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4話 シルフィセレフと魔法

話し言葉と、心情を分けて書いているつもりですが分かりづらかったら申し訳ないです。


精霊の空間にいる人の心を精霊は読むことが出来るという設定です

 本日の朝食のメニューです。


 クロワッサン(チーズクリーム入り)

 ソーセージ

 サラダ

 スクランブルエッグ

 フルーツのヨーグルト掛け(ヨーグルトなのかは定かではない)

 シリアルパンケーキ(小さいパンケーキ)


 前世に比べて随分豪華な気がしますが、この世界では立派な上流階級という事でこれでも質素な方らしい。私が手伝ったことと言えば、母と一緒に行った倉庫で、重さのほぼない野菜を運んだり、鳥小屋に行って産みたて卵を頂戴したり、果物にヨーグルトをかけたりしただけです。

 私が食糧庫に行くのを見て使用人は今にも悲鳴を上げそうな顔をしていたが、母がやらせてあげてというとこちらの様子を伺いながら見守ってくれた。

 ちなみに包丁は握らせてもらえませんでした。まぁ、5歳なら当たり前かもしれないけど。


 味はとってもおいしい、パンは焼き立てサクサクだし、卵はとれたて、野菜も丘の畑で栽培したものだから鮮度は抜群だ。けど、量が多い。


「ティアには少し多かったかしら。」


 手が進んでいない私を見かねて、母が言う。昨日の重湯を食べた後、朝ごはんの前に猛烈にお腹が空いたので皆と同じ食事を摂ろうと思ったのだが、少々無理があったようだ。


「ティア、食べなきゃ大きくなれないぞ。でもまぁ好き嫌いもあるだろうから、今日は多い分を食べてあげよう。」


 母は周りの皿を見ながら、父はテオと食べる量を競い合うように、それぞれが好きなように食事を楽しんだ。

 異世界の食事は、前世の物とよく似ている。違いはソーセージの中身が豚や牛ではなく、モンスターのお肉や羊である所、ヨーグルトに塩気がある位だ。

 味覚をバグらせる添加物が無い分、シンプルな味だが満足できる。

 これからの料理が楽しみだな、さぁお皿洗い頑張ろう。


 流石にお嬢様として皿洗いはさせてもらえませんでした。


-------------


 同じように昼食を楽しみ、庭を眺めながらまったりしていた午後。父から魅力的な提案があった。


「ティア、街に出てみないか?」


 丘にある我が家は、民家や街とは物理的に距離が遠い。人と言えば家族か使用人ばかりで外の世界がどうなっているのか単純に気になった。


「街!!行きたいです!!」


 そうと決まれば準備は万端だ。着替えは終わってるし、持ち物はこれと言ってない。

 父は、そう焦らすなと言いながらもテキパキと準備をはじめ、グレーのスーツに着替え馬車の準備を終えた。


「お兄様は行かないのですか?」


 テオは朝の稽古の服のまま、私を玄関で見送っている。兄妹でお出かけではないのだろうか。


「僕は午後から魔法とマナーの勉強があるからまた今度、お父様と楽しんでおいで。」


 我が兄は日本人並みに勤勉だ。朝は剣術、午後は魔法にマナー、見習いたい。


 昨日の夜は早く魔法を覚えて~なんて考えていたけど、街の見学という魅力的な提案をあっさりと受け入れてしまった。

 中身が少々幼児退行しているのかもしれない。


「ティア、テオはもう8歳だからやることが多いんだ。また今度一緒に行こう。ソフィア、留守を頼む。」


「分かったわ。ティア、お父さんとのデート楽しんでね。」


 父に抱き上げられて馬車に乗る。馬車の中は存外快適なものだった。

 革張りのイスが少々硬いがそんなものだろう。鉄板で出来た馬車は無骨な見た目だが、話を聞くと父が仕事で使っている物らしい。

 確かに父が使うのなら飾り気は要らない、だか街に近づいて小さい窓を覗くと、周りの馬車は木造りの物ばかりだった。


「お父さんの馬車はどうして鉄でできているのですか?」


「お父さんが木の馬車に乗っていたら、悪い人が来た時に分が悪いだろう?ただティアが日常的に乗るには少し目立つし殺風景だから、家族用に馬車を増やそうか。」


 別邸と本邸を移動したときに使った馬車は宿泊馬車と言われる特別なもので、整えられた道路や特別な馬が必要であり日常使いはされていないようだ。


 父は王都で騎士団団長を務める要人だから、道中何かの事故で死なれては困るという事だろう。その辺の盗賊にやられるような人が、騎士団団長な訳は無いのだが。


「ほらティア、街だよ」


 街に入る為の門を越え、中には居るとそこは屋敷とは全く違う異世界だった。


 石畳の床、レンガ造りの家、まるでゲームの世界だ。所々に井戸があったり、出店で食べ物を売っていたり、芸子が音楽を奏でて賑わっているように見える。


「お祭りみたいですね!とっても賑やか!あ、あの食べ物はなんだろう?あの大きな建物も!」


 情報過多、RPGのような世界観でテンションが上がる。街の人の髪の色はカラフルで黒髪を余り見かけない。


「この街は年中賑やかだぞ!王都の次に大きい街だからな。さぁ、馬車を置いて街を歩こうか。」


 馬宿に着き、馬車を預ける。手を繋いで歩いていると、周りの建物が大きいという事に気づいた。ずーっと奥には高い塀があって、門番みたいな人が検問してる。


「塀の向こうにはなにがあるのですか?」


「あっちは貴族領なんだ。街の一番外側が農民、平民領、次に貴族領、最後が神殿の順番で街が作られてる。これは、ノトリア王国全ての街の造りに用いられてるんだぞ。王都に関しては、中心は勿論王宮だけどな。」


 私たちが今いるのが平民領で、あの塀の向こうが貴族領か。あまり近づきたいとは思いませんね、貴族ってめんどくさそうじゃん。

 貴族の中でも相当お嬢様な私が言うべき台詞ではなさそうだが、権力争いとか後継ぎ問題とか関わりたくないね。

 そして今この国がノトリア王国ってことを知りました。その情報は絶対にでかいです。


「今日は平民領を見て回るんですね!」


「そうだな、貴族領にはあまりティアの好きなものはないだろう。貴族はそもそも商人を屋敷へ呼ぶからな。店がある必要があまりないんだ。だから今日はここを見て回ろう。」


 さすが貴族、イメージ通りです。屋敷に居れば自分の見たい物が揃うとか凄いな。引きこもりにはぴったりだ。貴族のおじさんって、やっぱりでっぷりしてて、ちょっと禿げてて、でも服だけは高級みたいな感じなのかな。

 私はこの時、自分の家に定期的に商人が来ているということすっかり忘れていた。


「はい!楽しみです!」


「少し行った先に観光客向けの商店街があるんだ。まず、そこを見にいこうか。」


 街の中は多彩だった。食べ物の露店から始まり、装飾品や衣服、武器や防具、占いのようなものからペットショップ、そして奴隷まで、非常にたくさんの物が売り買いされている。

 本物の奴隷を見るのは勿論初めてだが、酷い生活をしている訳では無いらしい。皆やつれてないし、服も着ている。


「お父さま、これは何ですか?」


 目に入ったのは大きい水晶だ。実は街のいたるところで販売されていて、絶対に関係の無い飲食店にすら置かれている透明な水晶、何か重要な役割でもあるのだろうか?テレビで見た占い用の水晶の何倍も大きい。


「これは精霊水晶、自分の魔力の大きさや、魔法の属性を示してくれる物だ。」


「レオナルド様、連れもなくお一人で下町に来るなんて珍しいですな。おや?こちらの可愛いお嬢様は?」


 人の気配を感じたのか、奥から店主であろう男の人が顔を見せた。父と知り合いなのだろうか。一見屈強な戦士のような風貌だが、よく見ると腰に工具を掛けており職人なことがわかる。


「あぁ、娘が昨日目を覚ましたんだ。街にも慣れていないだろうから気晴らしにな。今日はプライベートだから、あまり騒がないでくれると助かる。」


「ご息女でしたか。ご無事でなによりです。シルフィセレフの皆が、回復を祈っておりました。」


 私が父の娘だと知ると、大層嬉しそうに表情を崩す。私が眠ってしまったことは、この街でも有名なことなのだろうか。


「ローレンスから話は聞いていた。街でも精霊へ祈祷が行われていたと。感謝を示すためにもお披露目をしたいところだが、長い間眠っていたから大事を取らせてもらう。」

  

「はい、この事は内密に。そしてレオナルドさん、ティアお嬢様はまだ精霊の儀を済ませていないのですか?魔力が流れていないようですが。」


 精霊の儀、、?何だいそれは。魔力が流れてないって。そしてお披露目って何でしょうか、嫌ですよ私人前に出るの。


「テオを試したときに水晶が壊されてしまってな。ソフィアの血を継いでいるからか、魔力に水晶が耐えられなかったんだ。だからティアの水晶は王都から別に取り寄せてある。」


 父はそう言って困ったように眉をひそめた。兄はこれを壊したのか、にしたってどうやって。そんなに乱暴な儀式なの?壊した方が怪我しそうなくらい大きいけど。


「この水晶は、この街で採掘された一番大きなものです。風の上位精霊シルフィの加護を受けておりますので、壊れる事は無いと思うのですが、、。」


 この街の名前は()()()()()()()だ。加護をもたらしてくれた精霊の名前を取って街の名前を付けたのか。


「テオの時は、王の謁見と一緒に精霊の儀式を済ましているんだ。ティアもそれに倣わせようと思ってる。これは、街一番の魔法使いの卵に使ってくれ。」


「お父さま、私はお店の商品を壊すようなことはしません。」


 このままではまるで私が破壊神かのように扱われてしまう。使うにしても使わないにしても、買ってもいないお店の商品を壊したりはしません。


「レオナルドさん、お嬢様も大丈夫と言ってる事ですしどうでしょう。お嬢様が我が店で精霊の儀式をしたとなれば、物凄い名誉なことです。」


 ん?私は儀式云々じゃなくて壊す壊さないの話をしていたはずですが……。


「うわぁ!」


 成り行きを見守っていると、突然背中に風を受けて水晶に向かって倒れこむ。


「ティア!」


 触れた瞬間、とんでもない光があたり一面を包み込む。瞳を劈くような光が赤、青、黄と色彩を変えながら照らし続けた。

 一体どれほどの時間が経っただろうか、私は感じたことのある違和感を覚えていた。


------------- 


(ようこそ、私の世界へ。リャナンシー。)


 ここは、ティターニアさんの所に似てるんだ。でも真っ白な空間、何もない。


(そりゃあティターニア様と同じことは出来ないよ。私たちとは、力の質から別次元だからね。)


 貴女話せるの?


(話せるわ。このシルフィセレフを護る精霊よ。)


 という事は、貴女は風の精霊さんなの?


(その通り、私は風の精霊シルフィ、そしてレオは私の加護人(かごびと)よ。私がレオに力を貸しているの。あの人、とってもチャーミングでしょ?)


 この人は、父に力を貸してるのか。そういえばテオが言っていた、お父さんは風の精霊に愛されている素晴らしい魔法使いだって。


 ここは何処なんですか?


(ここは私の意識の中、レオの子供に会ってみたかったから呼んでみたの。)


 あの水晶は確かシルフィさんの加護があるんだっけ、だからこの空間に呼ぶための触媒になったという事か。


 私は元の世界でどうなっているんですか?


(意識だけこっちに持ってくることはハイリスクだから、体ごと転送したの。だからあっちには何も残ってないわよ。)


 神隠しみたいになってませんかそれ、絶対父が心配してますよね?


(だって貴女に会いたかったんだもん、それに伝えて欲しい事があって呼んだの。私と貴女の魔力が籠った水晶は、とんでもない魔石になってるだろうけど心配はいらないってレオに。私の名前を出せば信用してくれるはずだから。)


 まぁ私も初めて精霊さんに会えたので嬉しいです。でも父が心配していると思うので、早めに帰して貰えますか?


(私も貴女に会えて嬉しいわ。今日は挨拶と、精霊の儀式だけにして帰してあげましょうか。) 


 ……精霊の儀式?それってシルフィさんとやるんですか?


(本来は親子で神殿、もしくは神官が居る場所でやるものよ。でも、水晶に触れて私の魔力を感じたティアなら、もう魔法が使えて、妖精や精霊が見えるはずよ。精霊の儀式って、要は体に流れる魔力を感じれるようにする物だから。)


 体に何か巡る感覚……あれが魔力なのだろう。魔法が使えるならオッケーです。


(それじゃあまたね、ティア。今度はあっちの世界で会おうね!)


-------------


 気が付くと私は水晶の前に立っていた、戻って来たんだ。


「ティア、何処から!」


 水晶の前で驚きに顔を染めた父が立ってる。どれぐらい時間が経ってしまったのだろうか。

きょろきょろしていると頭の上に父の拳骨が降ってきた。


「い、痛い!!」


「勝手に触ったりしたら駄目だろう!今までどこにいたんだ……。」


 全力のほぼ出されていない拳骨でも、幼女の頭には響く。

 父の話を聞くと、物凄い光が水晶から放たれた後、視界が戻ったころには私の姿が無かったらしい。

 そして約20分、父は危険物かもしれない謎の光を放った水晶から離れることが出来ず、近所の人が付近を探し回った。

 再度水晶が光を放ち収まった頃、私が水晶の前に現れたんだそうだ。


「精霊さんとお話ししてきました。シルフィさんって風の精霊さん。お父さまに、水晶の事は心配するなって伝えてって。」


「シルフィに会ったのか?それで水晶が心配要らないって?そうとは思えないな、とんでもない事になっているんだから。」


 父の背中に隠れる水晶を覗くと、透明だった水晶は黄緑へ変色していた。


「風の魔力と、私の魔力が混ざったってシルフィさんが言ってました。」


 そう言うと父はため息をついた。なにか失言しただろうか。


「ティア、シルフィから何を吹き込まれたかわからないが、水晶に色が付いたものは魔石と言って、持つ者の魔力を底上げする。

 水晶も魔石も、作れるのは膨大な魔力を持つ精霊だけ、しかも二属性混合の魔石なんてSランクの貴重なものだ。こんなバカでかい魔石を作ってどうする……。」


 エー、ダッテソンナノキイテナイ。ヨクワカンナイ。セツメイブソク。セイレイカタコト。


「詳しい事は……何も聞いてないです。」


 父はいよいよ頭を抱え始めた。そりゃそうだ、水晶の大きさは高さだけでも私の身長ほどあるのだ。貴重な物らしいし、置いておくわけにはいかないのだろう。


「マスターすまない。この水晶……魔石は買い取らせてもらう。後で見積もりを家に送ってくれ。市場に出していい大きさのを悠々と超えてる。発生の過程を見ても、一度上に報告しなければならないだろう。」

 

「わかりました。ここに置いては目立ちますので、とりあえず店の中へ。」


 決まれば行動は早い、父が移動させてくれるようだ。


「おい、シルフィ見てるんだろう力を貸してくれ、このデカ物を移動させる。」


「精霊よ我の意志に応えよ」


 水晶の周りに風が吹き始める。その風は水晶をゆっくりと持ち上げ、その場に浮かびあげた。これだけの重さを持ち上げてるとは思えないほど優しい風だ。


「案内してくれ、俺がそこまで運ぼう。ティア、大人しくそこに居てくれよ。」


 すっかり私は問題児扱いだ。私が悪いの?え?知らないことは防ぎようがないですよね?

ローレンスって誰?という疑問ですよね。

近々わかる予定です。


誤字などありましたらご指摘をお願いします。

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