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ヴァンパイア ラプソディ  作者: ムラサカ
42/50

42 町中に潜む罠

「有り得ないくらいマズいんだ」

「え?」


 俺の発言があまりにも想定外だったのだろうか、クーリエは首を上げてこちらを向いた。

 そして俺が冗談で言っている訳ではないと気付くとまるで伝染するかのように彼女まで顔色が険しくなっていく。


 ふと反対側に目を移した。

 あの壮絶なマズさを身をもって体感しているルシオンまでもが今にも泣きそうな顔色を呈している。


 目映いまでにキラキラと輝く海へと続く坂道。

 アゼルネアから三日三晩掛けて辿り着いたこの景色は本来であればこの上ない高揚感に包まれてもおかしくはないのだが、俺達はどんよりとした面持ちで足を引き摺るように下っていた。


「あっ、あの、申し訳ございません。なっ、何が不味いのか不明瞭でして……、その……」


 あの味を思い出した俺とルシオンの目が虚ろになっているのを気に掛けてか、普段自発的に言葉を発さないクーリエが会話を繋いできた。

 ウム、やればできるではないか!


 その薄っすら感じさせる前向きさに感動を覚え、俺は何が超絶クソマズいのかを事細かに伝えることにした。


「近寄ると変な臭いがするから絶対に分かるんだけど、あの西門を進んだ所にとある饅頭屋があるんだ」

「あ、はい」


 俺の目に生気が戻ったのが嬉しいのかクーリエは合いの手を入れながら手を握ってきた。

 この流れだと門まで俺の右手はロックされそうである。

 まあ別にいいけど。


「でな、そこの饅頭がのたうち回るくらいにマッズい! んだわ。あれ食ってショック死した奴とかいるんじゃねえのかな、マジで」

「そ、そこまでですか……」


 個人的には嘘偽りない評価なのだがクーリエが若干引いているような……。

 まあ実際食えば納得するんだけどな。


「何かこう海辺の町ってのを履き違えて推してるみたいで皮の中にニュルニュルした海藻が入っててさ、それが鼻がもげるくらいに生臭いのよ」

「……」

「しかもな、それだけでも十分ヤバいのに餡が喉が焼け爛れるくらいに甘ったるくて食うと自然と涙が出てくるんだわ」

「……」


 嗚呼、クーリエさんが黙ってしまった。

 折角頑張って話を繋いでくれたのに……。


 仕方無いので強制的に口を開かせようそうしよう。


「ん、どうした? そんなに真剣に聞き入って。もしかしてお前もあの饅頭食べてみたいのか? スゲェな、勇者の素質あるんじゃねえの?」

「いっ、いえ、決してそのようなことは」

「遠慮する必要は無いぞ、勇者クーリエよ」

「あわわわわ……」


 当然の如く否定的だったので背中をポンと叩いてチャレンジを促すと想定通りテンパりだすクーリエ。


「まあ確かに1人じゃ食べづらいだろうからな。おいルシオン」

「やだっ!!」

「あ? まだ何も言ってねえだろが」

「そんなの言われなくても分かるよぉ」


 なんてこった、エルバード家に寄生する堕天使の分際で反抗してきやがるとは……。


「それにくーちゃんだって一緒に食べるなら私よりもにーさんの方がいいって言うんだから。ねー、くーちゃん」

「えっ!? あっ、あの……、その……、はうー」


 ルシオンが己の難を逃れるべくとんでもねえ提案を繰り出してきた。

 でもってクーリエのこのどっちつかずな反応。

 分かる、これは否定のリアクションではない。

 現に俺の右手を握る力があからさまに強くなっている。


「あーん、にーさんの目つきが恐いよぉ」

「ああ、ちょっと日差しが眩しくてな。能天気に照らしつける太陽がまるでお前みたいでイラっとしたけど気にすんなや」


 ったく、下僕の態度が反抗的過ぎて思わずガン見しちまうわ。


「私がお日様みたいに眩しいならそんなにこっち見なくてもいいのに……」

「何か言ったか?」

「ううん、何でもないよー」


 ルシオンがあせあせと平常を装う。

 それより今ケアすべきはこっちじゃなかったわ。


「なあクーリエ、半生ヌメヌメ海藻饅頭は興味あるか?」

「いっ、いえ、私は結構ですので……」


 クーリエは首を横にふりふりしながら割とガチ目に拒否してきた。

 味の説明だけで黙るだけあって多分本当に嫌なのだろう。


「そっか、クーリエが嫌って言うんじゃ残念だけど寄るのは止めておくか」

「うわっ、ずるっ」

「何か言ったか?」

「ううん、何でもないよー」


 この野郎、さっきからやけに突っ掛かるじゃねえか。


 とはいえ何時ものことだ。

 こいつ、1人じゃ絶対にイセリアとアゼルネアから出ないくせにこうして連れ出すと直ぐに浮かれるんだよな。

 まあセシルみたいに勝手に走り出さないから扱いは楽なんだけど。


 何だかんだで楽観的な表情を崩さないルシオンを左に、俺と手を繋いで翼をゆらゆらと揺らすクーリエを右に。

 陣形を立て直すと俺達はユスアの西門を目指して再び歩き出した。


 …


 坂を下りきっていよいよユスアの町へと通ずる門が近付いてきた。

 やはりここら辺も凶悪な魔物とは縁が無いようで随分と簡素な構えで旅人を迎え入れてくれる。

 坂の途中に幾つもの避難小屋を見掛ける辺り、魔物より高波の方が遥かに警戒されているに違い無さそうだ。


「なあ、あいつら今頃どんな顔してるかな」

「あははー、どーだろうねー。しーちゃん何でも食べるからもしかしたらおかわりしちゃってるかも」


 ルシオンが笑いながら悪びれも無く毒を吐く。

 堕天使の名は飾りじゃないってか。


 だがこんなことを平然と口走るのにこいつはいじめや復讐といった陰湿な行為を極端に嫌う。

 だから今朝、気軽に町で買い食いでもできるようにと皆に小遣いを渡す前にルシオンには手を打っておいたのだ。


『あいつらがあのヤバい饅頭を口にするように仕向けるのはちょっとした意地悪ではなく冒険者の証を得る為に避けられない試練』


 ルシオンにはこのように伝えておくことでこいつがあの2人に『あそこの饅頭屋は止めておけ』といった発言をしでかすのを未然に防いでおいた訳である。

 結果、鵜吞みにしたルシオンはこうして俺と一緒にほくそ笑んでいるのだが。


 うーん流石はお人好しの殿堂入り堕天使、チョロすぎて欠伸が出るわ。


「何かにーさん、私のことバカにしてるような……」

「お前は何でこんな所まで来て被害妄想に駆られてんだよ。ほら、それよりさっさとあいつらの顔でも拝みに行くぞ」


 ったく、相変わらず的確に人の心読みやがって。

 繊細なのか無神経なのかどっちかにしてほしいものだ。



 さて、そうこうしているうちに無事ユスア西門に辿り着いた。

 馬車を2両並べた程度の間隔を空けて立てられた石柱に木の板が渡されただけのお世辞にも立派とは言い難い門。

 だが一歩入れば通りには商店が立ち並び、イセリア程ではないがそれなりに熱気に溢れている。


 と、その前に……。

 俺は門の脇に建てられた小屋に目を向けた。

 中には軽装なオッチャンが1人。

 恐らく町人が回り番で見張りについているのだろう。


 ユスアも別段入場審査がある都市ではない。

 取り敢えずパーティーメンバーの誰かがギルド登録者証を見せればそれで済む感じである。

 ただそれはあくまで冒険者目線での話。


 俺、というかウチがイセリアで道具屋を営む手前、こういう場面では些細な行動が否応なしに求められる。

 と言ったら大袈裟かもしれないが、思惑が全く無いと言ったら噓になるので俺はいつも通り小屋のオヤジに挨拶に向かった。


「こんにちは」


 飾らず驕らず、あくまで普段通りな感じで爽やかに声を掛ける。

 変に偉そうにするとすぐに悪く言い触らされるからな。


 チラリ。


 俺の声に反応して小屋のオヤジがこちらに気付いたっぽい。


 チラリ。


 オヤジは一瞬俺を見た後すぐさまルシオンに目を向けた。


「ああこんにちは。確かエルバードさんのトコの……」

「はい、息子のサムと申します」


 はっきり言ってルシオンは有名人だ。

 やはりイセリアギルド初代Xランクの名は伊達ではないようである。

 多分イシャンテで暮らしてる奴等全員が知ってるんじゃないかと個人的には感じているが真相は知らんしそもそもそこまで興味が無い。


 てな訳でこいつを従えているだけでこちらから名乗らずともエルバード家の回し者と認識させられるのだが、それが良いか悪いかは今考えることでもないので横に置いておくとしよう。


「ところで少し前に2人駆け込んできませんでしたか? 僕の仲間なのですが」

「えっ、そうかい?」


 おいオヤジ、ボーっとしてないでちゃんと見張りしろ!

 と心の中で叫ぶ。

 決して顔には出さない。


「ええ。でしたら多分まっすぐ行ったと思うのでこちらで探しますね。それよりこれ、少額ですが」


 俺はそう言いながら金貨を1枚取り出してカウンターの上に置いた。

 勿論金貨なので1枚だろうが決して少額ではない。


「この前もジルさんから頂いたんだけど、何か来る度来る度入れてもらっちゃって悪いね」

「そんなことないですよ」

「そうかい? では町の為に有難く使わせてもらうとするよ。有難う」


 門番のオヤジは感謝の言葉を述べ金貨を受け取ると台帳にエルバードの名を書き足した。

 入場料の要らないユスアであるが支払うことはできる。

 そしてしっかりと記録される。

 これが大事。


 俺は一連の流れを見届けると軽く会釈をして町へ入場した。


「にーさんって裏表凄いよね……」

「うるせえな。だったらお前にもそうしてやるよ。おや、ルシオンさんこんにちは。海水の飲み過ぎに注意して下さいね。ではさようなら」

「あーん、にーさんの意地悪ぅ」


 スタスタとその場から離れる俺をルシオンとクーリエが追いかけてくる。


「ほれ、お前のせいでクーリエにも迷惑が掛かってるだろが」

「くーちゃん、にーさんがおかしな人でごめんね」

「えっ!? あっ、いっ、いえ……」


 いきなり返答に困る謝罪をくらってクーリエがあたふたする。


「この野郎、ひと言多いんだよ……」


 俺はルシオンの反抗的態度に苦言を呈しながらユスアの通りを東へと進んだ。


 …


「さて、あそこだ。分かるなルシオン」

「うん……」


 俺は次の十字路を指さすとルシオンは唇をキュッと閉じて不安を滲ませた返事をした。

 そう、例のヤバい方の饅頭屋だ。


 近付くだけでテンションが下がってきた。

 迂回はしたくないから何も考えずにさっさと通り過ぎたい。


「クーリエ」

「はっ、はい……」

「そこの十字路の角にさっき言った饅頭屋があるんだけどな、俺とルシオンは下向いてサッと通り過ぎるからお前もなるべく足早に離れた方がいいと思うぞ」

「その……、それはサム様の横に付いていればよろしいということでしょうか?」

「そうだな、それがいちばん無難かもな」


 そう伝えると彼女はスッと俺の右に立ち手を繋いできた。

 その間にルシオンが俺の左に立つ。

 でもってこいつも手を握ってきた。


「ルシオン、何があっても絶対に笑うなよ。ニヤつくのも禁止な」

「う、うん、分かったよにーさん……」


 ルシオンは目を丸く開いて俺の顔を覗き込むとゴクリと唾を飲み込んだ。

 分かってる、俺もルシオンもあの味は忘れないし、あれを初めて口にした者がどんな表情を見せるのかも想像ができている。

 だからこそ知る側として改めて気を引き締めるのだ。


「よし、行くぞ」


 言葉の力強さの割には控えめな声量で俺達は足を踏み出した。


 …


 見えてきた。

 こちとらフォーメーションは既に整っている。


 俺が中央。

 左にルシオン、右にクーリエ。


 遂行すべきミッションは唯一つ。

 脇目も振らずあの十字路を過ぎ去るべし。


 スタスタスタスタスタスタスタスタ――


 速度を上げて俺達は十字路へと向かう。


 交差点の角にある饅頭屋から漂う臭いは潮風のようでそれでいて明らかに異なる。

 この何とも言えない異質さが冒険者のチャレンジ精神を無駄に搔き立てるのだろう。

 実際俺も初めて訪れた時はそんなノリだった。

 

 だからこそ興味本位で何にでも飛びつきそうなあの2人が捕まらない訳がない。

 俺の中の確信めいた何かがそう叫ぶ。


 正面を東向きに構えた饅頭屋は西門からやってきた冒険者が十字路に足を踏み入れたタイミングで牙を剥く。

 店先で蒸されているぱっと見普通の饅頭とそこから発される尋常ではない生臭さのギャップが好奇心に深く突き刺さる。


 チラ。


「ブフォッ!!」


 頭では解っていた。

 決して見てはいけないと。

 だがこの鼻を貫く異臭が再び俺に好奇心を与えてしまった。


 脇見の先には口を半開きにして顔面が土色になった例の2人。

 とてもじゃないが幼い子供には決して見せてはならない生気が抜けきった面構えである。


「ごほごほっ」


 突然ルシオンが不自然な咳払いをした。

 間違いなく笑いを誤魔化す為の仕草だろう。

 完全にプロの犯行だ。


「あーっ!! アイツ今こっち見て笑った!!」

「ムムッ!! やはりお主も彼奴が笑ったように見えたか!」


 ルシオンに感心していると突然怒声が飛び込んできた。

 クソッ、まだ生きていやがったか!


 巻き込まれるのはゴメンだ。

 その一心で足早にその場から過ぎ去る。

 と、それができれば何も苦労しない訳で瞬間移動してきたかのような速さでセシルとスカーレットが俺の前に立ちはだかった。


「アンタこれ知ってたでしょ!」


 セシルは歯形がくっきり残った饅頭を俺に見せつけてきた。

 灰色の皮とそれに包まれた妙に艶やかなどす黒い餡からほわほわと生臭い湯気が漂ってくる。

 はっきり言って臭い。


「さあ」


 だが平然と白を切る俺の返事に対してルシオンが驚いたような表情を見せた。


「何じゃあ? お主は知らなくともルシオンは何か知っておるようじゃのう」


 スカーレットはニヤリと笑みを浮かべながら俺からルシオンへと視線を移した。

 口元は笑っているが瞳の鋭さから魔王としての本性が垣間見えるようだ。


「うん。それね、食べたら後悔するよって教えてあげようと思ってたんだけどにーさんが冒険者の証を貰うための試練だーって言うから……」

「ほう、となると今朝買い食い用に渡された銭もこの為の仕込みと見てよさそうじゃな?」

「えーーっ!? もしかしてにーさん最初からこの為にお金渡してたの?」


 クソッ、ここに来てスカーレットの推測力が活かされやがる。

 ったく、ルシオンが気付くじゃねえかよ。


 やはり敵に回すと厄介極まりないわ。


「でもアンタだって冒険者の証持ってないんじゃないの?」

「あ? そんなの関係ねえだろ」

「あるに決まってるでしょ! 持ってないならあたし達と一緒に試練を受けなさいよ!!」


 突然目の前に立ちはだかる怒り心頭のダークエルフが凄まじい剣幕でイチャモンをつけてきた。


「あがっ!!」


 俺の発言を待たずに左手で口をこじ開けてくる。

 右手には食べかけの饅頭。


「バカッ! やめろっ!」


 咄嗟に手で振り払おうとしたが感覚が無く力が入らない。


 やられた!

 コイツ何時の間にか胡散臭い拷問魔法使いやがったな!


 ガボッ!!


 フルオープンな俺の口にセシルが持っているひと口齧っただけのニュルニュル饅頭が容赦無く捩じ込まれる。


「あ゙あ゙ーーーーー」


 イカン、あまりの臭さに意識が飛びそうになったわ……。


「ルシオンよ、サムが何やら興奮しておるが長い付き合いのお主ならば理由が解るのではないか?」

「あ、うん。にーさん、お饅頭がとっても美味しいからすーちゃんの持ってる分も欲しいって言ってるよー」

「ぁあ゙っ!?!?」

「おう、そうであったか! やはり旧知の仲ならではの疎通であるな」


 スカーレットは饅頭に視線を落とすと更に言葉を続ける。


「一期一会の饅頭と別れるのはちと寂しいが、我らがリーダーがそこまで熱望するのであれば仕方あるまい。それに応ずるは従う者の務めよ」

「バッ!!」


 ガボッ!!


 首を左右に振るも虚しくスカーレットが持っているひと口齧っただけのニュルニュル饅頭が容赦無く捩じ込まれる。


「あ゙あ゙ーーーーー」


 これはヤバい。

 想定を凌駕する臭さに眩暈を覚える。


「うぶっ……」


 俺は意識が飛びそうになる中、拷問魔法が解除されているのを感じ取ると、咄嗟に道具袋に手を突っ込んでマジックポーションを取り出した。

 そして力任せに封を解いて勢いよく口の中に流し込む。

 魔術師用とか知ったこっちゃないわ。


 ガバガバ。


 なんてこった、レモミキャンの爽やかな芳香が俺の穢れた口内を即座に蘇らせてくれる。

 ついでにポーションの魔力成分が饅頭を浄化してくれたのだろうか、兎にも角にも一命を取り留めたことは間違い無い。

 ああ助かった……。


「ちょっと、何アンタ1人だけスッキリしてんのよ! あたしにもそれ寄越しなさいよ!」

「……」


 いつもならば言われればホレと投げ渡すのだが何か忌々しいので無視してみる。


「ねえまおー、あのお饅頭買えるだけ買ってくるからサムが逃げないように見張ってて」

「任せるのじゃ」

「だーーっ!! 分かったから買いに行くな!」


 俺はセシルを呼び止めてポーションをペッと投げ渡した。


「サムよ、妾にも寄越すのじゃ」


 実は臭いのを我慢していたのだろうか、普段はポーションに全く見向きもしないスカーレットまでもが望んできた。


「お前もかよ」


 小さく彼女にひと言告げ、俺はポーションを渡した。


 たったひと口で饅頭の持つポテンシャルを存分に味わわされた2人がポーションを口にしてようやく安堵の表情を見せる。

 もしかしたらあの饅頭屋の近くでこのマジックポーション売ったら爆売れするんじゃないのか!?


 んまあそんなことはどうでもいいや。


「おいルシオン」

「にーさんなぁに?」

「話がある」

「えっ、何の話?」

「説教」

「えーーーっ!? 私叱られることなんかしてないよぉ……」

「うるせえ! 無意識にやってんなら尚更質が悪いわ!」


 ったくタダ飯食らいのくせに隙あらば飼い主に楯突きやがって。


 俺はルシオンの手首をがっちり掴むとネチネチと罵声を浴びせながら駅へと向かった。

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