――人では成しがたい遙かなる道程だ。少なくとも二十歳をとうに過ぎたクノールにとっては、霞んで見えぬ目標の地。

 だが。

 修練以外に示したものが、他にある。


「……何を勝った気でいやがる?」

「?」

「俺はまだ、負けてなどいないっ」

 

 敵に塩を送るとは馬鹿なヤツだ。

 そこへ辿り着く道がひとつでないというのなら、同じように、“蛮族に勝つ道”もまだ捜し出せるはず。


「お前は、ただ俺の技を防いだだけだ」

「……シカケロ、ト?」


 意を汲んだ蛮族の言葉にクノールは唇の端を吊り上げる。

 決して悪あがきではない。

 『硬直無効リジッド・フリー』で渾身の反撃を試みる――活路があるを承知するからこそ、クノールの戦意は燃え上がる。

 次こそが、最後の攻防になると予感して。

 それは相手も分かっているはずであった――。


         *****


同じ時間、同じ場所

 『黒き小鬼チーム』グドゥ――



 類い希なる相手に、グドゥは柄になく満足していた。

 剣技スキルを使う『探索者』をこれまで何度も相手にしてきたが、ここまで使いこなせる熟達した者は滅多にお目にはかかれない。


 「いない」というわけではなかったが。


 そのいい例が『狂の者』だ。

 目の前の男も技の繋ぎが素早く、それ故の剣技スキル連携には目をみはるものがある。


 だが、彼らはそれを上回る。


 技の繋ぎが速いのではない。背筋が寒くなるような滑らかさ(・・・・)

 クノールも鮮やかに反撃してみせるが、そこには必ず限度が見える。だが、彼らの返しは無限を思わせ、いかなる攻めにも合わされると確信してしまう――まるで湖面に映る己を相手にするがごとく。

 むしろ、クノールが並外れた強者であったからこそ、一層、記憶の中の彼らの凄み(・・・・・)をあらためて感じ入ってしまったのだ。

 同時に理解した。

 彼らと自分達とを隔てるもの。

 それはあまりに明白だ――自分と彼らとの差、そして自分とクノールとの差を体験すれば、答えはひとつしかない。


「(積み上げの差――)」

「あ?」


 思わず独りごちた声をクノールが訝しむ。言語の壁とは不便なものだが、グドゥにはそれ以上に伝わる話法を幸いにも知っていた。


「キニスルナ」


 独自の構えを取りながら再開の意志を示す。その胸に自分達が信じて続けてきたことへの絶体なる“確信”を抱き、それがもたらす戦意――魔力の強い波動を抑えられずに。


「オレモ、ホンキヲダス……オワリニ、シヨウ」 「ハッ、まだ手抜きだと? 云ってくれるな――」


 応じるクノールに、もはや怒気を示す感情の揺らぎはない。全力を尽くすべき相手に、ただ一撃を叩き込むことのみに集中している。

 その剣に黒き異質の魔力が注がれてゆくのをグドゥは感じ取っていた。

 人間というよりは、上位の魔獣に似た禍々しい魔力に、グドゥは心からの驚きと同時に喜びさえ感じてしまう。

 だからそれは、無意識なる呼応だ。



 ズワリ、と。



 グドゥの見事な体躯から、これまで以上に分厚い熱気が溢れ出す。彼の高揚を写し出すかのような熱き波動が。


「!!」

「オレハ、ケンヨリモ……マリョクガ、トクイダ」


 視覚化するほどの桁違いの魔力量に、クノールの目が見開かれ、口を開けて絶句した。

 人間では持ち得ない魔力の絶対量に、彼が度肝を抜かれるのは当然であったろう。ただ、『怪物』と比べたとしても、同等の魔力量を示す存在がどれほどいるかは分からぬほどだが。

 

「(これも……積み重ねを知らなければ、扱えなかった量だ)」


 修練という概念を知り、地道に積み上げた成果として、グドゥは裡に眠る魔力のすべてを引き出せるようになっていた。

 量そのものは長年死闘を繰り返してきた『昇格』(アンプリウス)による成果だが、ほとんどの『怪物』が魔力を扱う努力をすることなく宝の持ち腐れにしてしまう。

 そう思えば、グドゥ達だからこそ、率先して学び実現できた特別な能力とも言えようか。


「オマエノ、クロイマリョク……オレニハ、ツウジナイ」

「なら、試そうぜっ」


 振るわれる一撃に、呪力の付帯効果を伴わせてクノールが剣を走らせ、熱気を纏わせるグドゥの剣鉈が唸りを上げて迎撃する。



 ヴァ――ァァァシ!!



 互いに打ち消し合う、瘴気と熱気の余波が大気を震わす。

 もはや技倆で勝負がつかぬなら、持ち得るあらゆる能力で相手を凌駕してみせるまで。

 互いに“切り札”を切り合い、すべてを絞って雌雄を決するだけだ。


「(くあっ)」


 グドゥが力強く踏み込み、その身を包み込む熱を持った魔力圏が物理的な圧力を伴いクノールに押し当てられる。それをクノールは黒い戦気瘴で討ち払い、逆に黒き剣気を剣技スキル『朧月』で疾らせた。


「おあっ!!」

「(むんっ)」


 漆黒の偃月に熱気剣が上から叩きつけられ、刃よりも密圧な魔力にねじ伏せられるように、根幹たるクノールの瘴気剣が打ち落とされる。

 無論、『朧月』による剣気も滅失させながら。


「な――」


 あまりに馬鹿げた迎撃結果に言葉を失うクノール。そこへ二本目の熱気剣が無造作に襲い掛かった。



 『硬直無効リジッド・フリー』――



 驚愕を『異能』で強引にキャンセルし、必死で受けに回るクノール。

 それへ間髪入れず叩きつけられる熱気剣。

 剣身は防ぐも熱風のごとき魔力波動がクノールを打ちのめし、体内の瘴気が討ち払われ、それでも相殺しきれぬ敵対魔力に浸透されて、クノールの顔面、首筋に腕周り――外気に晒している皮膚が紫色に鬱血する。


「この――化け物がっ」

「スギタ、ヒョウカダ」


 云うなり、噛み合わせた武器を引くのがほぼ同時。


 ここだ――――!!


 その瞬間、クノールの無言の絶叫をグドゥは確かに感じ取る。

 双眸の奥底で光る蒼白い殺意を見逃すこともなく。

 だからこそ、左右上段から襲い来る“魔獣の牙”がごとき剣閃をグドゥは『双牙斬』――それも通常のそれより幅広に展開していると看破して。



 シ――

  フィ――――!!



 瞬間、グドゥの身体が二重にブレて左右の受けが同時展開された。それは盾系スキル『双璧』と相似の驚くべき高速防御。

 クノールの足掻きを無意味と打ち棄てて、返しの技を死撃にと狙えば。


「おおっ!!」 

「!」


 クノールの絶叫と共に剣閃が輝きを増し、襲い来る牙が三つの稲妻に変わるとは。それは筋肉断裂と引き換えの『硬直無効リジッド・フリー』による三連撃の強制執行。

 クノールの執念が、グドゥの心臓をもぎ取らんとする。


 それすら凌駕するのか、グドゥの修練よ。


 当然のように三つ目(・・・)の“受け”が展開されてもクノールの相貌は“嗤い”を象った。

 ぶちぶちと音を立てながら、さらに増える四つ目の雷光。

 その時、確かに、『一級戦士』クノールの技倆は公国至高の“三剣士”にさえ並び立ったのだ。

 彼も満足したに違いない。


 四つ目(・・・)の“受け”が、堅牢な城門のごとく立ちはだからなければ。


 大陸屈指の“四連撃”が砕け散り、すべての熱量を絞りつくしたクノールの薄身に、無慈悲な一撃が振るわれた。



「――間違いねえ、お前は化け物だ……」


 

 瞳から意志の光が消え、やけに鈍い音が地面を叩く。

 首を失ったクノールの胴体が、ゆっくりとくずおれるのを目に留めてから、ようやくグドゥが構えを解いた。


「(……何だ?)」


 己を凝視する同朋の視線に気付いて問うものの、「いや」との短い返事のみ。


「(あそこまでとはな……隠してやがったな)」

「(む?)」


 再度、目で問いかけるがグルカに肩をすくめられただけだ。話題を変えるように別の話をされる。


「(なかなかの相手だな)」

「(うむ。だが……まあまあだ)」

「(! まあなっ。俺だったら、もっと派手に圧倒してたが、な)」


 見え透いた虚勢を張るグルカにグドゥは「(かもしれん)」と相づちを打つ。それがいけなかったのだろう。


「(ぁあ、ゼッタイだよ?! ゼッタイ、派手に、圧倒した!!)」


 興奮して拳を掲げるグルカに冷めた目で応じるグドゥ。視線の先にある傷つき血に塗れた拳は、彼ら(・・)に教示を受けた技ではない。


「(え、いや、これは気持ちを表してのもので)」「(責めてなどいない。圧倒するなら何でもいいだろう)」

「(……だよな?)」


 グドゥも技のみで勝負を決めたわけではない。

 最後の動きも魔力のほとんどを身体強化に注ぎ込み、奇跡的に食らい付いたにすぎない。実際、全身がひどい倦怠感と苦痛でぐちゃぐちゃになっているのだから。


(あれだけは、確かに凄いヤツだった……)


 グドゥの胸中など知ることもなく、ほっとしているグルカに、ちょっとした憂さ晴らしも込めて冷ややかな声を突き刺す。


「(ただ、それが彼らの技でないのは確かだ)」

「(……)」

「(精進することだ)」


 無論、本気で嫌味を云ったつもりはない。

 グルカの技は自分とさして劣らないからだ。

 だが感情に振り回され、自ら技を捨ててしまうところが同朋にはある。

 状況に応じて使い分けるなら、それでもいい。そうでないからこそ、グドゥは案じるのだ。おかしな事態にならなければよいと。


 かくして、根城の拠点は黒き小鬼達の手により制圧された。

 そのことは諏訪の者達にとって、策の順調な推移を報せる吉報となり、同時に別の者達にとっては凶報以外のなにものでもない。

 ここで間違いなく言えることは、両者の想像以上に拠点の占有者変動が大勢に影響を与えるということ。

 残念なのは、そのことを誰も理解していないということか。

 そして、知らず知らずのうちに、黒き小鬼達が成し遂げた大金星も別件によって薄らいでしまうのである。 

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― 新着の感想 ―
[一言] グドゥ強い!うまく言えませんが、そそり立つ巌のようなスケールを感じました。 やはりクノールの剣は届きませんでしたか。 涅槃で母親と再会できますように。 しかし「狂の者」とはどれだけの実力を…
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