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クロトの話


始めはミミ視点です。敬語だったりそうじゃなかったりします。

said-M


「そのさ…。笑わないでくれよ?」


と、クロトさんは不安そうに呟いた。先程の明るい空気は、どんよりと淀んだものに変わってしまった。

軽々しく話を変える手段にしてしまったことがとても申し訳ない。


笑うなんてそんなことは絶対しない。

でも、どんな言葉をかければ良いのかなんて見当もつかない。

なんと言えば彼は信用してくれるのでしょう?きっとあの子なら悩むなんてしないのに。


「なんで笑わなくちゃいけないの?どんだけ変な事でもそんな顔してる奴前にして笑えるわけ無いって。当たり前でしょ?ね、二人とも」

「ルミさんの言う通りだよ」


真剣な声でルミが言って馬から降りる。クロトさんの話を表情を見ながら聞く為なのでしょう。その言葉に頷くリンクさん。

それを見てクロトさんは安心したように息を吐いた。


何故あの子は自分の言いたい事をはっきりと伝えられるのだろうか。


―羨ましい


このままでは思考が嫉妬でどす黒くなってしまいそうです。

ああ、なんて情けない。


「えっとさ…。俺、この世界の人間じゃないんだ。所謂異世界人って奴らしい」


クロトさんはどこか冷めた表情で話始めた。

異世界か…。まるで童話のような荒唐無稽な話です。

彼は目覚めたばかりなのに、何故そのことを知っているのでしょうか?


「俺の居た世界で、子供を庇って崖から落ちたんだ。ああ絶対死んだな俺って。でも、死んでなくて。眼が覚めたらここにいたんだ」


崖から…。あの傷は落下だけではない気がします。

何かにぶつかったのでしょうか?

…そんな疑問よりも謝らねばいけませんね。


「そう…でしたか。軽々しく聞いてしまって申し訳ありません」

「気にすんなって。知らなかったんだしさ。それに聞いてもらって楽になった気ぃするしな」


そう言って笑って頭を撫でてくれたクロトさん。きっと不安で一杯だと思う。でも、ここで笑える彼はとても強い人なのでしょう。

頭を撫でられる事が少々面映ゆく顔が熱くなりましたが、彼に笑顔でお礼を言った。…久しぶりに自然に笑えた気がします。

ギョッとした顔でルミが、どことなく顔を赤くしたクロトさんが私を見ていたのだけれど、何故だろう。


「んー……ところで、なんで起きたばかりの君が、今の状況を知ってるの?」


一番気になるところをリンクさんが訊ねていた。


「あー…それはだな…」


クロトさんは眼が覚める間に起きたことを話してくれた。

一言でまとめると


「……あんまり意味無いですよね。その方のお話は」


失礼かもしれないが事実だと思います。


「あー…やっぱそう思う?」

「魔法の超基礎知識と状況のみってね…」

「逆に混乱しそうだねー」


『……』


しばらくの間沈黙が降りる。カポカポと馬の足音だけが辺りに響く、微妙で気まずい空気だけが続いていきました。


(どーすんのよコレ!さっきより空気が重いんだけど!?)


ルミが目線だけで話しかけてきました。どうやら意見は同じのようです。


(なんとかしてよ!ミミってば!)

(無理ですって)


私にそんな能力があるならとっくに使っているでしょうに。


(リンクは空気読めてないし!)


馬の前を歩くリンクさんの方を見ると、熱心に上を見ていた。彼の目線を追うと、飛んでいる赤紫リベアアゲハが視界に入る。

……確かに役には立たなそうです。


暫くして観察が終わったのか首が痛くなったのか、リンクさんが此方を向いてクロトさんに訊ねる。


「じゃあ君はこれから帰る方法を探すの?」

「話、飛んでない?」


重要な事ではあるのですけど、ルミ言う通り話が凄く飛躍してます。


…あ、そういえばこれから巡る国に知識の国と言われている国があったような…


said-K



これから?帰る方法を探す、か。そういや考えて無かったな。


「やっぱ片っ端から文献漁んの?」

「それが妥当だよな…」


でもこの世界の文字とか読めないよな俺。それにこの国にあるとは限んないし。世界中を回るのは骨が折れそうだ。それに言葉も世界共通とも限んないし。


「なら…」

「ん?」


ミミが何かを呟いている。何か考えがあるのかもしれない。


「なら、我々と共に来ませんか?」

「「へ!?」」


ミミの考えは俺の斜め上をいっていたようだ。ルミも予想外だったみたいだし。こいつ等旅してんのか。


「なんでそうなんのよ!?」


ルミが食って掛かる。まあそうだよな。


「何故って…。クロトさんが探すのは様々な文献なんでしょう?ならば私達の旅に同行して世界を巡って行った方が早いですし、彼は文字が読めないだろうし。誰かがいないと」


ミミの提案は物凄く助かる。世界を巡るなら好都合だ。字は読めないし、国の事もわからないから。

だけど出会ったばっかりの奴を同行させるってのはどうなんだ?コイツらどう見ても箱入りだし、危機感とか無いのだろうか。

ルミも納得がいかないらしい。


「だからって連れて行くにはいかないでしょ!?クロトは一般人なのよ、危険じゃない!」


あれ?そっち!?てっきり足手まといとか邪魔だとかその辺予想してた。

なんだこの双子は…。お人好し過ぎるだろ。


「私達で守ればいいんです。それにクロトさんには結構な魔力が有るようですから、正しい知識さえあればきっと強くなれます」


マジで?結構って嬉しいな。

てかミミ、思った以上に頑固だ。しかし、なんでそこまで?俺、もしかして気に入られた?


「なんでそこまで?確かに同情すんのも解るけどさ、だからって連れて行くのは違うでしょ!」

「……!違っ」


あ…同情か。……そうだよな。期待しちゃ駄目だよな…

ヤベ、少し沈んできた。


「クロト君?」


リンクが不思議そうに声を掛けてきた。この人案外空気読めねえな。


「顔色悪いよ、大丈夫?あとね、ミミさんは同情で言っているんじゃないと思うんだ」


だから安心しなよ、と双子に聞こえない位の声で言ってくる。酷く優しく微笑んで。

宣言撤回。普通に空気読めてるよこの人。


「ありがと、リンク。なんかちょっと沈みやすいみたいでさ…」


情けねぇなーホント。


「仕方無いと思うよ?気にしない気にしない」

リンクの笑顔はなんだか懐かしくて安心する。

俺とリンクの間でほのぼのとした空気が流れる。なんというか…縁側で茶でも飲んでるみたいな。


「同情なんてしていません。私が彼についてきて欲しいんです!」


まだやっていたらしい。

ついてきて欲しいって…、マジか。

ミミが物凄い勢いでルミに言っている。

どこかルミが淋しそうなのは気のせいか?


「――もう!わかったわよ!!好きにしたらいいじゃない!」


ルミが諦めて叫んだ。

てか俺の意見は聞かないのか。…まあ着いていけるなら行きたいけどさ。


「あ、ルミさん切れたね」


リンクはどこか楽しそうにしてる。お気楽な人だ。


「っルミ!ありがとうございます!!」


おお、ミミがめっちゃ笑顔だ。俺ってそこまで気に入られてんのか。美少女に。


「えっと、ミミありがとう。ルミも。これからよろしくな!」


旅に同行出来るようなのでとても心強い。


「こちらこそ、ですね」

「まったく…。ま、よろしくねクロト」


ミミは嬉しそうに、ルミはダルそうにしながらも俺に言ってきた。気まずそうに顔を背けている。


「ん?」


ふと、さっきとは違う風が吹いた。前を見ると緑じゃないレンガ作りの地面が視界に入ってきた。


リンクが少し目を細めて、レンガの地面を眺めながら口を開いた。

「話終わった?もうそろそろ平原も抜けそうだし。これからどうするの?」


そっか。双子は一緒だけどリンクは違うんだよな。


「私達は首都ブランカを越えて、緑の里グリューンに行くつもりです」

「え?なんでよ、グリューンって遠いんじゃなかった?」


地名はよくわからないけど、まあようするに町をひとつ越えるらしい。


「だからこそです。城下では見つかる可能性が高いでしょう?」


あーこいつ等ってやっぱ貴族かなんかか。家出でもしたんだな。さっきからキョドってたのもそれか。


「グリューン?なら僕もだよー」


リンクも一緒か。なんか偶然ってスゲー。


「リンクも?ならまだ一緒に居られんの?やった!」

ルミがはしゃいでる。ルミはリンクが相当お気に召したらしい。


「リンクさん。グリューンまではどのくらいで着きます?」


さっきまでの笑顔が嘘みたいに真面目な顔でミミが訊ねている。


「そうだね…この平原を抜けるよりかは近いよ」


リンクが遠い目をして言った。何があったんだ…。


「なら、急ぎましょうか。ブランカは午後からは人が増えますから、それに紛れて行きましょう」


そう言って俺達は足を速めていった。


クロト視点が難しい。価値観の違いとかだせない。

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