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魂の会話と世界管理官、そして初希

 エンドフォグが拡散しないように範囲を指定して、隔離された空間を作り出し、そこに向って分解の詠唱を使い、空間内に存在するエンドフォグを解体し、破壊を行う前に空間を世界から隔離し、封をする。

 そして一旦未開領域のあった座標に飛ばした。

 先程からこの作業を何度か繰り返しているが一向にエンドフォグは減らない。

 やはり私一人ではさっぱり足りない。

 エンドフォグは破壊した世界を食らい大きくなるが、それと同時に身を守る手段として身体を分ける習性も持っていて、最後に世界を食いつくした後、分けた自分の身を食らうのだ。

 つまりは私が一匹捕まえるとその間に倍以上増えている、という事。

 世界管理官はまだこの事態に気付かないのか?

 と思ったら脳を揺らすような警告音と共に脳内に通信のコールが鳴り響いた。

 これは、知り合いである世界管理官とつないである魂の通話ソウルフォンと呼ばれる世界をまたいでも会話であったり、感覚の同化、さらに手荷物程度の大きさのモノならば行き来の出来る技術。

 世界管理官の秘匿技術であるこれを私が身に宿しているのは、これの開発に少し関わっているからだ。

「こちらガゼル、今とても大変なのだがそちらも大変なのか?」

「大変も大変さ、何が何さって感じさ、何なのさ、もうっ!もうっ!もうっ!」

いきなり質問へのいきなりの返答にこめられた憤りは通話越しでも感じられた。

ついでに地団駄を踏む足音も聞こえる。

この知り合いの名はソゥヲバーリュ、情緒不安定でかんしゃく持ちだが能力はある。

「何があった? こっちも中々まずい事態なのだが」

「はあ? いつものほほん隠居しているガゼルがそんな状況になる訳ないじゃないか!」

 のほほんとは程遠い場所に行ってきたばかりなのだが。

 というか私は別に隠居したワケではない、平穏な日々を送りたいと望んではいるが、緊急事態と呼ばれれば飛んでいくしな。

 探索者をやめたワケでもない、といっても最近はあまり探索意欲はわかないが。

 と思ったが、言い返すと話がこじれるので言わない。

「そんな状況になっているんだよ、エンドフォグだ、しかも大量に」

「うっそだあ……うそだよね?」

「嘘ではない、つながっているのだから送るか」

 魂の通話により、私は状況を向こうに送りつけた。

「……ぶっひょふうぇっ! っぷけらああああああああ!」

 うるさかったので一度私は通話を切った。

                         ・

「大っっっ変じゃないかよ!! ふざけんなよ!!」

「私に言われても困る」

 数分後、私が数匹のエンドフォグを処理したところで幾分か落ち着いたソゥヲバーリュからまた通信が入った。

「こんな状況に気付かないほど今忙しいのか?」

「そうだよ! やばいんだよ! もう危機も危機だよ、でもそっちの方もやばそうだ、さっきは……その、ごめん、ひどいこと言って……何人か人を送るよ、こっちが終わったらウチも行く」

「ああ、よろしく頼む」

 最後の方はかなり落ち着きすぎて、鬱のような暗い声であったが、援軍の約束を貰ったので良しとしよう。

 さて、それまで持ちこたえられるといいが。

 私の元の身体を出せばすぐに済ませられるかもしれないが、その代わりに私の身体がこの世界に何らかの影響を及ぼしてしまう事を考えるとそれは最終手段として。

 かといって、多重の詠唱を展開する事も出来ない。

 詠唱に使う魔力はこの世界にいる魔物の力とよく似ているのだ、それを嗅ぎつけられてそれこそ初希のような魔物を倒す部隊に追われても困る。

 この世界の魔物を追う技術はすさまじく、前に詠唱を普通に使っていたら三日三晩は追い回された。

 今も私を探している奴らもいる位だ。

 そして、エンドフォグを数匹また処理して、そろそろ何か手を変えなければと思っていると、探知魔法にエンドフォグ以外の反応が引っ掛かった。

 先程からそこらに一般人はいるがそれとは別で、私に向かって飛んでくる気配。

 遠視の詠唱で見て、心臓をつかまれるような感覚を覚える。

 視線の先、初希がまっすぐ私めがけて飛んできていた。

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