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団白虚録  作者: やんだやん
高校生
16/28

高1 夏休み2

夏休みが終わる頃、真面目とノリの狭間を生きる私達3人は今日も勉強をしていたが、1つの問題が発生していた。



「ダメだーやっぱりあたし達じゃ数学はちょっと効率悪いなー」



と、翠ちゃんが冷静に匙を投げた。



「いや、なんかもうちょっとこの辺まで出かかってるんだけどなぁー」



と、私が喉に小骨が刺さったような気休めを述べる。

その横で早々に諦めた紅葉は、答えを見て1人で納得していた。



「答えを見て、いい感じのところで寸止めしながら、説明できそー?紅葉?」


「うん、これはこっちでこれがこうなるから、あとはいい感じで」


「ありがとう。おやつ食べてていいよ」



と、本日2度目の匙を投げた翠ちゃんは絶望した様子で顔を伏せた。



「数学得意なやつとか、誰か仲良くないの〜?」



と、翠ちゃんが悲痛の叫びを上げて、私も同じく項垂れた。



おやつのクッキーを食べながら、紅葉が私を指差す。



「やっぱりここはあたしが天才的に覚醒して、皆に教えるしか………」



と、腕をまくり、気を集中して、今なら舞空術でも習得できそうなくらいの気迫を見せるが、私が空を飛べることも無く。

問題はどうやって見てもきっかけが掴めるはずもなく。

さながらミスターサタンくらい勘違いして解ける気にでもなれば気休めにはなるんだけど。

何一つ変わることなく、紅葉の咀嚼音だけが鳴り響く。


それでも指を指してくる紅葉の人差し指で、ETでもするかと近付けた時、どうやらモグモグの終わった紅葉が口を開く。



「団長………」



!!!!!

私はついに背後を取られたか!!!!と、慌てて後ろを振り向くが、なんだいないじゃないか………

ビックリさせるなよ紅葉。


と、体制を戻すと今度は翠ちゃんも私を指さして、口を開いていた。


意味がわからず、仕方が無いので、私は2人の指でETをしようとした時、翠ちゃんがとても簡単な事に気がついた事が分かった。



「団長くん数学教えてくれるんじゃね?」


「あっ」



2人の指と指が重なり合った時、1つの答えに辿り着いたのだった。その手があったか。これぞミラクル?いや、単なる見落としというか、夏休みをエンジョイしていたお陰で、完全にカイザー皇帝出来杉の事が頭から抜けていた。


むしろ、頭から抜けててくれた方が嬉しいんだけど。

思い出させるんじゃねーよと、早く思い出せよの狭間でモヤモヤした気持ちになりながら、ある事を思って私は少し苦い顔をした。



と言うのも、夏休みはほとんど連絡をとっていないのでなんだか気まずい。

一応メアドは交換したものの、SNSも特にやっていない私は彼の現状を知らなかった。

いや、知りたくもないし、母が危篤ですとか言ってても、同じように要求は突きつけるんだけどもね?


なんだか彼と夏休みの組み合わせは良くない。

なんか毎回気まずい心持ちにさせられる。


やはり夏と共に滅ぼすか。

怒りの業火エクゾードフレイム(局所的)とかしてくれないかな?してくれないか。


そんな事を考え、行動に移すまでの時間がかかればかかるほど、



「それはモジモジしていると捉えて差し支えないですよね?」



と、周りの2人がニヤニヤするので、南無三と私は連絡を取るのであった。



「元気?」



と、とても端的なメールであった。

いつも素っ気ない返事しかしないのでいつも通りの文面ではある。なんなら、珍しく私から連絡してあげたのだから、感謝して欲しい程である。皇帝よ、崇め奉られよ?なんて調子に乗っていたのも最初の30分程であった。



返信が来ないので、とりあえず勉強を続けようと私達は紅葉のよく分からんヒントを頼りに数学を解くのであった。

無駄にあのイエローチンパンジーゴリラ皇帝からの返事が無いことに、苛立ちとチクッと胸を打つ感覚を覚える。このモヤッとした気持ちが一体何なのか、私は分からないまま時が過ぎていった。



普段なら割と返事は早い方だが、この日は2時間経っても返事はなく、私達は解散した。

そして、結局この日、返事は来なかった。


あんの、ダメ皇帝



▼▼▼▼▼▼



翌日、もうすっかりカイザーダメ皇帝に連絡をとったことなど忘れて、私はケータイもろくに持たず、両親に連れられて買い物やらで忙しくしていた。


忘れたのではなく、忘れようとしたのかもしれない。

無かった事にしようとしたのかもしれない。

返事が来ていなかったらどうしようという気持ちに答えが見つからなかったのかもしれない。だから、私はケータイを忘れてでかけたのかもしれない。



久しぶりに親父が映画なんかも見よう!と、唐突に言い出し、たまには家族団欒も必要かなんて思いながら、私はされるがままについて行った。

気晴らしにはちょうど良かった。


気が付くと空は暗くなり、家に帰った頃には寝る時間となっていた。そこでケータイを置いていったことを思い出し、恐る恐る画面を見る。



「あっ……」



あのダメ皇帝から連絡が来ていた。

私は自分が忘れていたこと、恐れていたことなど棚に上げ、今更このダメ皇帝は何のようですかねぇ〜???

と、意地悪そうにメールを開く。


きっと翠ちゃんが居たら、それは嬉しそうにって言うんじゃない?と、ニヤニヤしながら言うかもしれないが、嬉しくないです。

はい。全然全く。オールナッシングです。

野球で言えば、ノースリーです。それどころかスリーアウトゲームセットです。対ありでしたー


と、脳内で9回裏が終わったところでメールの中身に目を落とす。

着信時間は深夜2時!?

どうやら彼の皇帝はハワイに居るらしい。


私が送ったのが日本時間で17時。

つまり、ハワイは22時か………割と早めに寝てましたか………

その後、メールが来たのが深夜2時だから、朝7時。

9時間ぐっすり寝るじゃねぇか〜寝坊助ダメ皇帝め。


内容は簡単に言うと、



「寝ていたので気付かなかった。帰るのは夏休みギリギリとの事。なので、数学教えるにしても、学校始まったらになっちゃう。」



などと、申しており。


私の中でこの寝坊助ダメ皇帝の処刑が確定した。

愚王には死を。



そして、ついでにまたしてもマウントを取られたような気分になり、イラついた勢いで翠ちゃんへ電話をする。



「もしもし、どったのー?」


「あんのダメこ………うんち団長くんは、ハワイにいるそうで夏休みは教えられないでザマスとの事ですの。オホホホホッ」



勢い余って思わず脳内あだ名を翠ちゃんに披露する所だったのを、すんでのところで?むしろ手遅れ?えーーーいどうとにでもなれ〜!!!!


という気持ちの表れが語尾に全て込められたような話し方になり、電話の向こうでもニヤニヤしているのが感じ取れる。お姉様ちょっと何か聞こえましたの?聞こえませんでしたよね?聞こえていたらそれはきっと私じゃないです。夏の魔物のせいです。はい。お化けです。貞子です。白花ではございませんよ?



「ん?ダメ子?フフフッまぁだったら仕方ないね〜」


「気にしないで!!!ほんとに!!!!」



そんな脳内弁明も虚しく、完全に手遅れの方でした。チクショー!!!

これも全てあの寝坊助丸カイザーのせいだな。うん。辱めを受けたので慰謝料はハワイのマカダミアナッツをよろしくって返しとこ。



ダメ皇帝からの連絡で心がすさみ、翠ちゃんへの失態で白花の心のライフポイントはゼロよ!

サレンダーする気力も起きない!あんたが死んだらどうなるの!次回、白花死す!デュエルスタンバイ!

と、これまた高校生にしとくには勿体ないロケットおっぱいさんの声をリフレインさせながら、終始ニヤニヤの止まない翠ちゃんとの連絡を終えるのだった。


紅葉へ知らせるのは会った時にしよう。

もう私はスターチップも失い、このデュエルシティからもおさらばするのだった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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