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01 終りと始り-死せる者と蘇える者-[前]

文章を分割しました。

 目を覚ませば其処は闇。




 首を捻って左右を見ても其処は黒い墨で塗り潰された様に闇一色で埋め尽くされており、この場所が何処だかすらわからない。

 一応平地の様な場所に横たわっている状態であるらしい。


 病……院?いやいや、此処まで暗いって事は霊安室?

 というか、あの状況で生きてるってことの方が奇跡なんじゃ……


「そうそうそんな奇跡は起きませんよ お嬢さん」

「あーやっぱり、そうですかー」


 不意に聞こえた声に暢気に返事を返してから、はたと気付く。

 ガバリと勢い良く「人!?」と声を上げながら起き上がり声の方向を振り向く。

 其処には、真っ黒いフードを身に付け目深に被っている為、不振人物以外の何者にも見えない「者」が居た。フードから覗く口元や体つきからは男性にも女性にも見える。


 判別するにこいつ美形だ…だって、骨格とか凄い綺麗だよ

 因みに骨格が綺麗な人は美人が多いと私は思ってる、本気で


「貴方は珍しい方ですねぇ、骨格をお褒めになる方なんて初めてお会いしましたよ お褒め頂きありがとうございます」


 そう言って、目の前の黒フードは優雅にお辞儀をした。


 所作が一々綺麗だ…って、私 骨格綺麗だって口に出した!?


「いいえ、お口には出されていませんが 私共の職には貴方の様な魂の意志はある程度、聞こえてきますから 強い意志(もの)は特に良く聞こえます」


 口元だけで察するにこの黒フードは微笑みながらそんな事を言っている。


 結構、口に出してないことを勝手に理解されたらびびる人間は多いんじゃなかろうか

 いやまぁ、骨格フェチとしては其処は強く思うとこですからね

 ……致し方無いんでしょうけれども


「……そいうことね、その姿からだとそういう職って死神を連想するわね」

「まぁ、詰まる所そんなものです」

「……ソウナンダ」

「他には、天使とか言われていますね」


 真っ黒なのに天使なんだ……というか、死神と天使一緒くたってある意味凄い

 んん、いや逆なのか人が唯単に二つにわけて考えてるだけ?

 つか、実際に天使やら死神にあった人がいたのか、いや、私は今現在進行形で会ってるけど死んでる筈だしなぁ

 死んでるなら誰かに伝えることも出来まいて

 ……………………まぁ、いいか めんどくさくなってきた


「お考えは終わられましたか?」


 思う所あって思考の沼地にズブズブと片脚を突っ込んで、引き抜いた所に声を掛けられた。


 すっかりさっぱり死神さんがいらっしゃるのを忘れてました、すいません


「あ、はい 一応 結局やっぱり私の死亡は確定って事でいいんですよ、ね?」

「えぇ……そうなんです、……死亡された事に驚きは無いんですね」


 何故か申し訳なさそうに死亡確定を肯定する死神さん。


 いや、別に貴方が悪いわけじゃないから其処まで気にしなくても……

 自分から突っ込んでいったんだからしゃーないですよ

 まぁ、引きずられて体がミンチになって、目も当てられない惨状になっていないことだけを祈りますが


 至って心境的には平静なんだよね…………まぁ、未練がないと言ったら嘘ではないけれど想いを残す程に強い想いはもともと持ってないし、とそんな事を思いながら苦笑を浮かべつつ言う。


「まぁ、あの状態で生きてることの方がどっちかっていうと驚きですから」

「そう、ですか……その件に付いて少しお話が御座いまして足を運ばせて頂いたのです 申し遅れました、(わたくし)魂を導く者(サイコパンプ)統括のミュケーリウスと申します」


 死神ミュケーリウスさんの言葉に、死神の役職にも上とか下とかあるのね等と思いながら向けられる深い礼に礼を返す。


 しかし、何故に自己紹介?

 名前がわかるはわかるで嬉しいけど……

 まぁ、死神に名前知ってるヒトが居るってのも面白いか

 みゅけーりうすさん、ね…………ミュケーさんで


「えぇっと、私は水江(みずえ) 亨子(りょうこ)です……お話、ですか?」

「はい、まずは死者の魂の行く先について簡単にご説明させて下さい」


 そう言ってミュケーさんは死者の循環システムを説明してくれた。

 適当に纏めると、死者の魂は本来ならこの場所で留まることなく近場に居た死神に回収され、長期間掛けて色々な精査をされて輪廻の環に戻される、と。

 色々な精査というのは、生きてきた人生がどんなものだったか、ソレが何度目の転生なのかとかそう言った内容らしい。

 まぁ、生きてた人生で悪いことしてたら次回の転生時にはソレに付随した「業」をつけるとか、転生回数が多くなれば高位ランク?に格上げするとかそういう話らしい。

 他にも懇切丁寧に色々と教えてくれたのだが私の脳が理解できる範疇が上記までだったので色々とその他の内容は右から左へと流れ去って行きました。


 あぁ、色んな意味で賢い頭脳が欲しい……


「では、そちらも手配しておきますね」

「へ?」


 ミュケーさんの言葉の意味を理解出来ずに間の抜けた声を上げる。

 ただ、私の第六感がヒシヒシと面倒事という自体を伝えてくる。


 えぇ、私の直感はよくよく当たりますともさ


 ただし、今回の場合は逃げ場はない、何せミュケーさん達死神さん達の領域である。


 如 何 逃 げ ろ と


「亨子さん、貴方は何故ご自分が此処に留まってらっしゃるか解りますか?」

「全く持って、解りません」


 ミュケーさんの問いかけに即答で返した私に目の前のお方は「そうですよね」と困った様な申し訳ない様な雰囲気を醸し出しながら呟く。

 だが、その言葉をかんがみるに先程の循環システムが適応されるなら私はとっくに死神の精査を受けていなければいけないはずなのである。


 それが、此処に留まっていると言うことは……


「何か……あるんですね?」


 そう問いかければ、ミュケーさんは先程から入りたかったであろう話の本題を話し始めたのだった。

00との文字数の加減で二つに分けました。


*****

修正履歴

H22.7.20. 感情部読点削除、改行追加+文頭空白追加

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