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世界は無常に満ちている  作者: 花井
第一章
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 -閑話-  ディーヴァ講座

「ほぅ、ディーヴァがいるのか」




ファルも彼らの会話も聞いていたのか、そう呟く。

その呟きの内容が会話の内容を指しているのは確かで、言い回しが少し気に掛かり問いかける。


「ディーヴァって、珍しい?」

「まぁ……珍しいは珍しい、な 100万人に1人の割合だと言われている」


問いかけに彼は少し思案した後、解りやすいようにかある程度明確な数値を上げてくれた。その言葉に視線を右斜め上に向け、ムコウの世界での人口換算をしてみる。


おおよそ、日本の人口が12700万ちょいだから……大体127人。


世界人口規模だともっと多くなるだろう。けれど、私はこの世界の総人口がどれ程の数なのか知る由もない。まぁ、適当な概算にしても日本の総人口の中で127人は確かに珍しいと思える領域だと思い「確かに…珍しいね」そう言葉を言葉を紡ぐ。

あんまり珍しくない気がしたのは……たぶん複数の唯一が周りにあった所為だと思うが、そこは置いておこう。


「で、ディーヴァって何?」


改めて聞きたかった本題を振ってみる。

音は詠み解けるがその言葉が持つ意味を私は知らないから、知っておく必要性があると思ったのだ。

ムコウでは《ディーヴァ》はオペラの歌姫を指していたが、その意味合いと同じとは限らない。と言うか、同じである筈が無い。

何処にオペラ歌手が巡礼なぞする必要性があるのか……そもそもオペラ自体あるかも怪しい、つか無いだろ。


「ディーヴァとはもともと精霊や気性を視覚的に捕らえる事の出来る者を指して

 呼ばれるのですわ」

「んじゃ、私もディーヴァ?」


そう黒玲が私の問いに答えてくれる。

返ってきた言葉にふと思った問いかけをして見れば、ファルが眉間に皺を寄せムッと不機嫌そうに表情を作り「トールはディーヴァでは無い ニュスだ」とばっさり言い切る。


……どうやら、一緒に考えてはいけなかったらしい。


その言い様に口元に手を添えながら「ふむ、ディーヴァとニュスはノットイコールなのか」と、そう呟けば黒玲が「ディーヴァは《視る者》、ニュスは《司る者》になりますから」と明確な違いを簡単に告げてくれる。

それでもしっかりと自分の中で違いを理解できたかと言えば、不安は残る。

なんとなく原理の違いを認識したぐらいでしっかりと自身がそうであると認識できて無いのだ。


頭では解っていても、感情はついていかない……そんな感じなのである。


例えが微妙に用途が違っている気がしなくも無いが、今の私の中にある語彙(ごい)で当て嵌まるものがこれしか無いのだから致し方なかろう。

そう自分に言い聞かせ、もう一つの質問を問いかける。


「んじゃ、ディーヴァが巡礼する事に何か意味があんの?」

「そうですね、《視る者》であるディーヴァが巡礼する事に左程意味はございませんの」


さらりと答える黒玲の言葉の意味を取りかね首を傾げれば、先程の会話の意味するディーヴァは《視る者》という意味では無く《視る者》達の中で取分け突出した力を持つ者を指す称号なのだと彼女は詳しい説明をくれる。


「力の有る者が巡礼する事に意味があるんですのよ」


そう続けて彼女は言い、今度はファルが引き継ぐ様に説明を続ける。


「力有る者が国の中に在る精霊の加護の篤い場所を巡り、精霊達に助力を求める事で

 瘴気の蔓延、流出を防ぐ結界をはる事が可能となる」


そうファルは言い頭を掻きながら、精霊についての説明も付け加えてくれた。


「精霊は人に知られる事を好むからな……《視る》事が出来る者には基本的には好意的だ

 まぁ、たまに偏屈も居るが…な」


そこらは今はいいだろう等と呟きながら、ファルは補足としてなのか「精霊は力有る者に存在を認められる事で存在を確固たるモノにする事出来る、事象に関与しやすくなるんだ」そう言った。

そして、私を見つめ目で他に何か聞きたい事は無いかと問いかける。その視線に軽く左右に首を振り、それ以外の質問が無いことを彼に示す。


力有る者(ディーヴァ)は精霊の存在を固定し、固定された精霊は事象に関与する事が出来る

 んで、固定される対価に結界に関与し強化・補強が可能って感じでオケ?」

「まぁ…そんな所だな」


説明の内容を自分の頭で細かく噛み砕き自己解釈として紡げば彼は苦笑を浮かべつつ頷いた。


「此方の国では皇女が一番お力の強い方の様ですので、その方を指して使われている様ですわ」

「ふーん……皇女様が巡礼ねぇ、大変だ」


黒玲の呼び方に対しての現状にそんな事を洩らしながら、個人に対しての役称になってるんだなと納得しながら宿屋へと足を踏み入れる。

カウンターに居る気さくなおばちゃんから部屋の鍵を預かり、部屋へと向かう為に両の手に抱えた荷物のバランスを崩さない様に階段を上る。


「つーことは、ディーヴァって言うのはムコウで言う神和(かんな)ぎみたいなもんかね」

「カンナギ……ですか?」


一人、ディーヴァについての見解を頭で捏ね繰り回していたらどうやら口から洩れていたらしく黒玲から問いかけられる。ファルも気になってはいるのか視線を此方に向けてくるので説明してみた。


「そ、ムコウ…特に日本と言う国限定だけどね 神霊に奉仕する人達を総称してそう呼ぶ

 古い言い方では女性が(めかんなぎ)、男性が(おかんなぎ)という名称になる…筈」


「割と女性が多いから、女性は通称の巫女の方が親しまれてるかな」等と付け加えつつ、部屋のドアを開けて崩れそうになる荷物を留めながらするりと部屋へと入る。

神和ぎについては趣味で調べていたからある程度知識はあるが、あやふやな部分が在る事が切ない。


とすると、皇女様は巫女であり姫でもあるから…巫女姫ってとこか。

………よし、私の中でディーヴァ=《巫女姫》に決定。


そんな事を思いながら、荷物をベッドの上に置きフードを払えばファルも黒玲も身軽にシーツの上に着地する。


「そういえば、この街の近くにその加護の篤い場所ってあんの?」


彼らが着地した場所とは、ずれた場所に買ってきた品物を広げながら何となしに聞いてみる。

その間に手は品物を必要頻度毎に仕分けして行く。


「確か、火精(アーヴ)所縁の地が北の山にあったな」

「そうですわね、あそこは今だ火気(アジフ)を帯びた場だった筈ですわ」


私の問いかけに、二人はそんな事を言いながら買ってきた品物の中からお菓子を取り出し食べ始めていた。

こうして、平穏な時間は駆け足で過ぎ去っていったのだった。

話の流れに関係有る様で、無い様な話なので閑話扱いです。

そして段々話数の意味が無くなってくるという…。


次回で出せればいいなぁ(遠い目)

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