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私の平穏の日々と騒々しい世界たち  作者: ガゼルにしむりゃ
組織に追われる異様者達
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本当の姿と組織の名、そして省略

 マリィコールズだとしたら私を見つけた瞬間襲い掛かってくるのでおそらくは別の組織だろうが、私にはそういう組織と関わった覚えも、見た、見つけられた、目をつけられた覚えもない。

 と言っても長く生きているので、知り合いのどこかから漏れたという事もあるだろう。

「そう身構える事は無いよ、データベースにはなくても目星はついてる、このソゥヲバーリュの脳内には組織の姿が浮かんできているよ、まさにチートキャラって感じかな」

 どや顔をしながらソゥヲバーリュは少し興奮した様子で腰と足をひねって、手の指の関節を全て逆向きに折って謎のポーズを決めた。

 相変わらず頭に何か危ないモノがキマっているかのような振る舞いだ。

「ほう、それはどの組織だ?」

「ガゼルは聞いた事あるかどうかは知らないけど比較的新しい、ざっと全世界統一時間で百九十三万年くらい前に最初の活動が確認された新興宗教組織、その名もグァットジーイル、名前の響きでわかるかい?」

 グァットジーイル、か、知らない名だが、どこか私の名前をややこしく引き伸ばしたかのような名前……成程、大体その宗教の目的はわかった。

 私の頭に一つの閃きが走った。

 いや、閃きというには小さい気づきのようなモノだが。

「ガゼルなら、もといグァットジーイルなら気付くよね?」

 その気づきはソゥヲバーリュの言葉で可能性から真実に進化した。

 グァットジーイルは私の名を指すどこかの世界の言葉、世界によっては訛りや発音の仕方や、言語の違いからそういう風に自分の名前をそんな発音で使う事がある。

 そして私はそんなグァットジーイルと呼ばれていた頃、いくつかの世界群を何度も救った事がある。

 つまりはグァットジーイルという私の名前を掲げるその宗教はそのまま私のことを崇拝する組織の名前。

 そしてそんな組織が私の何かを求めているとすれば――

「ガゼル、奴らが君に求めているのは力でも知識や記憶でもない、救いだよ」

――ソゥヲバーリュをそう告げて、指を鳴らすとどこからか光を伴い音が降りてきて足元で眠っているモーピォンォとクォリョを包むように渦巻く。

 柔らかく激しい音と光にしばし目をつむり、少し経ってその目を開くと、そこには二人の姿はなく、代わりに全く別の一人何者かの姿があった。

 物静かな青いローブを身に纏い、モーピォンォとクォリョをまさしく合体させたかのような姿、彼女達は元々二人で一つの人間であったのか。

「さて、ガゼル、ここから面倒くさい仕事だ、だけど忙しいソゥヲバーリュも手伝ってあげるから貸しに思っていいよ」

「間違いなく面倒くさいから助かる、ほら、飴をやろう、前金として受け取れ」

「えっ! 飴!? やったああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 喜色満面のソゥヲバーリュが叫び、私は思わず耳を塞ぐ。

 本当にこいつは不安定だ。

                         ・

 ソゥヲバーリュが一通り叫び終えた後、そのうるささで目を覚ましたのか、今しがた合体した一人が目を覚まし起き上がる。

「ここは……わーたしは……グァットジーイル、グァットジーイル!? ああ、わーたしはついに目的を果たすことが出来たので!!」

 本当に二人を足して二で割ったような声で、話し方で、体つきで、仕草で、だが記憶だけは私が解析した時とは全く別のモノが入っているようだ。

「グァットジーイル、改めて名乗りましょう、わーたしの名はリモーピョオンリォ、滅びの定めからわーたし達の世界をお救いになられたあの力を、叡智を求めてここまで来たので」

 膝をつき曇りのないまなざしで私を仰いで名乗る彼女の名前を脳に刻む。

 が、長いのでリモーピョと略す事だけはすぐに決めた。

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