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団白虚録  作者: やんだやん
小学生
3/28

小学5年生 夏休み1

夏休みに入った。



「あつーーーーーーーー」



家でムックとガチャピンが漫才しているのを横目に扇風機にあたる。

今の私ならクリボーですらダイレクトヒット出来るくらいには無防備であった。


そんな中電話がなった。



「もしもし、白花です。」


「白ちゃん?茜だよーおはよー」



友よ。こんなに暑いのに元気で何よりだ。

この明るさに救われる事も多々ある。



「あー茜、おはよう」


「団長くんとの予定ってどうなってるー?」



あーーーーーすっかり忘れていた。まぁ居ないって言ってたからというのもあるが。

そういえぱ、電話番号のメモはどうしたっけな……?



「あーーなんか7月は居ないから、8月に誘ってって。」


「ふーん、そうなんだー早く遊びたいなー」



元気は元気だけどお盛んな方だったか。



「8月になったら誘ってみるよー」


「うん、お願いー。それはそうと、今日遊びに行こー?葵も塾休みだって」


「うん、いいよー………うん。………うん。じゃまた後で」



とりあえず、昼頃に駅前で集合ということになった。うだるような暑さだ。

真昼間に出かければ、私は押し花みたいにしおしおのカピカピになりかねないので、少し早めに出るか。



手早く着替えを済ませ、日焼け対策も万全で外に出る。

照りつける日差し。

アスファルトの少し焦げるような匂い。

あーー人類の住む環境では無い………


そう思いながら日傘をさして出かける。

7月も下旬という頃合、もうすぐ8月になる。


私は暑さにやられながら、朧気な意識の中、駅前へ向かう。



そのぼやけた視界の中に、駅の改札を抜ける1人の男子をはっきりと認識した。出来杉カイザーくんだ。

彼は私が暑さにやられていてもはっきりと認識されていた。さすがは皇帝のオーラというやつか?


ていうか、いるじゃねーか!!!

なんだ?

まさか?

ハワイは虚勢!?嘘?見栄を張った?

なんと愚かな!!!これを愚の骨頂と言わずしてなんというか!!


私は立ち止まりフルフルと怒りに震えながらも拳を強く握った。


なんて……なんてくだらない嘘を……

信じられない。いや、信じていたとかそういうのでは無いけれど、嘘をつかれたことが許せなかった。


改札を抜け、電車へと乗るであろう彼を視線で追いながら、私はやはり奴が敵であることを認識したのであった。



▼▼▼▼▼▼



その後、待ち合わせて喫茶店へと入った女子3人組は楽しそうにケタケタと他愛もない話に花を咲かせる。


そこで伊賀忍者もビックリの不意打ちの名手、葵がまたしても奇襲をしかけてくる。



「そういえば、団長くんってハワイに行ってたんだってー!!今日からは特進クラスの集中授業だから勉強漬けみたいだけど。宿題とかいつやるんだろ……」


「ハワイか〜いいな〜あたしは家にいても全然宿題終わってないけどね……」



茜が私と同じく自堕落な生活を露呈したところで、会話に混ざる。



「特進クラスって何?」



くノ一葵殿がご高説くださる。



「特進クラスは頭がいい人だけのクラスで、6年生の内容とかだいぶ先の授業をしてるんだって!

今回は集中授業で朝から晩まで勉強して、小学校の範囲を終わらせるんだとか。」



えっ!そんなに先をいってるものなの!?

どうやら皇帝は勉強の奴隷と化していたようだ。

朝から晩まで……そりゃ居ないのと同義か。


私は先程までの怒りが見当違いだったことを認識した。認識はしたが、奴隷皇帝が敵であることには変わりはないと自分に言い聞かせる。



「それっていつ終わるの?」


「確か1週間くらいだったかな……?」



さすがはくノ一。情報はしかと賜ったでござる。



「じゃあ、遊ぶのはその後だね〜」



私は安堵したような、気の抜けたような声で予定をざっくりと告げる。



「ていうか、どこいく?何して遊ぶ?」


「やっぱり水族館とかかな?動物園は暑いし、屋内は決まりよね!」



そのまま君たちも檻に入れられるのではないかという勢いで、発情期を迎えた親友2人は遊びの予定?作戦?を立てていた。


そんな中、私は違うことを考えながらぼーっと外を見ていた。



特進クラス。

来年の授業を既に終わらせようとしている。

ただ同じクラスにいるだけで、同等とは限らない。

まさに次元の違う存在だった。



私は衝撃を受けていた。ショックとも言っていい。

彼が異次元な存在であることを認めたくない。

もやもやとしたこの気持ちは、敵に負けたくないという負けず嫌いなのか?それとも……



私はこの日から家で勉強するようになり、それが習慣となっていった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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