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第4話

我慢の限界は割とすぐに来て、踏み出してしまえばあとは簡単であった。



いや、こう聞くとまるで危ないお薬や犯罪を開始する狂人のように聞こえるかもしれないがそういうわけではない。


その実は簡単。

単にあの船底喰いの体液に汚れた部屋の異臭と殺風景な部屋に我慢できず、部屋から抜け出したというだけの話だ。

ともかく自分はふて寝してから、2,3日もたたずにあっという間に部屋の外の海中へと飛び出してみたわけだ。


外……いや、海中は思ったよりもどうにかなった。

海の中は広大で真っ暗ではあるが、それでもなんというか、自分のクラスのおかげか、もしかしたらスキル【闘技】のおかげか、自分の視界に入らない部分でもなんとなくどこに生き物がいるかわかったし、そもそも部屋の外にはほとんどまともな生き物はいなかった。

そして、泳ぎは得意でも苦手でもなかったはずが、なぜか今は海中内を縦横無尽に動くことができ、その上どのような原理かもわからないが水の中でも普通に呼吸ができる。

水圧とか水温とかですらなんのそのといったまさに水中ならお任せという感じであった、


後、部屋の扉は海中……いや、少なくとも光が当たらない深海の切り立った絶壁にあったのだ。

そして、扉そのものはその壁にめり込むかのように取っ手が付いいるだけのカモフラージュされたようなものであり、それをあらかじめ知らなければ扉だと知らなければ、存在にすら気付かないほどだろう。

そのため第一に自分のやった行動は扉の周りの壁に生き物がいるかどうかの観察と採取であった。


この世界の扉を開けて一番初めにであった生き物があの巨大イソギンチャクであったため、内心かなりドキドキしていたが、扉の周りの崖にいたのはせいぜい小さなフジツボのような生き物や海草であり、別にこちらを襲ってきたりするようなものでない、常識的なものしか見当たらなかった。

しかしながら、それらは普通の生き物ではあるが、いざ採取しようとすると非常に面倒くさい。

海草にしろ貝にしろ、それらは以前の体よりも強化されていようこの腕力でさえ、ぴくりともしない。

本気で引きはがすためにはナイフを使わなければならないし、その作業は全力で,かつ時間をかけて行わなければならなかった。

その上、それらを採取&殺害?してもソウルは全然たまらず、英雄点も2,3点増えるだけ。

明かりは自分の腕輪のみしか存在せず、それは見た目以上の自分にストレスをかける作業だといえるであろう。




……しかし、この作業、これは自分にとって辛いだけの作業ではなかった。

俺はこの作業に一種の光を見出した。

だから俺はこの地獄のようなつらい作業である、扉の周りにあるこの地味な海草&フジツボの採集を数日間繰り返し……




そこには以前とはくらべものにはならないくらい、タオルやつぼ、簡易浄水器に時計など、いろいろな雑貨にあふれた部屋が!






≪これが自分のスク水を着た理由≫ 

第4話






―――――――――――――――――――――――― 


素材交換スレ part92


156. 名無しの海狩人

【出】海苔ススキとクァティ貝詰め合わせ 0,4K

【求】日用品と食料 手数料・少なければ少ない方がいい

【備考】海水をたっぷり含んだ海草と小さなアワビのような貝です

    海水をたくさん含んでいるため、塩分摂取には最適です。

    また、どちらも毒はない(らしい)ため、茹でればそのまま食べることもできます。

    参考(画像データ××××)


157. 名無しの英雄

はいはいはい!

俺ほしい俺ほしい!そろそろ3日連続焼きバッタだけとか頭おかしくなって死んでしまいそう。

そろそろ、まともな塩っ気がほしいですスク水先生!!


158. 名無しの英雄

タンパク質喰えるだけマシだろおい!

こっちなんて、ここに来てから水とコケしか食べれてない自分に譲るべきだろ。

人道的に。とりあえず、出せるものは少ないけど、椅子やら布やら、貴金属類なら渡せるぞ。


159. 名無しの植物魔道士

>>158 餓えてるのはわかるが、【求】の欄をよく見ようぜ。向こうも食料欲してるだろ

俺は別に食料的にも塩分的にも餓えてないけど、地味にそれらほしいなー。

自分の魔法が海草に対しても使えるか気になるし。


160. 名無しの英雄

>>159 リアルの塩分を欲している組みが多数いる中でその発言はさすがに空気が読めてないんじゃねぇか?

    そういうのは空気を読んで自重しような。


161. 名無しの血魔道士

そうだよ!割とこのスレはがちヤバイ組が多いんだよ!

俺なんて自分のスキルとクラスの関係上、塩分調整がマジで死活問題。

実験とかに使うよりは猶予のない此方に回すべき。

>>159は空気の読めないks


162. 名無しの霊気飛ばし

気持ちはわかるが、流石に>>161は明らかに言いすぎだろ。

それにこの板はあくまで交換板であって、寄付とか慈善の板じゃないんだぞ。

海狩人さんも初心者で生活が大変みたいだし、彼(彼女?)も普通に条件がいいのと交換したいだろ。

だから、こういう流れで遠回しに交換相手を操作することの方が流石にマナー違反じゃない?

それに、本当に塩分がほしいなら、クエスト板やらで貼ればいいだろうし。


163. 名無しの英雄

>>162普通に誰でもクエストをはれると思っている時点でスゴイ上から目線ですね。

きっと餓えたことがない人なのでしょう、うらやましい限りです。


164. 名無しの霊気飛ばし

>>163別にそういうわけじゃないよ。

ただ、ここで他の人を困らせるなら、何か動作を起こすなり、レベル上げるなりで他にやりようがあるだろって話だ。

ようは自分の怠慢で勝手に同じ新人であるはずの海狩人に負担かけてんじゃねーよksって話。


165. 名無しの血魔道士

あ?なに、お前、生まれた場所が良かったからか、先に此方に来てるかわからないけど、そんな運だけカス雑魚ミジンコ野郎が何調子乗ってるのか?

お前、もしこの世界で俺と鉢合わせたら、俺のスキルでお前の頭吹き飛ばすぞ?

または、クエストでお前の首を依頼する。


166. 名無しの霊気飛ばし

悪いけどならおれはお前よりもレベルもスキルも財産も実力も全部上だからその方法は無理だわ。

クエストでも倍額でその依頼を取り潰して、ついでにお前の抹殺依頼も申し込んでやるよ。


167. 名無しの導師

【!warning!】

流石にこれ以上は本スレとはかけ離れた内容である上に、スレを荒らしていると判断されてしまう可能性が高いです。

【!warning!】

なお、もしここで【荒らし】認定された場合、しばらくの間、交換機能や書き込み、観覧を含む掲示板の機能全て使えなくなるため、お気を付け下さい。

【!warning!】


168. 名無しの英雄

(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

え、何その凶悪な機能。

それって、一部の新人(俺含む)に死ねって言ってるようなもんじゃん。


169. 名無しの英雄

……ごめん、少し言いすぎました。


170. 名無しの英雄

俺も俺も。


171. 名無しの霊気飛ばし

まあ、俺も分かればいいよ分かれば。

けど、ここを利用するなら、お互いのことを考えて利用しろってことだな。

特に、血魔道士とやら、分かった?


172. 名無しの血魔道士

……へへへ、荒らし認定なんかなんかこわかねぇ!

交換機能もいらねぇや……

ヤロォ!ぶっ殺してやるぅぅぅぅ!!!!


173. 名無しの英雄

ち、血魔道士ダイーン!



―――――――――――――――――――――――― 



「……なんか、悪い事したなぁ」



なんか地味に荒れてしまったスレを見ながらそうつぶやいた。

ある意味自分が原因ともいえるかもしれないので少し件の人たちを気の毒に思う。

そう,どうやら自分にとってはそうでもないがほかの人たちにとって海水,いや【塩】は割と貴重品らしく,それらを含んだ海草やら貝は交換スレでは比較的,いやかなり重宝されるということが分かったのだ。


はじめそれに気づいたときは海水をそのまま送れないか四苦八苦したが,どうやら,液体のまま送るのはほとんど不可能な模様。

少なくとも,海水に含ませたり,つぼに入れたりという作業が必要のようだ。

そして,今の自分は普通のツボを買うソウルですら惜しいのでとってきた貝や海藻に海水をたっぷり含ませて交換しているわけだ。


まあ,そのおかげか部屋にはタオルや時計といった簡単な雑貨。

鑑賞兼部屋の空気の正常化用の鉢植え。(そもそもこの部屋の空気がどうなってるかなど,自分には到底理解できないが)

さらには簡易浄水器やパソコンで再生できる音楽ファイル,果てにはティッシュなんてものまで手に入れられたのだ。

一応言っておくと,大体の雑貨はスマホの中ではなくちゃんと部屋に置いている。


うんうん,かなり文化的な生活に戻ってきた感じがする。

その上,地味ながらスレを通しての感謝の言葉がなんかこう……自分の仕事の充実感というものを教えてくれる。

ただ一つ,唯一の懸念は……



―――――――――――――――――――――――― 


【NAME】 ニケ

【クラス】海狩人(シーハンター)Lv1  【称号】ドッキリ


英雄点  68/1000

魂 34/1000


持ち物

ブルーシルバーナイフ・解体用×2

海苔ススキ 0,5K

軍事用液体非常食(ニンジン味) 5パック



スキル

【闘技】 スキルレベル・中級者



―――――――――――――――――――――――― 



とりあえず,使ってから数日であっという間に中級者レベルまで行った【闘技】はほおっておく。

そう,実はここ数日は全然英雄点もソウルもほんの少ししか増えていないのだ。

まあ,こんな半引き籠り深海生活を続けていたら当たり前だが,このペースではおそらく次のクラスレベルに上がるには1年……いや,最近部屋の周りの海藻はほとんどとりつくしてしまっているからこのペースだと2年以上かかってしまうかもしれない。

ソウルの方も一応,塩を売ることにより表面上は黒字だが,そもそもマジックアイテムなどの異世界ロマン道具などはほとんど手数料に最低50はかかるものばかり。



「さすがにいつまでもこんな深海引き籠り生活を続けるわけにはいかないからなぁ……」



具体的には,今の自分のかっこうはスク水の上に男性用のワイシャツを羽織って,パソコンの前に座っているという,だいぶあれな恰好をしている現状を何とかしたい。


……いやさ,誤解のないように言っておくと,別に自分は変態だからこんな恰好をしているのではない。

ただ,このスク水にかかっている【常時・清潔】の効果のおかげか下手に風呂などがないこの部屋でスク水を脱いで行動すると,あっという間にあたりが海水でべとべとに,髪だって海水でくしゃくしゃになってしまうのだ。

実際【常時・清潔】の効果は素晴らしく,汚れた布団で寝るときに,スク水のままで寝たら,むしろ寝る前よりも寝た後の方が布団がきれいになっていたほどである。


さすがに,スク水1枚だけで行動し続けるのは元男としてどうなのと思って,無理やり交換で新しい男性用の衣服を買ってみたが……

どうみてもだぼだぼ白ワイにスク水とは別の意味でダメな状態です。

本当にありがとうございました。



「これは……こう……あかんする気がするのよ。」



そうつ独り言をぶやきながら、自分の前と比べて豊満になってしまった胸部を触り、ため息をつく。

自分の体を触るたびに、実感する。今の自分は女性になってしまっているんだなぁと。

そして、そのまま、体を確かめるという名目のまま、ベットへ寝転がりる。

そのままスク水着の股の部分横へとずらし……



「……ん♪」






そして、あっという間に次の日になっていた。

寝る直前のあれのせいで、布団がややぬるぬるになってるけど、其れも自分がスク水を着たまま、さらに数時間横たわれば、むしろ布団が綺麗になるから問題はないだろう。


言い訳させてもらえば、うん、だって気になるじゃん、元男として。

さらにいうならば、ここでの娯楽はあのめっちゃ厳しい暗闇でも海草とりにたいして、限られたソウルで買う安い飯に掲示板ぐらいしかまともなものがないのだ。

残りのストレス解消法の中でソウルを使わなくかつ最も効率的にストレスを軽減させる手段と言えば……といった感じだ。

なお、このストレス解消法の欠点は、やりつかれて目覚めた次の日に湿っている布団で目覚める不快感と元男としてのとてつもない後悔と謎の罪悪感にさいなまれること。

やらずに後悔するならやって後悔とはこういうことだろうか?

こら!そこ!サルとかいうな!



「……何この獣的生活……」



流石に、こんな生活続けてきちゃあかんでしょ。

このままだと、ソウルがたまってレベルが1つ上がるよりも自分の男性的な感覚、いや、まともな人間性が失われるのが先になりそうな気がする。



「そうだ、今日からでも、まともな生活(※性活に非ず)を送らなければ!」



そう決意をし、自らの頬をたたき、自分を鼓舞させる。

だからこそ、今日は一歩先に踏み出すのだ!



「真の勇気とは打算無きもの!! 物事の困難さによって出したり引っ込めたりするのは本当の勇気じゃなぁいっ!!!だからこそ、今から、俺は【遠泳】を行う!!」



変なフラグを立てながら……



投稿時間予約し忘れて、即投稿してしまった……


後、どこが面白いとかつまらないとか、感想くれるとうれしいです

感想くれるとうれしいです(乞食感)

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