高3 春2
次の日は朝から団体で観光スポットを観光し、午後は自由行動であった。
私達は翠ちゃんを交えて、あらかたおさえていた目的地を目指しつつ、南国の街を楽しげに徘徊するのであった。
こういう時、私は目に止まった不思議なものに吸い寄せられて観察し、それを見ていた紅葉が逆に興味を持ってしまい話し込んだりする。
「なんか文化を感じるというか、民族的雰囲気というか、そもそも南国と言えば、こういう模様になりがちだけど、楽器までこんな装飾にして意味があるのかね?」
「実は狩猟の時に合図とかで使ってて、自然と同化させるためとか……?」
と、紅葉が答えの出ない問いを投げかけ、私と一緒に理由を考えるなんて事をする。
紅葉曰く、白ちゃんを見ているだけで変な物を見つけてくるから、探さなくても着いていけば良い。との事。
別に変な物なんて探してないんだけどな………
何となく変な物だから目に付くんだよ。きっと。うんうん。そうに違いない。
そうこうしていると、翠ちゃんがそろそろ行くぞ〜と言って、先を促すのがよくある風景である。
今回はここに桜も加わり、あらゆるものをR18視点から考察したり、妄想を爆発させたりするけれども、桃が楽しそうに話を聞いて、暴走しすぎないように手網を握っているので問題なかった。
桃は良い奥さんになりそうだ。
男の少し後ろを着いて歩いているように見えてしっかり手綱を握ってそうだけど。
そんな周りに振り回されながらも、時折、自分も混ざってふざけて、翠ちゃんも桃も楽しんでいるようで、私達は自由行動を満喫した。
夕方、ホテルに帰る前に私が海を見たいと言って、5人で海に沈む夕焼けを見ていた。
明日には帰ってまた勉強の日々となる。
嫌なわけでは無いけれど、何だかそれが寂しくて、楽しい時間はすぐに過ぎていくなーと噛み締めていた。
ふと、横を見ると紅葉が何となく不安そうな顔をしていた。そういえば、最近元気がない気がする。
心配になった私は、旅の恥はかき捨てと言わんばかりにストレートに聞いてみることにした。
「紅葉?何かあった?」
「うーん、白ちゃんは凄いなーと思って」
頭の中でハテナが浮かんだ。
何だろう。あの民族的雰囲気の漂う楽器欲しかったのかな?
と、的外れな事を考えていると、桃が口を開いた。
「白ちゃんは、どんどん周りの影響を吸収して、自分を変えようと色んなことをするからね〜」
と、意外な事を言われた。
え?私?私の話ですか?それ?
なんなら周りに流されがちだと自負しているため、何の話をしているのか理解が出来なかった。
私からすれば、皆の方が凄くて、私なんておまけで助けられていると感じている。
「それこそ桜とは違う意味で見ていて飽きないよな〜ミーハーな影響でウロチョロするんじゃなくて、本当に芯を持って、少しずつ遠くの目標を変えてる感じだもんな」
と、翠ちゃんからも追撃が来る。
いやいやいやいや、芯があるのはあなたでしょう!!!ブレない自分を持ってる日本代表じゃないですか!!
と、困惑しながら心の中で否定するも、話が全く見えないというか、自分の話をされているらしいが心当たりが全く無く、何とも言えない顔になっていた。
「それに対して、真面目に真っ直ぐにひたむきに努力しちゃうから、たまに眩しすぎる時があるわよね〜そんな初心な所も素敵よ」
と、桜からも珍しく真面目な意見が出るが、自分に実感がないため、またこれは弄られているのでは無いかと心配になってしまう。
「えっ…………それって私の話してるの???」
「自覚が無いのもまたいい所だよな、あっはっはー」
と、私が人生最大にマヌケな顔をして素っ頓狂な返事をすると、翠ちゃんが豪快に笑った。
「高1から見てても、勉強についていこうと試行錯誤するし、私らの勉強法や考えもすぐに採用するし、新しい体験にも貪欲だし、泳げないのにこうやって海も好きになるし、上げてたらキリがないけど、まだ説明いる?」
と、翠ちゃんが呆れたような優しさに溢れたような暖かい眼差しで私を見つつ答えてくれた。
そう言われて、自分が色んな人の影響で変わってきた事、そうやって変わってこれたからこそ今ここにいることを、今更ながらに実感した。
「それに比べて、自分は大して変わったような気もしないし、漠然と将来が不安になっちゃってね〜白ちゃんみたいに私も変われたらなって」
と、紅葉が笑う。
いや、これは心の中で泣いている。そんな気がした。
18歳という年齢で私達はこれからの人生の岐路に立っている。
昔は、凄い大人に感じた18歳だが、なってみると全くもって子供であると実感させられることばかり。
18歳の自分がこんなに情けないとは思わなかった。これから一体自分はどうなるんだろう。
誰もがその不安と戦っているのだと思う。
「まぁ、自分の変化なんて自分では分からないってことを白ちゃんが証明してくれたのでね。だから、紅葉も気付いてないだけだよ。あっはっはー」
「紅葉ちゃんは紅葉ちゃんで良いところが沢山あるし、自分らしく幸せになれば大丈夫だよ〜」
と、翠ちゃんと桃の保護者コンビが達観したように諭す。同い年とは思えない安定感だ。
この2人も同じように悩んだのだろうか。正解のない答えを探し、もがいた時期があったのかもしれない。
そんな2人の言葉を聞いて、自分の事でアタフタしていた自分が恥ずかしくもあるが、今は紅葉に寄り添ってあげたい。
私も自分が正解だなんて思っていないけれども、茜と話して、しっかり考えてここまで来たと思っているので、自信を持って欲しいと思った。
それをちゃんと伝えてあげたい。
そう思って紅葉の手を握り、しっかりと目を見つめて、
「大好きだよ」
と、全ての説明を省いて、言葉が生き急いで私の口からクラウチングスタートしていったため、海辺で茜色に染まる砂浜という最高の雰囲気の中、告白する事に成功した。
その場にいる全員が吹き出して、桜が鼻息を荒くし暴走モードに突入し、桃があらあらと桜を落ち着かせ、翠ちゃんが腹を抱えてひっくり返り、紅葉も涙が出るほど笑っていた。
私は遅れて自分が発言した内容を精査し、全てを省略して、まるで告白したみたいになっている事を理解し、当然のごとく恥ずかしくなった。
このまま砂に埋めてくれー!!!
そうやって叫んで走り出そうとするのを抑えられながら、そろそろ暗くなってきたので帰ろうという話になった。
帰り道、紅葉がありがとうと小さくはにかみながらお礼を言ってきたので、たまには私が弄っても良いよね?と、手を繋いでみたら、強く握り返されて、仕掛けた私の方がドギマギする事になったが、悪くないと思った。
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