#.2
起きたらそこは、知らない世界だった。
そして、僕の横には知らない人がいて、
「あ、起きたんだ。具合はどう?」
と聞いてきた。
「いや、別になんともないけど、そんなことよりここはどこなの?」
「あなたなにも覚えてないの?あなたこの家の前に急に現れて倒れたの。」
「全然。ていうか、あなたは誰?」
「......誰って。ここに住んでる人、だけど。あなたは?」
「赤道タケルです」
「そう、タケルくんね」
そんな感じで、この家に住む住人に話を聞いていた。
しかし、この家の住人の話を聞いても全く信じられないのだ。
この家に住む住人は、僕がこの家の前に急に現れてきたと言うのだ。
そんな話をしてると、知らないおじさんが入ってきた。
「ごめんください。ここに赤道タケルというか青年はいませんか?」
「はい、僕ですけど」
「君か、赤道タケル君は。とりあえず、私についてきなさい」
「なんなの急に、ていうか、あなた誰?」
「いいから、私について来なさい」
変なおじさんだなと思った。まぁ、それ以前にここがどこだかわからないのだけど。
この家の住人を見ると、深々とそのおじさんに向かってお辞儀をしていた。
不思議に思いつつ、僕はそのおじさんについていった。
しばらくして、そのおじさんの家に着いた。
「さぁ、上がって。そこに掛けなさい」
僕はそこにあった椅子に腰をかけた。
「申し遅れたが、私の名前はタンギーニ博士だ、よろしく。早速だが、君はここがどこだか分かるか?」
「さぁ、全く」
「まぁ、それもそうだろう。ここはマーシー王国という王国だ」
「マーシー王国...。聞いたことないね。」
「それもそうだろう。なぜならここは、お前さんから見て、夢の世界なんだから」
「...夢の世界。いやあの、何言ってるの?」
「お前さん。寝ている時、夢を見るだろ。」
「はい、たまに。」
「お前さんは今、夢を見ているのだ。」
「...いや、何言ってるの。ここは現実の世界でしょ?感覚もちゃんとあるし。」
「試して見るか?」
「え、何をですか?」
「お前さんが今、夢を見ていることを証明することを。」
そういうと、タンギーニは立ち上がり、自分の腰に収めていた剣を抜いた。
「ちょ、ちょっと。何するの。」
「お前さんは今、夢を見ている。それを証明するために、今から私はお前さんを斬る。」
「いや、何言ってるの。いや、ちょっと待って。」
「えい!」
「うぎゃあぁぁぁ!」
「うぎゃあぁぁぁ!あぁ、ゆめか。」
あのタンギーニというおじさんに斬られて僕は目が覚めた。
しかし、夢にしては妙にリアルだったと思う。
まぁ、いい。明日も早いからもう寝よう。
そう思い、僕は目を閉じた。
その後、あの夢を見ることはなかった。
翌朝、目が覚めた。
寝ている時に見た夢のせいで、朝の目覚めは最低だった。
今日は日曜、部活もある。
まぁ、今回の夢は忘れて早く部活に行こう。