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団白虚録  作者: やんだやん
中学生
8/28

中学生3

そうは言っても、皆様が想像するようなキャッキャッウフフな展開もなく、市立図書館で週末に勉強をするというありきたりな習慣となった。


意外と学生というのは多いらしく、図書館では同世代の人もちょくちょく見かけた。

私の知り合いは見かけることは無かったが、彼はちょくちょく知り合いが居たらしい。


さすがに頭がいいと言っても、公立中学ごときでは図書館で勉強するほどの人は多くないのであろう。

もしかしたら、私の学校の人も居たかもしれないが、私の交友関係には引っかからなかったらしい。


勉強の方はというと、お互いに順調に自分のペースで進めつつ、分からないところは答えを見る前に一緒に考えたりもした。主に彼の問題の方だけど。

私が分からないところは、彼にはそこまで難しくないらしく、ヒントをくれるという形であった。優男かよ。優しいかよ。これじゃああたしの学力も上がっちゃうじゃねぇか!ありがとよ!


そんな悪態をつきつつも、英語に関しては私の方が得意だったようだ。ただ、英語の場合、意味を知らなければという部分もあるので、似た言葉だとこんなのがあるね〜など、そういうヒントの出し方となった。


それでも彼曰く、



「分からなかった時に悩んだり、ヒントが多い分だけ記憶の紐付け要素が増えるからね〜記憶から引っ張る時に役立つからありがたいよ」



との事。


うん、なんか良かったらしい。

いや、全然わかんないわ。

やっぱり敵か?やるなら今か?滅殺する?


でも、彼に勝てる部分があるという事が誇らしくもあったし、自信にもなった。

彼が異次元の存在から、いつの間にか同じフィールドに立っていたのだった。


その事が私の中で不思議でもあり、嬉しくもあり、追い越したいとも思い、色々な感情を勉強にぶつけることとなった。


そんな事を続けた甲斐もあり、私は開城高校に合格した。



▼▼▼▼▼▼



「しろちゃ〜〜ん!おめでとうー!」



高校の合格発表を終え、久しぶりに学校で会った茜が抱きついてくる。

何か柔らかいものが腕にあたる。

おうおう嬢ちゃんいいもの持ってるじゃねーか?

あたいが学力アップをしてる間に、バストアップしてたってぇ?

けしからん!!!!


私は唐突に茜を揉みしだいた。



「あふぅん!」



やだ、あたしでも興奮しちゃう!

これは目覚めてしまうかもしれませんね、げへへ。

と、脳内のおっさんが最近活性化しつつある。



「優しく……して……?」



茜、こいつはいじめがいがあるぜぇ、へへへ。

なんて。


最近では左目が疼く病気もなりを潜めているらしく、また専らドラマを見る日々が続いているらしい。もちろん、私は見てない。



最近では、「あなたをプロデュースします!」とか言って、私に化粧やらオシャレやらを伝授しようとしてくるので、まぁありがたく受け取って高校デビューに活用させていただくことにしている。



それにしても化粧品って高い。

親の化粧品を内緒で使ってみたものの、なんだか自分向きでは無い?気もしたので、結局、お小遣いをせびって購入していた。

テストでいい点取って、お小遣いをプラスで貰うという魂胆である。



親も無駄遣いでは無いだろうと言うことで許してくれているが、最近親父がソワソワしている。

母と二人の時に、



「娘はやらん!」


「もうちょっと落ち着いて言った方が威厳が出るんじゃない?」


「娘は、やらん!こうか???」


「なんだか芝居じみてるわねぇ〜」



なんて仲睦まじく遊んでいるので放っておいている。



茜とじゃれていると隣のクラスから葵もやってくる。



「すごいすごい!白ちゃん良かったねー!」



こいつは茜よりも更にけしからんものを腕に当てて、すごく喜んでくれる。さすがは中学で彼氏が3人も変わっただけはある。


そんな感想を抱きながら、葵も同じく揉みしだこうとした時に、さすがは伊賀忍者くノ一の末裔葵、奇襲をもって我が策をねじ伏せんとす。



「これで団長くんと同じ学校だね?」



なっ!!!!!!!!!



「あwtmdぅjgpふじこ!!!!!」



なぜここでカイザー皇帝出来杉が出てくる!!



「あーーーそうなの?」



しかし、即座に冷静を装い、知らないフリをして答える。

度重なる奇襲によって鍛え上げられた私のメンタルはこんなことでは崩れない。強化ガラスのように補強された私のメンタルは貫けないぜ!!!ガハハ!!!



「えーーー?一緒に勉強してるから、知ってるくせにぃー」



2人がニヤニヤする。


我が校の修二と彰が、

「SI!俺たちはいつでも、2人でひとつだった!」

と、2人してニヤニヤしながら詰め寄ってくる。

その豊満なバァディを私に擦りながら、これはおじさん絶頂でござる〜!なんて考える余裕もない。



なぜ!それを知っている!

いや、隠していた訳では無かったけど、知り合いには会わなかったじゃんか!

私の心の強化ガラスは、いとも簡単に崩れ去っていった。そんな隠し弾どころか、ミサイル隠してましたか!反則じゃないか!そのおっぱいですか!いい形してますねぇ!!!



ニヤニヤしたまま、葵が隠しても無駄だっちゃ?と言わんばかりの顔で言う。



「知ってるんだよ〜?塾の知り合いから聞いたんだよ〜。

まぁ団長くんは隠す様子もなく白花さんと勉強してるだけとは言ってたけどー?」



茜も続く。



「え〜?なになに?なんの勉強してたのかなー?お姉さんにも教えてよ〜しろちゃん」



修二と彰は、いつの間にか魔女のように艶めかしく私を見つめ、取り囲み、弄ぼうとしてくる。

くっ、こんな屈辱……こ、殺せ!!


と言わんばかり私は窮しながら、



「本当に受験勉強教えて貰ってただけだし……」



と、消え入るような声で答えるのが精一杯であった。



▼▼▼▼▼▼



そんな皆が一喜一憂する合格発表も終え、私達は小学校からの腐れ縁もここまでとなり、3人とも別々の高校へ行くことになった。


私は開城、茜はいつの間にか高専に受かっていたし、葵も公立では上位の学校に受かっていた。


3人ともこれからも遊ぶ約束をし、それぞれの道を行くのであった。



葵からは、



「私はいつでもあなたと団長の行く末を見守っているからね?」



と、聖母のような顔とおっぱいで言われたが、いやどう考えても監視してますよね?カメラと盗聴器仕掛けたりしてませんか?

この女の情報網怖い………


となりながら、別れるのであった。

次会ったら、絶対に口を開く前に揉みしだく………




茜はというと、大泣きであった。

何なら来週遊ぶのに。

でも、彼女のあどけない明るさやこうやって大泣きする多感なところ、影響されやすさ、懐っこいところに私はこれまで救われてきた。


大目に見てもぶっきらぼうな私がこれまで上手くやれていたのは、彼女の存在が大きいとも思うし、そうやって正反対な部分があるからお互い楽しかったのだと思う。


これからの高校生活がどうなるか不安なのもわかる。そう思っていたら、



「白ちゃんが虐められないか心配だよォ〜」



と、泣いていた。


あ、ありがとう???いや、失礼な!

大丈夫ですー!別にそこそこの人間関係くらい自分で作れますー!た、たぶん。そこそこなら……



だから、


だから、今までありがとう。親友2人に感謝を。

そう言って私も少し泣いた。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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ブクマもしてもらえると泣いて喜びます!!

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