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魔女の憂鬱

作者: 流鏑馬嵐


だいたいが。

理不尽なことしかない世の中なのが悪いんだ。


私はただ、ボロボロな行き倒れの男の懐を探って、金目のものがないか確認したかっただけだ。

あればあったで頂いて有効活用。なければないで手間掛けやがってと心の中でケチをつけて去るだけだ。


なのに。


急に動き出してあの男。

力いっぱい掴みやがって。

この痣が見えるだろう??

あんな元気があるなら紛らわしく倒れてるんじゃないよ。

人殺しみたいな目をして睨みつけやがって。

私の方が睨みつけたいぐらいだ。

あん??

あー。金目のものなんかみつかりゃしなかったよ。痣だけこさえさせられて、睨んだと思ったらさっさと立ち上がってどっか行っちまったよ。

いい迷惑だよ。

お兄さんよ、私が可哀想だろう??だったらちょっとぐらい恵んでおくれよ!!!!


わぁあ!!!

景気のいいお兄さん、大好きだよ!!!

そうそう、あのわけわかんないボロボロの男はあっちの大通りの方へ行ったみたいだよ。


ありがとうね!!お兄さん!!!!!











これで良かったのかい???

礼には及ばないさ。あんたからもあのお兄さんからも恵んで貰えたんでね。

これで当分凌いでいけるさね。


さぁ、あんたも変な奴に見つかる前にどっか行っちまいな。

また何か聞かれたら私もボロが出かねないからねぇ。



ん?

なんだい???

魔女???

また古めかしい呼び方だねぇ。

久しぶりに聞いたよ。

この街の魔女はもう何年も前に火炙りにあって死んだよ。

私も見に行ったからね。人が焼ける匂いは未だに忘れられないよ。



で、あんたは魔女を探して回ってるのかい???

無駄な事はおよしよ、なんて言ったってあんたは探し回るんだ。


そうだねぇ、、、、。


本当か嘘か分かんないけど、私が子供の時婆さんから聞いた話さ。

西のアイギス山の麓の森に何百年も生き続ける魔女が住んでるって話さ。

誰も本当に住んでるか知らない。知りたがった奴らは誰一人帰ってこなかったってね。



あんたならもしかしたら会えるかもしれないね。



おっと、こりゃまたいい宝石だね。

遠慮なく貰っとくよ。



魔女に会えることを祈ってるよ。












ふぅ。

まだ魔女を探す奴がいるとはねぇ。

ヒヒヒ。

自分の欲しい答えの為に難儀なもんだ。

この街も潮時かもしれないねぇ。



次は王のお膝元でのんびり道具屋でもやろうかね。



魔女なんて探すだけ無駄なのさ。

だって魔女は直ぐ近くに居るんだからね。

探す奴には見つけられない。探さない奴の隣にいる。

それが魔女ってもんさ。




儲けた儲けた。


ヒヒヒヒヒ。





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