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詠唱解放と到着、そしてさらなる脅威

 詠唱を使い、抑えていた魔力の消費を解放するのと同時に多くの探知魔法に私の存在が掴まれたのを感じる。

 それはそうだ、この位放てばよほど鈍感で下手な索敵術士でもない限り感知できるであろう魔力を使ったのだから。

 顔を確認されないように姿を消す詠唱は唱えておく、魔力で位置はバレるため、意味はないがこの世界への未練がまだ残っているため、つい使ってしまった、まあこの程度の魔力消費は問題にはならない。

 エンドフォグのいる所まで転移し、全てのエンドフォグの正確な座標を探知する。

「塞げ、防げ、何者をも通さぬ壁を作れ、我、詠唱す」

 そしてそのエンドフォグ全てを逃がさぬように不可視の壁を張る。

 いくら破壊の権化と言われるエンドフォグでも見えない壁だったら多少は足止めにはなる。

 そして詠唱を使うからにはその多少で十分だ。

「収束せよ、全て、私の手の上に、我、詠唱す」

 壁の内にいる全てのモノを対象に私がそう唱えると手のひらの上に周りの景色がすべて吸い込まれ、壁の内は闇すらない無色の空間になり、吸い込まれた景色や、そこに含まれる生物や無機物、そしてもちろんエンドフォグは混ざり合って複雑な色を放つ楕円形の物体になって私の手の平の上で蠢いている。

 コードSの許可は先程もらったのでその球体に向かってそのまま使い、エンドフォグだけをきれいに排除する、このコードSの力は強い上にこういうかげんが出来るからこそ世界管理官の中でも上級の者にしか使用権限が与えられていないのだ。

「解放」

 言葉と共に私の手のひらに切り取られた世界が元の場所に戻り、何事もなかったかのようにそれぞれの活動をしていた。

 さて、私の担当するエンドフォグはこれで全て消えたので、他のエンドフォグに向かった世界管理官に連絡して転移し、またそれを繰り返す。

 何回かそれを繰り返した所で頭の中にまた警告音が鳴る。

「やっと着いたよ、今どんな状況かな? わたしのしもべ共報告!」

 ソゥヲバーリュの声だ、あいつは部下の扱いのひどさには定評がある。

「やあガゼル、いつぶり? いや、最近会ったばかりだね、どうもね」

「ああ、そうだな」

 報告を聞いた後、私にも話しかけてきた。

「大変だったね、災難だったね、この感じだとガゼルはまたしばらく世界から出て放浪することになりそうだね、どう? わたしとまた働かない?」

「断っておこう」

「うえええええええええええええええ? いい提案だよ!? ふつう受けない?」

 普通に受けないだろう。

 私は静かに暮らしたいのだ、またどこかの世界に移り住み、静かに生きたい、今度は誰にも迷惑がかからない場所で。

 さて、ソゥヲバーリュも来たことだし、こちらもギリギリ何とかなるだろうか。

 と、安堵するにはまだ早いか、先程海から現れた魔物の方から大きな音が響いている。

 転移してかなり離れていてもだ。

 さらには私の探知にこの海撃隊の親戚のような組織の人間の反応が引っ掛かった。

 やはり早い。

 転移するからあまり気にしないでよいが、私を追うよりもあの魔物の方を退治してもらえないモノか。

 まあいい、次のエンドフォグのいる場所に転移するか。

 その時だった。

「こっこりゃあ大変なことになったい、ガゼルん、ちょっとこっちの座標に転移してくれるかい?」

「何だ? 今が大変だ、災難だとお前が言ったばかりでだろう?」

「いや、いやいやいや、そんな場合じゃないから、いいから来いって!!」

 突然、ソゥヲバーリュの様子が一転して、有無を言わせぬ様子になったので呼ばれた座標に転移する。

 そこは海の上、しかも海から現れた巨大な魔物のいる場所だった。

 そして、そこにはその魔物以外にも無数の小さい魔物が視界を覆うカーテンのように飛び回っている。

 それにしても大きい、いつか私の故郷で見た巨人と同じくらいか、その姿は所々が煙に覆われていて、さらに大きくなっていっているように見える。

 煙? 煙……成程。

「どうだい? やばいだろう?」

「ああ、言う通り、だな」

 背後にいるソゥヲバーリュに私はそう返す。

 魔物の身体の煙、あれは煙ではない、エンドフォグの体だ。

 私の探知からどうやって漏れたのか知らないがエンドフォグが巨大な魔物にくっついて吸収し、一つになってしまったのだ。

 つまりはこの巨大化したエンドフォグを倒さなければいけない。

 しかし、あれは力をつけているゆえに今までの詠唱は通じなさそうだ。

 さらに、海撃隊の姿、ひいては初希の姿も見える。

 ますます厄介なことになってしまった。

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