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9つの扉  作者: 三日月 帆立


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2/3

4、5、6の扉

:4の扉:

 扉に入ると教室にだった。どう見ても中学校の教室である。よくよく観察すると体も学ランに身長も当時くらいだ。

『どけウスノロ』

 ドンと突き飛ばされ床に倒れる。振り向くと黒い何かの集団がいる。人の形をしているが、ノイズが走っており、明らかに人間に見えない。


『邪魔なんだよ』

 そう言って更に蹴りを背中に入れられる。あぁ…そうだ、僕は昔虐められていたんだ。人間不信になりそんな中親身に、そして献身的に支えてくれた彼女と結婚しようと決めたのだ。そう、もうあの時の僕じゃない。

「やめろぉぉお!」

 足を振り払い近くの机を黒い影に投げ飛ばす。

『うわぁあ!』


 黒い影は机に潰され、消えた。よく見ると入り口で笑っていた影、教室の机からこちらも見ていた影、すべての影が消えていた。そして当時座っていた、窓辺の4列目、そこに黄色の球体があった。迷わずそれを取ると視界が暗転し、教室が瞬時に溶けていた。

 気が付くとまた白い部屋の中心にいる。9番目の扉に黄色の球体をはめ込むと、勇気の溢れる色をしていた。なんだか自分の中で一つのモヤが貼れたような気がした。次が折り返し、考えを巡らせながら次の扉をくぐった。


:5の扉:

 中に入ると今度は会議室だった。誰かいる…訳でもなく。入ってきたであろう会議室の扉は固く開かなかった。1台のPCが置かれていて、それ以外特段見るものはない。いつも見ているようなホワイトボードのプレゼンはいつも通り過ぎて見なかった。


 パソコンを開くとプレゼンの資料が作りかけで置いてあった。これは昨日完成させたプレゼンの資料で間違いない。それが今、未完了のまま置かれている。これはやれることが一つしかない。完成させることだ。必要なファイルとデータ、そして添付する写真、全て揃えてある。これを打ち込めば完了だ。2時間かけて作った資料。今回は記憶を頼りに恐らく一時間もかからずに作ることが出来た。


 保存を押して見上げる。ホワイトボードが真っ白になっていた。

「プレゼンしろってことか…」

 1,2,3で何かやったのと同じであろうと悟った。誰もいなかった会議室、ホワイトボードの前に立つと黒い影が入り口から入ってくる。

『では、お願いします』

 一人の影が始まりの合図をしたので、プレゼンを始める。今回は新店舗のテナントの並び順の提案だった。先週は同僚がプレゼンしている。


「……では、以上になります」

 拍手が起こり、その音が余韻となり黒い影は消えた。出口の扉のドアノブが青く光っている。目の前まで行くと先ほどと同じく球体であると分かった。それを握ったら急に視界が暗転した。


 再び白い部屋に意識が戻ってくる。さすがにこの謎の感覚にも慣れてきた。青い球体をはめ込むと虚しい気持ちになった。そう、あのプレゼン資料は同僚に横取りされ、結局その案が採用されたのだ。気分を害された気持ちで少し不満に思ったが、立っていてもしょうがないので次の扉に向かった。


:6の扉:

 扉から出ると勢いよく水に落ちる。入った瞬間ダイビングスーツになったため、ボンベなども装着されていた。いったん冷静になって辺りを見回す。狭く細いところで、奥へ暗い水路が続いている。趣味でスキューバダイビングをしているがこんな洞窟は潜ったことがない。目の前に浮かんだ懐中電灯を取り、慎重に奥へと進んでいった。


 15分ほど進み、広いところへ出た。上も下も、石英で造られた神秘的な洞窟だ。見惚れていると、アラームが鳴った。酸素残量が少ない合図だ。幸い奥に進むにつれ、浅瀬になっている。水面に顔を出して石英に見とれながら水から上がった。


 そこには石英の様な白い球体があった。酸素ボンベを降ろしその球体を手に取る。ずっしりとした重量のそれはまばゆく輝き、視界が暗転した。

 白い部屋に戻ってきた。白い部屋より白い球体をもって。9番の扉にはめ込むと石英の様だった球体の中身が煙のように動き出す。不思議に思って取り外すと、それはおさまり、綺麗な石英の模様になった。

「不思議な球だな、まぁここも不思議だが」

 そう、ここまで集めた球体はあるのに集めた記憶がない。しかし入ってきた時より今いる自分の方が自信的なものはあるかもしれない。

 とにかく出ることが先だろう。次の扉へ向かった。

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