皇帝陛下は婚約破棄するバカ皇子たちを見限るのか!?
この大陸を治める、若きサマール帝国の皇帝エスレス・サマールには、二人の甥っ子皇子達がいた。
現皇帝エスレスは、本来…… 前皇帝の、かなり歳の離れた弟皇子である。
堅固な帝国維持の為、当時のエスレスは弟として、サマール王国の外交を主に担っていた。
しかし、急な病で崩御された前皇帝の後を、急遽継がされる事になってしまった。
王位後継者の一人として、当時の幼い皇子達より、自分にお鉢が回ったとしても困らない様、心構えをしていたつもりだった。
だが、当時18歳だったエスレスは、サマール帝国を継ぐや否や、文字通り公務一筋にならざるを得なかった。 地獄の忙しさは、外交官だった頃の比ではなかった。 引き継ぎによる引き継ぎ地獄!
皇帝となった18歳当時は、外交から公務を一手に担っていた為、婚約者すら未定の状態だった。
そんな皇帝エスレスには、結婚も育児なんかも、頭の片隅にすら考える余裕などなかった。
そんな若き皇帝が真っ当な皇子達の教育など、当然出来るはずもない。
それなのに、亡き先代皇帝には、正妃と側妃の二人の妻がいた。
各々一人ずつ皇子を産み、先代皇帝がご崩御された当時、共に皇子たちは12歳になったばかりだった。
エスレスは、二人の皇子のことを、もう聞き分けのできる歳であると解釈していた。
自分も14歳の時には、外交もして公務の手伝いもしていたのだからと、特に口出しをする気もなかった。
しかし…… この判断が後々、数多の禍根を残すことになるとはーー その当時は、夢にも思わない皇帝エスレスだった。
その後、15歳になった二人の皇子は、《 帝国学術院 》の門をくぐる事になった。
二人の皇子にはその当時、この帝国の二つの公爵家の娘が、各家から婚約者として選出されていた。 先帝が存命の時、二組の婚約を決めたのだった。
先帝正妃様のご嫡男、アンドリューには、ニードル公爵家のジョリーが。
先帝側妃様のご嫡男、エドワードには、ナイフ公爵家のグロイユーが選ばれたのである。
4人は学術院にて、親交をより深め、行く末にはサマール帝国を、協力し助け合い守り抜く筈であった。
最初の異変はたった、三日後のことである。
エドワードが、オレンジの鮮やかな髪色と緑色の瞳が可愛い平民の娘に一目惚れをしてしまったのだ。
それからは、5歳から縁を結んだ婚約者を、目の敵のように接し始めた。
それさえ問題なのに、なんと次の週には、アンドリューが薔薇のようなピンク色の瞳と髪色の美しい男爵令嬢に、見事に一目惚れをしてしまったのだ。
判で押したように、アンドリューもまた、5歳からの婚約者を猛烈に避け始めたのだった。
そして!
なんと!
帝国学術院に入学し、たった二週間後に皇子二人はやらかしてくれた。
腕には、お互い気持ちを交わした令嬢を連れて、庭園でランチをしている、婚約者の公爵令嬢たちに向かって、一気に言い切った!
「グロイユー・ナイフ公爵令嬢! 私エドワード・サマールは、貴女と婚約破棄をさせてもらう! 貴様の顔など、二度と見たくない! 」
「ジョリー・ニードル公爵令嬢。 私アンドリュー・サマールは、其方と婚約破棄することを、ここに宣言する 」
二人の公爵令嬢は、取り乱すことなく、揃って席を立つと、其々声を発した。
「かしこまりました」
「承ります」と、淡々と言葉を返すや美しい所作でカーテシーをすると、その場を去っていった。
帰宅した娘たちから話を聞いた公爵家たちは、道理から外れたくだらない理由の婚約破棄した皇子に対し義憤に満ちていた。
いきなりの婚約破棄だったが為に、二つの公爵家に対して、皇家から誠意ある対応が間に合う筈も無かった。 それでも、謝罪を認めた正式書類は、速やかに届けられのたが。
皇城内では、それはそれは大騒ぎとなった。 優良貴族の筆頭だった、二つの公爵家に大きな泥をかぶせたのだから。
(全く、馬鹿げている…… )
皇帝エスレスは、自身がいつも公務の際に使う客間に、前皇帝の正妃と側妃ーーそして問題を起こした、二人の皇子を呼んだ。
二人の皇子と母親たちは、見事なほどに対比的な態度だった。
メイドが入れた馥郁たる香りの紅茶をゆっくり口に含み、先ずはエスレスが口を開いた。
「申し開きは…… あるのか? 」
すると静々と先帝正妃が立ち上がり、かぶりを下げた。
「恐れ多くも皇帝陛下。 この度は、誠に申し訳ございません。 全て私の…… 不徳の致すところでございます 」
その息子アンドリューも
「いいえ! 母上のせいではありません! 私が…… 私が、真実の愛に目覚めてしまったからです! こ、皇帝陛下…… 確かに、帝国の二大公爵家のジョリー嬢は、素晴らしい女性ですが…… 一緒にいても…… いつも気詰まりし…… 私には、あの激情に耐えられませんでした…… 申し訳ございません 」
心根の弱い、優男のアンドリューを補うべく見繕われたのが、あの有名な〈皇帝の剣〉と名高いシードル公爵家のジョリー嬢だったことが、不幸の始まりだったのかもしれない。
〈皇帝の剣〉と言うだけあり、一族皆… 隈なく剛毅で、激しく曲った事が許せない。 ある意味、融通がきかない者達ばかりだった。
アンドリューは、少しの迷いも…… 少しの弱さも…… 全く融通が通らないジョリーに、次第に疲れていった。
ジョリーは、とても優秀で血気溌剌な真っ赤な髪と瞳のゴージャス美人であったが、アンドリューに会う度に後の政権のためとはいえ、お小言を欠かさなかった。
暫し考え込む皇帝エスレス。
次に、素っ頓狂に声を上げたのは、エドワードだった。
「皇帝陛下! 私には、グロイユーがもの足りませんでした! 」
「は? 」
流石に驚くエスレス。
「私は、幼き頃の顔合わせの時に…… 本当にジョリーが良いと言いました! 元気で美しくて、しゃべっていても楽しかったんだ。 なのに、ただ見目が良いだけの大人しいグロイユーが私の婚約者になって、本当に不満だった! 」
少し傲慢で、自分大好きなエドワードには、ジョリーは扱えないだろうと、大人しくはあるが知性と品位があり、実は芯が通った〈帝国の秩序〉と名高いナイフ公爵家令嬢のグロイユーがエドワードにあてがわれたのだったのだが…… 。
先帝側妃もエドワードに加勢する。
「私はあの時に…… エドワードには、ジョリー嬢が良いと申しましたのに。 あの時に、私の進言を聞いてくだされば、このような事にはならなかった筈ですわ 」
またまた驚くエスレス。
気を良くして、続けてまくしたてる先帝側妃。
「こう言ってはなんですが、お互いの子どもたちの意見を聞かずに、大人の都合の良い子を押し付けるのが悪いのですわ 」
一見、正論の様だが、先帝正妃が真っ向から反論した。
「お黙りなさいませ。 あの時、貴女の意見は、議題に上がってませんでしたわ。 今更、至極真っ当な事を仰っているようですが、私たちの皇子が帝国の二大公爵家にした仕打ちは、到底いい訳の出来ることではありませんでしょ? 」
「あ、あのう…… 皇帝陛下…… 母上。 私、アンドリューは、皇位継承権を放棄し、学術院卒業後は男爵家に婿入りし、外からこのサマール帝国を支えて参ります。 どうか、お許し願えませんか! 」
いつも、オドオドしているアンドリューとは思えない発言を聞いた先帝正妃様は、隣に並び一緒に頭を下げた。
じっと見つめるエスレス。
すると先帝側妃の虚栄に満ちた声がした。
「良かったわね、エドワード。 これで、ライバルがいなくなったじゃない! これからは、貴方の時代なのよ。 でも、相手の子が平民なのがねぇ…… 」
するとエドワードは、瞳をキラキラさせ
「母上! 心配いりません。 所詮は、側妃か愛人にでもします。 正妃には、ジョリーか、見目の良い明るい娘を迎えれば、良いのですよ 」
先帝側妃は自分の立場も忘れて
「さすがは、私のエドワードだわ。 皇帝陛下、あとは私でナイフ公爵家と話をつけますわ。 これで全て解決しますわね 」
皇帝エスレスは、この三年間で培ってきた殺気を先帝側妃とエドワードに向けた!
「戯言も大概にせよ 」
「うっ…… 」
先帝側妃とエドワードは、あまりの殺気に固まり、顔は青ざめガクガクと震えた。
先帝側妃とエドワードは普段、多忙な公務で皇帝と会うこともないし、会ったとしても比較的穏やかな皇帝エスレスだと、勝手にタカを括っていた。
だが、実は超絶優秀で豪胆なエスレスは穏やかな政権交代を臨むため、敢えて内面の激しさを涼しい仮面で隠していただけだった。
皇帝エスレスの素早い行動で、二代公爵家には速やかに書簡の通達があったが、その内容は公爵家の首を傾げる内容も含まれていた。
皇帝エスレスの書簡には、丁寧な詫びがしたためられてはいたが、何故か妃教育を続けていくよう記されていた。
無理強要とは書いていないので、ニードル公爵令嬢のジョリーは辞退を申し入れた。
一方、婚約破棄を賜ったのに何故まだ続けていくのか理解が追いつかないナイフ公爵家でもあったが、帝国の忠義の厚い公爵家は暫し様子をみることとし、お妃教育を続けていくことにした。
ニードル公爵家は、帝国学術院も辞め、隣国の王都学院に娘ジョリーを通わせることにした。
ある意味、すぐに皇子たちに処罰が無いことが許せず、サマール帝国を見限ったのだ。
それから一年の時が流れた。
帝国の妃教育も、ほぼ終わりを迎えた。
最後の課題提出を済ますと、グロイユーは春の麗かな気持ちのまま、庭園を歩いていた。
「なんて穏やかで、過ごしやすくなったのでしょう…… 」
つい、小さく声が漏れる。
グロイユーの青く長い髪は、春の日差しに輝き、理知的な青い瞳は長く通った城の花たちを眺めている。
「グロイユー嬢…… 」
穏やかな声が名前を呼んだ。
そっと振り向くと、アンドリュー皇子がいた。
私は、すぐさまカーテシーをした。 そんな、私を慌ててアンドリューが止める。
「そんなにあらたまらいでくれ。 グロイユー嬢 」
「いえ、アンドリュー皇子様。 そういえば、学術院にもあまり、お顔を出しておられませんでしたね 」
「ああ。 私は卒業後に、ルポゼ男爵家に婿入りするから領地経営などを学びつつ、皇帝陛下の公務の手伝いも少しね…… それでも、そなたに謝るのが遅れた理由にはならないね。 本当にすまなかった、グロイユー嬢…… 」
あの、オドオドとして頼りなかったアンドリューしか知らない私は、幼馴染の変化に驚いて、すぐに返事ができなかった。
「そ、そんな。 もう、お気になさらないでくださいませ。 アンドリュー様の今後を、応援しますわ 」
アンドリューは、グロイユに謝れた事に心底ホッとした顔をしていた。
「あのう…… そういえばこの一年、続けて城に通っていたのですが、学術院でも城でもエドワード様をお見かけすることがなくなって…… 」
「あっ、それは…… 」
一瞬、言葉を詰まられせたアンドリューだったが
「エドワードは半年前…… 廃嫡となり、側妃と平民の令嬢と一緒に…… 国外追放と、なったのだよ。 帝国の公爵家への無礼以前に、皇子としての心根の醜さに、エスレス皇帝陛下の…… 逆鱗に触れてしまわれたのだ 」
「えっ! 皇帝陛下の逆鱗? 」
私は、またもやビックリして、言葉が出ない。 エドワードは説明責任を果たす様に話を続けてくれた。 その声は、深く沈んでいる。
「皇帝陛下が…… あの日から…… ずっと、私達、皇子たちの教育に不関心だった事を後悔されたんだ。 私達が改心するよう… 心を砕いてくださった。 しかしエドワードと側妃達は、納得がいかないのか…… 悪虐が増してね。 皇帝陛下が、とうとう処罰されたのだ 」
「そ…… そうだったのですか…… 」
「私を…… 少しは、皇帝陛下が認めてくださったのか…… 今もグロイユー嬢に謝る機会を賜ることが出来た。 そうだった。 実は… 皇帝陛下より、そなたに『執務室に来るよう』 言付けを頼まれたのだ 」
「えっ? 私が皇帝陛下の執務室にでしょうか? 」
「ああ、すまないが足を運んでくれ。 それでは 」
私は、堂々としたエドワードの後ろ姿を見ながら幼馴染の今後の幸せを密かに祈った。
普段立ち入る事ない、王城の奥。 私が皇帝陛下の執務室前で暫し躊躇っていると、スーッと扉が開いた。
「暫く待っていたのだが、入りにくそうだったから…… 」
エスレス皇帝自らが、扉を開いてグロイユーを招き入れてくれた。
グロイユーを重厚なソファーに座るよう即すと、エスレスが自らお茶を淹れ始めた。
恐縮したグロイユーは
「わ、私が淹れます 」
慌てて席を立ったが…… そっと、手で制す。
紅茶を飲みながらの…… 暫しの沈黙の後だった。
窓からさす春の陽に、黄金色の瞳と髪がエスレスの色気のある美しさを讃えている。
あまりの大人の佇まいにグロイユーは内心落ち着かなかった。
「グロイユー嬢、妃教育もほぼ終わったようだね。 一年前、我が帝国の大切な二大公爵家には多大なる迷惑をかけた。 改めて詫びよう 」
「あっ、いえ。 あの時すでに、皇帝陛下より謝罪いただきました。 妃教育も私の高みを目指す、良い機会をいただけたと思っております 」
「うむ。 実は、グロイユー嬢…… よければ私と婚約し、後々正妃として迎えたいと思うのだが、貴女の意見を聞きたい 」
「わ、私でございますか? 」
「ああ。 貴女がまだ幼い頃から、妃教育でこの城に通っていた時から見ていた。 貴女はエドワードの婚約者だったし、私も兄上を助けるため外交を幼い頃から勉強していたので、直接会うことが無かったね。 いきなりように聴こえるかも知れないが…… もう、ずいぶん前から、貴女に惹かれていたのだと思う 」
「そ、そうなのですか? 私は…… 」
私は正直、頭がクラクラして、答えが出てこない。 それなのに、尚もエスレスの言葉は終わらない。
「…… 一年前。 二大公爵家に、妃教育を続けて欲しいと書簡を送ったが…… もし、ジョリー嬢が続けていて、貴女が辞退したとしても…… 私は貴女が良かった 」
容赦のない色気がダダ漏れの皇帝陛下の告白に私は目を見開き、顔を真っ赤に染めていた。
「うっ! 」
エスレスはこの一年、考えさせられることが沢山あった。
二人の皇子たちと、初めてちゃんと接してみて、あまりの差に心底驚いたのである。
アンドリューは、心の弱さはあるが誠実で頭も良い。 優しさ故に、ジョリーの迫力に潰されてしまったのだと思った。
しかしエドワードは傲慢で、私利私欲の強い側妃の影響を色濃く受け、人を見下すまでになっていた。
皇子たちと向き合ってこなかった事を後悔した皇帝エスレスは、半年指導して様子を見たが、アンドリューとは違いエドワードは益々悪辣になり強情が過ぎた。 街中で剣を振るって、罪もない平民に怪我をさせた事で…… とうとう、手放すこととなってしまった。
そこで…… ハタと思った!!
こんなエドワードと、婚約破棄を言われるまで耐えて、支えていたグロイユー嬢の尊さに気付く…… それ以前に…… 自分は幼い頃から気がつくと、妃教育で通っていた二人の公爵令嬢のうち、いつもグロイユー嬢を目で追っていたことを…今更ながら思い出した!
ハッキリと想いに気づいたら、すぐに行動を起こそうとしたが、そこで先帝正妃が待ったをかけた!
「恐れ多くも皇帝陛下。 婚約破棄したばかりの…… まだ成人前の令嬢には、荷が重いですわ。 せめてもう少し、心の傷が癒えるお時間をあげてくださいませ 」
あまりのド正論に冷静さを取り戻したエスレスは、妃教育が終わるまで…… ただただジーーーと耐えたのだった。
「あ、あのう…… 皇帝陛下。 私一人の、一存では決めかねます。 お父様と相談した後に返事をしてもよろしいでしょうか? 」
なんとかすぐの、返事を延ばそうとしたその時だった。
「何を、悠長な事を仰っているの? 」
執務室の続き部屋から、一年前隣国に留学したジョリー・ニードル様と公爵様が姿を現した。
「えっ? ジョリー様、どうして? 」
私の頭の中はもう…… 先程から混乱しまくりです!
「お久しぶりですわ、グロイユー様。 うふふふ。 さすがのグロイユー様でも、冷静ではいられませんでしたか。 〈帝国の秩序〉の仮面が剥がれそうですわよ。 しかし、此度の婚約は、是非受けてくださいませ 」
「え! 何故です? 」
「私、このたび… 隣国の王太子エドガー様と婚約しましたの。 隣国故、サマール帝国とも好縁に越した事はございませんでしょ。 元皇子たちの元婚約者同士として、共に過ごしたのです。 誰よりも優秀だと認めるグロイユー様が正妃なら、この帝国の行く末は安泰…… 是非! 私のためにも、この帝国の正妃になってくださいませ 」
続けて公爵様がニヤリと口角を上げる。
「一度は、この国を見限った我が公爵家だったが、隣国に嫁ぐ娘のため、今暫くは〈帝国の剣〉として努めましょう 」
(ダメだわ…… 完全に囲われている…… ならば、私が出来る事って、ひとつしかないじゃない…… )
ナイフ公爵家グロイユーの覚悟は、ハッキリと決まった。
それから間を置かず私、グロイユー・ナイフ公爵家とエスレス・サマール皇帝の婚約が滞りなく結ばれた。 私の帝国学術院の卒業を待って、婚姻がなされることとなった。
その全てを側で支えていた先帝正妃様は、心の中で…… そっと、思うのだった。
エドワードがジョリーを好きになったように、アンドリューもグロイユーに恋をしていた。
もし二人の皇子たちが、それぞれの想った相手同士なら、どうなっていたのだろうと。
思わず、そう考えずにはいられなかった、先帝正妃だったが、今のアンドリューを頼もしく思えるようになったのも、失敗から学んだからだと思い直したのだった。
そんな先帝王妃の元にグロイユと皇帝陛下が近づいて来た。
「先帝王妃様、どうかこれからも未熟な私を導いてくださいませ 」
「先帝王妃、私の妃に教授を願う 」
だが、先帝王妃は、くすっと笑った。
「皇帝陛下が一番、グロイユ様の優秀さを分かっておいでではないですか? グロイユ様も長年、妃教育に励んできたのです。 どうぞ、安心して 」
二人はお互いの顔を見合わせて、微笑み合っている。
いよいよ、先帝王妃は思うのだ。
ああ…… これで、良かったのだと。
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