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しまんちゅ・すろーらいふ   作者: げんごろう
4/4

距離感

第4話になります


今回、絵師様に枢を描いてもらいました!



枢が海デビュー(?)を果たした次の日の土曜日


「くーるるちゃん♪あーそーぼぉ♪」


という最夏の声が、長谷川家に響いた

小さい頃によく聞いた言葉だが、SNSが普及された現代で、この台詞をいう人間はどれくらいいるのだろうか


「あれぇ?いないのかなぁ?」


しかしその声に反応はなかった

最夏は首を傾げ、インターフォンのボタンを押すが誰も出てこない

しばらく考えた最夏はある結論を出す


「ま、まさか・・・枢ちゃん、引っ越しちゃったのかなぁ・・・?」


「どーしてそーなるのよ」


最夏があらぬことを呟いた瞬間、枢が玄関から顔を出した

普通に出かけている等の答えにはならないのだろうか?


「あ、枢ちゃん!だってぇ、鍵閉まってたからぁ・・・」


「そりゃ鍵くらい閉めるわよ。当たり前でしょ」


鍵が閉まっているイコール引っ越しとは、どのような思考回路を持っていればその答えになるのだろうか

また妙な田舎ルールだろうかと考えていると


「そうなのぉ?うちは家族旅行に行く時ぐらいしか、鍵かけないからなぁ」


やはりそうらしい

泥棒に入ってこられたら、どうするつもりなのだろうか

もしかしたら平和ボケしたこの島では、そのような行為をする輩はいないのかもしれない


「んで、今日はどーしたのよ。約束はしてなかったでしょ?」


「枢ちゃん、LINEも返事してくれないし、電話も出てくれないから来たんだよぉ?」


「昨日のアレで、スマホが水没したのよ。てゆーかあんたも見てたでしょ?」


この女め、スマホが使えないことの嫌味を言いに来たのか!と一瞬考えたが、そんなことをする奴ではない事を知っている

最夏はどこまでいっても天然なのだ

いちいち勘繰るだけ無駄である


「あ、ごめんねぇ?だから電源が入っていませんって言ってたんだねぇ」


「それで思い出しなさいよ。とりあえず、今から修理に行くから、用事はまた今度ね」


枢としては、一刻も早く携帯を修理したい所だ

その上、父親が用事で出かけているためバスでの移動になるが、1度乗り遅れると次のバスは3時間後にしかこないのだ

これに遅れるわけには行かない

これ以上、ネットのない生活は耐えられない!


「それならちょうどよかったぁ。あのねぇ、こう兄ちゃんの車に乗せてってもらって、お買い物でもどうかなぁって」


「え、あいつの?」


こう兄ちゃんとは、あの赤尾弘大のことだ

最夏達の幼馴染とあれば、いつかまた会うこともあるのだろう、と考えていたが

まさか、こんなに早くその機会が訪れるとは思っていなかった

昨日のことを考えれば若干気まずいのだが、車を持っているとなると、話が変わってくる

近くに店舗などないこの集落では車を使わないと、ろくに買い物もできないのだ


「こう兄ちゃんは、ものすごく優しいんだぁ〜」


いつものゆるい笑顔で、最夏は枢に言った

出会った時もそうだったが、他人に対する距離感というものが異様に近い気がする

これも、田舎に住む人間特有のものだろうか


「わかったわよ。とりあえず上がって?着替えてくるから」


あまり気は進まないが、なにかと多忙な父親以外の移動手段が手に入るかも知れない

と、枢は利益を優先することにした

別に、あの男と仲良くしたいわけじゃないんだからね?

これはツンデレなどではなく、本心である


ーーーーー


「よし、準備はできたわね」


自分の部屋で着替え終わり、寝巻きから大きめのシャツと短パンという服装になる

少し時間がかかってしまっただろうか

最夏が待っているであろう、リビングの扉を開け


「待たせたわね。行きま・・・」


途中で言葉が詰まった


「お、昨日ぶりだな。えーと・・そうだ長谷川!」


弘大がソファーで寛いでいたのだ

自分で買って来たのであろう、ブラックの缶コーヒーをすすりながら


「どっ・・・!!どっから入った!?!?」


「ふつーに玄関ですけど!?!?」


なぜこの男は、他人の家にふつーに上がり込んでいるのだ!?

そしてなぜ、普通に寛いでいる?まるで自分の家のように!?


「そもそもなんで私の家を知って・・・まさかストーカー!?」


「今度はストーカーかよ!最夏に教えてもらっただけだって!」


そういえば、どのようにして弘大と合流するかを最夏に聞いていなかった

だが、まさか家に呼ばれるとは

ことごとく予想できない島人ムーブである


「枢ちゃん、おトイレかりたねぇ・・・ってあれぇ?2人ともまたケンカしてるのぉ?」


「あっ!最夏!」


と、最夏が背後から声をかけて来た


「なんであいつ家に入れちゃったの!?」


100歩譲って、家の場所を教えたのは許すとしよう

だが、勝手に入られるのは話が別だ

世の中には常識というものがある!


「あれ?ダメだったかなぁ???」


どうやら枢の常識は、やはり通用しないらしい

これから私のプライバシーは、どうなってしまうのだろう・・・と、激しく不安感に駆られる枢であった


「あー・・・なんか悪いことしたな。今度から気をつけるわ」


「はぁ・・・もういいわよ。早くこういうことにも慣れないと、ここで生きていける気がしないわ」


1カ月程度経っても、驚きの毎日である

完全に最夏に振り回されている気がするが、本人に全く悪気がないのがタチが悪い


「なはは、まぁぼちぼち慣れればいいさ。そんじゃ、ケータイの修理だったな。行くとするか」


「あ、こう兄ちゃん、お買い物もねぇ」


こっちの気もしらないで、勝手な2人である

どうにか自分を納得させ、ついて行く枢であった






最後まで読んでいただきありがとうございます


感想、ご指摘など貰えると嬉しいです


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