表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は無常に満ちている  作者: 花井
第一章
12/43

07 資金調達と通貨の話[後]

しかし、外に出て思ったのはこの世界ってカラフリー…。




いやまぁ…王子も充分カラフリーなんですが、それと同じぐらいにはカラフリーでした。

城の中のヒト達の配色も凄かったけど、基本制服とかキャップとかで隠してるから気にならなかったのよねぇ。

ファルばりとは言わないが、目の前を行きかう人々の色彩豊かなこと。

金の髪に朱の瞳が居れば青の髪に海色の瞳の方もいる。

まぁ………さすがに翡翠色に薔薇色はいらっしゃいませんでしたが。

その中でも私は浮いていたわけだが……………何せ、漆黒とはいかないまでも黒に近い髪に焦げ茶の瞳というありふれた日本人容姿はこの国には居なかったわけです、ハイ。

おばちゃんたちには何処から来たの?何処の国の子?とか聞かれながら、売っていましたさ。

まぁ、最初にヒトの目引くにはよかったわけだけれども、あー…アレダ、客寄せパンダ。


名物になっていたコトを聞くのはその後、日常に必要な道具などを買い漁っている時に人々の口に上がる噂から知った事実だったりする。








そして、四日目に溜めたお金でマントやら装備など一式を見繕っていれば不意にポツリとファルが呟いた。


「ヒトとは、鮮やかなのだな」


それは、どういった意味でなのだろうと意味をはかりかね沈黙しているとファルが「我は我に住むモノ達を見たことは無かった」とまた言葉を続ける。

何処か遠くを見るような瞳に声を掛けるのを躊躇う。


「逢えるのはニュスのみ…しかし、あれらは我に近しい存在 だから、逢えるワケだが

 あれらと逢えたのは楽しかったし嬉しかった」


「だがこうして、リョーコと共にこの中に入れるのはまた新鮮だ」そう言って、目を細め行きかう人々を心底愛おしそうに見るこの世界の化身がとても私は愛おしいと思った。


「ファルこれから一杯、色んなトコロを巡って楽しもうか」


そう言って、にっこりと笑みを彼に向ければ彼は目をパチクリさせた後満面の笑みで頷いた。

私に仮初めの身体を与えてくれたこの寂しがりやの世界に 己 を見せてやろうと思った。

キミの中には多くのモノが居て、悲しみも怒りも在るけれども幸せも溢れているのだと知って欲しいと思った。


それから、私とファルは遠出用の装備を買い求めに色んな場所を回り着実に準備を整えていったのだった。

即座に購入したのは顔まで見事に隠してくれる大きなフードつきの旅人用のマント、何分私の配色は此方の世界の方々には物珍しいようで一目を避ける為に飛びつきましたともさ。

後は、小回りの効く二刀のダガー……一応護身用に、ね。戦闘はしない方向性でいくつもりなのです、基本は逃走型ですから。


そして、最後に訪れたのはこの世界各地にネットワークのある ≪アイオン≫ 

所謂、ゲームなどで言うギルドとかいうヤツである。


旅に出るにしても定期的に収入を得なければ長旅などしていられない、なら行った先々で収入得るしかない。ソレならば、民間からお貴族様まで色んな依頼を出されソレを消化している≪アイオン≫が最適だったのだ。

こういう設備が揃ってるってありがたい………特に国籍不明な私としては、ね。

ギルドといっても、内容は多岐に渡りイメージは「何でも屋」と言った方がしっくり来るかもしれない。確かに戦闘や討伐に特化した方々もいらっしゃる様だが平和な依頼もある程度あるありがたい場所でもあった。

登録については多少の筆記と万が一荒事が在れば対応できるかどうか、という戦闘能力テストらしきモノがあったのだがそれだけだった。

もっと厳しく見るのかと思いきやそんなこたーなかった。


「トールさん、これが貴方の≪アイオン≫としての証になりますので

 無くさないように気をつけてくださいね」


勿論、登録名は偽名です。

城の方々に調べられて簡単に見つかるのも困るしね。

なので亨子の「りょう」を別の音で読んだ「とおる」を「トール」に変えて登録したワケなのですよ。

因み性別の欄はなかったので何にも書かずだったんだけど…………いいのかねぇ。

筆記や戦闘試験は全てフード被ったままの怪しい人間でも受かったよ、受かっちゃったよ。

で、有り難いことにここでも補正発揮。

どうやら、私はこの世界の言語はある程度読み書き出来るようです。

≪アイオン≫では各国にある為、支店の中には色々な国の文字で依頼が掲示されているモノを全て読むことが出来たのでそう考えてもいいと思う。


受け付けのおねーさんがにこやかに言って渡してくれたのはセレ硬貨と同じ素材で出来ているであろうピンブローチ。片翼をかたどったソレには、無色の石が埋め込まれている。


「その証をつけていらっしゃると基本的な旅費が安くなったりしますので」


その言葉に私は瞳を煌かせる、と言ってもその表情はフードに隠れて見えることはないのだけれども。

学生の学生証みたいなものかな……旅費が安くなるのは大変、良い。

内心、両手を挙げて万歳三唱しながら喜びつつおねーさんの話を聞く。


どうやら、石の色でランクが決まっているらしく受けることの出来る依頼内容、旅費の割引などにも関わってくるらしい。此れは頑張ってランクを上げねばっ。

ランクに応じて色が変わる仕組みになっている様である。


因みに、【(ロシゲイト)】が最下位ランク

受けられる依頼内容は危険度が低いものに限られる。

所謂、おつかい程度の内容であればこのランクだけでもオッケーなのである。

一つ上がって石が【(ゲルプ)】になれば、

多少の戦闘…害虫・害獣などの駆除なども含まれる。

そこの違いだけで無色と大差は無いようである。

次いで続くは 【(オラン)】、【(シャルラ)】、【(プルプ)】、【(グリュン)】、【(ダンブラオ)】、【(アシェ)】、【(ヴェイ)

そして 【(ルツ)

以上の10段階に分けられる。白と黒はホンの一握りのものだけのようだ。


ロシゲイトは旅費関係は5%OFFだろそうです。

ゲルプは10%、オランは20%、シャルラは25%、プルプは30%でグリュンは40%、ダンブラオは45%、アシェは60%………ヴェイは70%、ルツにいたっては80%OFFっ!

ただし、其処まで上げる気は毛頭無いので…………目指せ20%OFF!!

多分、アシェの階位からは人が極端に少ないからできる芸当なんだろうな。

そんな心境を抱きながら割引表をじっくりと眺める。


因みに昇格制度的には1ランク上のランクを5つこなす事で1昇格、2つ上であれば3つ、3つ上では1つというシステムらしい。

持ちランクをどれだけこなそうと上には上がれないのでご注意をと言われた。

………確かに、塵も積もれば山となるという言葉が在るように。同階位のモノを複数回こなせば上階位にランクアップするシステムであれば、必然的に無のモノでも数をこなせば上がるワケで。

【依頼】の内容に見合わない実力の者でも【依頼】を受けることが出来てしまうという状況が成立する。

それ、結構危ないよなぁ……依頼を行う側も受ける側も。

…………世の中うまく出来てんのねぇ、とそんなコトを思いながら本日中に終わりそうなロシゲイトのランクのお使いを幾つか受け、街へと繰り出したのでした。





「そう言えば、もう4日目だぁ」


「日が過ぎるのは早いな」などとのんびり呟きつつ歩を進めるのであった。

此処では通貨の話とギルド?≪アイオン≫のランクについて少し。

一人暮らしの所持金事情でトーコさんは基本節約家です。

使うところでは使う方ですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ