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団白虚録  作者: やんだやん
高校生
25/28

高3 夏


3度目の夏が来た。

勝負の夏とも言われている。ここで伸びた分だけこれからの可能性が広がっていく。

得意を伸ばすか、苦手を埋めるか、やる事は無限にあるし、答えは無い。


膨大で有限で先を見れば長く、振り返れば一瞬な夏休み。学校の補講にも沢山出て、休みというには烏滸(おこ)がましいほどに登校し、補講が終われば自習室や図書館で勉強した。



「俺は助かるけど、数学を使わないなら、この時期に力を入れるのは勿体ないよ!!?」



と、偉そうに私に一瞬順位を抜かれたダメ皇帝が人生2周目みたいな発言をしてきた。

私自身、痛いところをつかれたと思った。というのも、志望がまだ決まっていないのだ。


何となく文学系だとは思ってはいるものの、どこの大学、学部がいいのか決められず、具体的な受験科目までは絞れずにいた。


ダメ皇帝はと言うと、一時私より低い順位で辛酸を舐めていたと思われるというか、舐めてて欲しいし、なんならそのまま舌が麻痺するまで私より下の順位をぺろぺろしていやがれ!!!と、思ったが、三日天下は()くの如しと言わんばかりに次のテストであっさり抜き返された。



「地理が終わったから、あとは基礎を振り返りつつ二次対策も進めようかな〜ってところ」



と、私など眼中になく前だけ向いて勉強する盲目ダメ皇帝は3年の模試では1桁代に返り咲き、そのまま学校の定期テストでも模試でも上位の順位を取っていた。



そして、肝心の志望はというと意外なことに最終的に法学部を受験するらしい。

理系にいったのも、地理か倫理を独学すればなんとかなるという異次元な発想から、選択肢の広い方をとっただけらしい。

全くいつでもどこまでいっても私の想像を超えていく異次元っぷり。なんなんだこいつ…………



異次元盲目ダメ皇帝は、2年の段階ではどこを受けるか全く絞れずにいたが、



「やっぱり法整備は大事だからね。皇帝たるもの民の利益も守らなければ」



などと、一体どこでかじったのかよく分からない帝王学を持ち出して、ようやく3年生になって絞ることが出来たらしい。

やはり優柔不断不思議ちゃん系皇帝なのかもしれない。今度こそ需要はなくなった、心置き無く滅べ。



と、そんな訳で理系に擬態したエセ文系優柔不断ダメ皇帝は、文系である私たちと勉強する方が都合が良いらしく、この夏はちょくちょく一緒に勉強した。そこには理系であるはずの翠ちゃんもいた。



「ダメ子くんいるなら、教えてもらえるし、私も参加してもいいな〜夫婦漫才も見逃せないしね?」



と、公演未定どころか、どこの時間軸を探しても存在しない幻の漫才コンビを求めているらしく、仕方が無いのであのロンリーロンリークリぼっちダメ皇帝に翠ちゃんのために早く嫁を探すように言うのであった。

当の本人は、不思議そうな顔をしつつ、今は勉強に集中した方がいいんじゃない?と何故か私が呆れられた。


理不尽なので、ハワイに行ったらお土産人数分よろしくと伝えたが、今年は受験なのでさすがに行かないらしい。あぁ、愛しのマカダミアナッツ。

やはりこのお土産の価値があなたの価値皇帝は無価値で役立ずのようだ。滅べ。



▼▼▼▼▼▼



そうやって夏は過ぎていく。

軒並み皆も志望校やらなんなら将来の就職までうっすらと道筋を立てていた。


1番しっかりしていたのは翠ちゃんで、薬学部から薬剤師になるそうだ。



「給与も高いし、食いっぱぐれもない!結婚後も融通がつきやすくて文句なし!!!あとは医者の旦那を捕まえるだけだな!!あっはっはー!」



と、既に人生を決めにかかっていて、この人も人生2周目か、攻略本でも持っているのかな?と思わせられた。こういう所が本当に大人だと感じざるを得ない。

芯がしっかりしているのも、行き先をしっかり見据えて地に足をつけて進んでいるからに違いないし、翠ちゃんなら問題なく言った通りになると思った。



紅葉は紅葉で修学旅行の時の悩みとは一区切りついた様子で、最近は前にも増して元気一杯である。



「歴史系の学部でとりあえず偏差値高いところを目指すよ〜!何がしたいか、どうなりたいかは大学にいって考える!もう迷わない!」



と、吹っ切れた様で安心した。

少しでも私がその役に立ったのだと思うと照れくさくはあるが、嬉しかった。

ちなみに、あの告白の事は未だに(いじ)られるし、紅葉からは遊びだったのね…!!!と、からかわれて無事に桜の養分となっていた。



そんな桜もマスコミ系に行きたいと言っていたし、桃も公務員で安定した仕事に就きたいわ〜と。


凄い。みんなしっかりしている。

というか、決まってないの私だけ!?!?

私の攻略本は売り切れですか!?

白花人生の解体新書とか売ってないですか!?

と、一緒に泣いて笑って遊んでいたのに、私だけ何も決められていなかった。



優柔不断どころか、悩む要素すら決まっていないという為体。何になりたい、どうなりたいなんて今から決められないよ………

と、弱音をはいてはいるが、以前ほど迷ってはいない。きっと私なら決められる。満足のいく選択ができる。だから、今は限りある時間で選択肢を残すために勉強しようと決めたのだった。


そんな私の様子をみんな心配しつつ、信用しつつ、自分の勉強に集中するのだった。



文理オカマダメ皇帝だけは、



「今のうちに科目絞った方が楽だけどね!?」



と、余計なことを言ってくるので、裏拳をお見舞いしたがあっさり止められた挙句、イチャつくなよ〜とみんなに弄られて、いたたまれなくなった私が、「こんの、ダメ皇帝が!!!どの口が言ってんだ文理オカマが!!!」と、言ったら割と響いたようで苦笑いをしていた。


便乗して翠ちゃんが、



「そういえば、今日から団長くんのことはダメ皇帝を略してダメ子と呼ぶ。」



と、呼び方を使い分けるのめんどいからという理由で、ダメ子と呼ぶのが定着した。

割と気に入っていたらしく、私はやっていないがSNSなどの名前でもダメ子を使うようになったと後から聞いた。



そんな夏が終わると秋を経て冬には人生の岐路に立つのであった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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