頑固親父とゴミ出し
父さんは頑固で、普段から威張ってる。
「いただきます」
いつもの時間のいつもの朝食。
母さんは俺と父さんの弁当を慌ただしく作り、父さんは無言で朝食を口に運んでいる。台所から母さんがヒョイと顔をのぞかせた。
「お父さん、今日ゴミ多いけど、出していってね」
「ん」
俺は常々疑問に思っていたことを、思いきって聞いてみることにした。
「あのさー」
「なんだ」
父さんは無愛想に答える。
「なんでいつも威張ってるくせに、ゴミ出しはちゃんとやんの?」
ポカンと俺を見つめる父さんに負けないようににらんでいたら、父さんはフッと笑った。
「お前にもいつか分かるよ」
俺の頭を軽くなで、食器を重ねて父さんは玄関に向かった。
父さんの手は、大きくてあたたかだった。