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00 人生は儚く無常である

お初にお目にかかります花井[ケイ]と申します。

他作品ともども自己満足で書きたいものを書かせて頂いております。

誤字脱字部分は見つけ次第、修正を行っていきたいと思っていますが、見かけられましたら

ご連絡いただけるとありがたく思います。

 その日もその日とて、相も変わらず無常だった。




「で、どーすんの 返事」


 大学からの帰り、最寄り駅までの道中で隣を歩く彼女に問いかける。歩くたびに優雅に靡く、高く結われた艶やかな漆黒の髪が日の光を反射し眩しい。

 その間にも、すれ違う人々が惚けたような表情をして彼女を見ている。


 や、見惚れるのも惚けるのもわかるが……今しがたの青年よ その表情は締まり無さ過ぎだ


 まぁ、主旨を戻そう。

 問いかけた内容が如何いった内容かと言えば、所謂惚れた腫れたの恋愛話である。

 ついでに言うなれば、主に隣をすらりとした美しく長い御御足(おみあし)で闊歩する長身の美人に纏わるモノにつきる。


 基本的に私には何等関係は、ない…………筈のものである えぇ、関係ないですとも


「どーするも何も、お断りするよ?」


 「当たり前じゃない」とか言いながら小首を傾げるその仕草が、彼女の大人びた雰囲気に可愛さを追加する。コレに落とされる男も多いが、実は女も多い。

 キリッとしたド美女が多少天然入った仕草をするのが良いらしい。(他人談)

 保護欲を搔き立てられるんだとか、誰かがほざいていた気もする。しかし、別に私に向かってソレはいらん、とかそんな事を思いながら口を開く。


「………どんだけ、贅沢者だ」


 本日、お前に格好つけて告白してきたのは一応うちの大学の[Mr]だぞ

 因みに、ソイツの前に声をかけてきたのは隣の大学の美形で有名な講師だぞ


 そいつら以外に告白してきたのも何人かいただろうが、其処は放置だ。何故ならそいつらは私が隣に居るにも関わらず、彼女に愛を告げに来た者達だったからだ。


 そうではないヤツ…私の知らない部分の事情なんぞ、知らん


 そんな事が脳内をよぎるが何を言っても無駄だと思い、軽く溜息を零し呆れた口調でそう呟く。その言葉に彼女は、拗ねた様な剥れた様な口調で言葉を返してくる。


 一々、無意識で行う仕草や声音も可愛らしい…………とは思う、思う が、だ

 天然でやっているのもわかるし、本人無自覚だと言うのも重々承知ではあるのだ……それが一番性質が悪いがな

 私は言っても治らないモノに無駄な努力と気力は使いたくない主義である

 正しくは、根性無しとも言う


 あぁ、そこら中から嫉妬の視線を感じる……グッサグッサと刺さるのを感じる。これが実質物質だったなら私もう即座に死亡ナンデスガ。………きっと、鈍器とか刃物で滅多刺しに違いない。


 因みに私はこいつとは同性だ、男から嫉妬の視線を受けても嬉しくねぇよ こんちくしょう

 いや、女性からの嫉妬も受けたくは無いですがね…場合に寄っては受けますが


「だって、今まで話したことも無かった人だよ?トーコさんは違うの?」


 ―――――― いっぺん、張り倒そうか


 そんな思考が脳裏をよぎるが、即座にその考えを取り下げる。ソレを実行に移した日にはきっとその日が私の命日だ。

 出来れば、私は長生きしたい。齢19で闇討ちで死亡なんて、親に申し訳なさ過ぎるので遠慮しておきたい。

 それに、お隣の美人…お人好し天然ドジッコトラブルメーカー属性にしては運動神経がよろしく居合いに合気道を嗜んでいる猛者でもあるので多少の打撃ではびくともしないだろう。


 痛がるだろうが


「あ、そう…じゃあどうやって好きな人見つけんのよ 百合さんの場合、友人になったら恋愛対象じゃないんでしょ?」


 それで、友人になって影で男泣きしているヤツらにどれだけ私が妬まれてるなんて、これっぽっちも気付いてないんだろう、こいつは

 こいつの隣に居ることで、妬まれるのには慣れた…嫉妬されるのにも慣れた

 が、これ以上面倒……というか、恋愛感情に伴う嫉妬だとか崇拝感情に付属する妬みだとか良く解らないが(わかりたくもないが)そんなややこしく厄介な感情をぶつけられるのも面倒なんでホントに如何にかして欲しい

 しかも、何故か周りにはこいつと二人セットで認識されているのだから困ったもんだ


「うー…、それはソレ」

「へいへい」


 そんな会話をしながら駅前の横断歩道が青になるのを待っていると、彼女の向こうから来る車に違和感を感じた。歩行者の多い駅近くなのに減速する気配が無い。

 しかも、やたら歩道近くに寄ってきているのは気のせいだろうか。


 違和感を感じた瞬間に、既に車は私達の方に……否、彼女の方に突っ込んできていた。


「あぶないっ」

「ひゃっ」


 咄嗟に目の前の彼女を突き飛ばす。

 ただ、私の腕力は他の女子より多少強いと言われているのだが、自分より身長の高い人間を如何にかできる程の腕力は無いので、彼女の無事は保障しかねる。

 自分の無事は……諦めた。




 彼女を突き飛ばした(多分)次の瞬間には、

 膨大な痛みともつかぬ衝撃に意識は暗転していた。

トリップに分類していいのか悪いのか…

余談までに一つ

作中、亨子(りょうこ)さんは友人間ではトーコさんと呼ばれています。

作者もトーコさんで呼んでいますの後書きではその表記が多いかと思われます。

それでは、楽しんでいただけると嬉しいです。


*****

修正履歴

H22.7.20. 感情部読点削除、改行追加+文頭空白追加

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