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団白虚録  作者: やんだやん
高校生
22/28

高2 冬

「雪だああああああ!!!雪山に俺は来たぞおおおおおお!!」



と、またいつも冷静な翠ちゃんがはしゃいでいる。


レンタルではあるけれど、自分の使うものにはそこそこ愛着が湧くもので、ボードもウェアも丁寧に準備しながら、私は翠ちゃんがはしゃぎながら、雪玉を紅葉にぶつけているのを眺めていた。


そこに桃と桜も加わって気が付けば、私対4人になってしまい私は到着15分にして、早くも雪だるまとなるのだった。


事の発端は翠ちゃんだった。



「皆はイエティ信じてる?我々調査隊はその神秘に触れるべく、スノボ旅行に行かねばならない!」



と、真剣な面持ちでどこかの総司令官のような雰囲気を醸し出して、我々に使命を告げた。



「スノボした事ないから行ってみたいな〜」



と、雰囲気をぶち壊し紅葉が便乗する。



「あぁ…!寒い雪山で遭難する乙女たち。吹雪く雪の中、山小屋のロッジでは女5人と男5人………暖を取るにはもう素肌と素肌で温め合うしか………始まる恋!!!1人の女を取り合う男共………!!!」



と、1人でゲレンデが溶けるほど妄想している桜が暴走モードに突入した。早くこいつのアンビリカルケーブルを切断してくれ。あ、でも、暴走モードだから関係無かったか。



「桜ちゃんが楽しそうでよかったわ〜私もスノボ行きたいな〜」


「私も未経験だけど、いってみたいな」



桃も乗り気なようなので、私も便乗しとく。

きっと一人では行くことは無いし、私から提案することもないと思うので、これは良い経験になりそうだと思っていたところで、



「未経験っっ!!!!!イッてみたいっっ!!!!あふぅん!!!」



と、桜が雪を溶かす勢いで発情しているので、他人のフリをすることにした。私の心はガチガチにATフィールド全開にしておこう。


などと話し合ってから、行動に移すまでは早かった。サクサク予定を組み、宿を取り、機材もレンタルし今日に至る。

学生の安旅行なので、深夜バスに乗って今朝着いたが、みんなバスの乗り心地の悪さなど忘れて、はしゃぎまくっている。



言い出しっぺの翠ちゃんは元々運動もそつなくこなすし、経験者だったようで、皆に基本を教えながら、自分もある程度すると上級コースへ行き、楽しんでいた。


私と紅葉と桜は初めてだったので、恐る恐るという形で坂を横切るように滑る練習をしていた。


これだけでも楽しい。

少しずつ慣れていくのがわかるし、怖さは全然なかったので、基本に忠実に練習を重ねる。


意外だったのは桃で、普通に滑れていた。

どうやら家族でも毎年スノボには行くそうで、普通に滑れるんだとか。

私たちのお守りみたいになっても、申し訳ないので翠ちゃんみたいに滑ってくるように促したが、



「私は皆と遊ぶのが楽しいから、皆の成長を見守らせて?」



と、お母さんのようなことを言っていた。

物静かで大人しく、真面目で優しいので本当にたまにお母さんなんじゃないかと錯覚してしまう。

まぁ、お母さんだったら、桜をこんなに自由奔放にせず、しっかり叱ってあげてくださいとも思ったが、それも楽しんでいるようなのでまぁいいか。


そうやって各々が暗くなるまで、思う存分スノボを満喫した。


▼▼▼▼▼▼



「明日も朝から滑るから、ゆっくり体を温めて、マッサージもしといた方がいいぞー?」



と、1番はしゃいだはずなのに1番元気な翠ちゃんが促しつつ、さっさと大浴場へ向かっていった。


マッサージと聞いて、紅葉が桜の魔の手に捕まっていたが、体中疲れが溜まっていたのもあり、私と桃もそそくさとお風呂に向かうのであった。



「ふぅーーー気持ちいいねぇ〜」


「そうだね〜」



と、桃と一緒に本日の疲れを湯船に垂れ流す。

気を抜いたらこのまま寝てしまいそうだという程には気持ちよく、ゆっくりとした時間が過ぎていく。



「白ちゃんと遊ぶようになって毎日楽しいよ〜」



と、唐突に桃が呟く。



「いやー私自身は何もしてないんだけどね。周りがやかましいから、私も楽しんでるよ〜」



と、眠そうな顔でとろけそうな顔で返事をする。



「みんなそうやって素で楽しめるのも、白ちゃんのお陰だと思うんだよねぇ〜何だか白ちゃんといると落ち着くし、安心するし。」



と、桃も寝てるんじゃないか?これは寝言かもしれない。という顔で答える。


何だか急に褒められてしまったのもあるし、全く考えたこともない事を言われて、私はのぼせた訳でもないのに顔を赤くした。

翠ちゃんも紅葉もしっかりしてるし、桃と桜も自分の世界を持ってるから、そんな事ないんだけどな〜と思いつつも、何だか嬉しくなって私は湯船に顔を半分沈めるのであった。



「白ちゃん、置いてくなんて酷いよー!」



と、男を喜ばせるために生まれてきたような体をした童顔がこちらへと歩み寄ってくる。

一緒にJKの皮を被ったおっさんが、紅葉の体を舐めるように凝視し、ついてくる。

端的に見て、ヤバいやつだった。



しかし、それを見て桃は楽しそうに笑っていた。



「桜ちゃんはね、ああやって変態丸出しだったりするけどね、本当に人が嫌がることは全然しないし、むしろ気が利くほうなんだよね〜不思議だよねぇ〜」


「あれ、紅葉嫌がってないのかな〜でも、あれだね。桜は嫌われたりあんまりしないよね」



と、何故か納得してしまった。

その辺の人の感情の機微に敏感なんだろうなと思い感心する。



「紅葉ぃ〜とりあえず湯船に入って落ち着け〜」



と、おっさんの魔の手から逃れる方法を教えてやり、私たちは疲れを癒す。

素泊まりのホテルなので、豪華な食事とはいかないが、各々好きなものを食べて次の日に備えるのだった。

最終的には、何となく滑れると思える位にはみんな上達し、今回のスノボ旅行は幕を閉じるのであった。


雪山という自然に囲まれた非日常的な空間は、私にとっては新鮮で、今回もやっぱり知らない景色に連れて来てくれたなーと、心の中でみんなに感謝を述べる。


またみんなで来れるといいな。

そう言って、夕日に照らされた茜色のゲレンデを後にした。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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