7話。黄巾の乱④
作者の考察と言うか、妄想垂れ流しですが、耐えれられる事が出来る方のみ閲覧よろしくお願いします。
洛陽 大将軍府。
「まず董閣下には河東にて待機をお願い致します」
「……河東ですか?」
賊との戦で失態を犯した俺がお役御免になると言うのは分かるが、何故河東?
「えぇ、どうも羌の方々が今回の乱に乗じて何やらしでかしそうな感じでしてね。さらに彼らを宦官の殺害に利用しようとしている者が居るようなのです」
「あぁ、なるほど」
俺が不思議そうな顔をしたのを読み取ったのだろう、李儒は本来なら機密に当たるであろう内容を開示してきた。
まぁ任地に赴けば自然とわかることなので隠す必要が無いとも言えるが「とにかく行け!」と上から目線で言われるよりは、よっぽどマシな態度なのは確かである。
それに羌が動くか。確かにそれは有り得ることよ。他の異民族もそうだが、連中は基本的に我慢と言うものが出来んし、羌も匈奴も鮮卑も烏桓も檀石槐の死によって後継者争いが勃発していると聞く。
連中としてはここで漢と戦うことで氏族の名を上げて、檀石槐の後継者を名乗ろうとしているのだろうよ。
それに便乗して動く奴もいると言うわけか。
……と言うか韓遂だな。涼州軍閥は洛陽の名家も宦官も嫌いだが、わざわざ羌を使ってまで宦官を殺そうとするのは奴くらいだ。
方法としては直接羌に殺らせるか?いや、流石に洛陽まで攻め込めると考えてはおらんだろうから、羌の存在を利用して洛陽に軍勢を集める口実とし、洛陽内部に居る軍部の誰かに殺らせると言ったところか?
しかし何進にとって宦官は敵でも有るが妹の後ろ楯のようなモノでもある。その為、多少数を減らして調節することは有っても、全滅は望んでおらんだろうから軍は動かさんだろうな。
「お分かり頂けたようで何よりです。異民族である羌の連中はともかく、涼州の軍閥が勝手気ままに動くようでは困りますからね。こちらからはおそらく皇甫嵩将軍を差し向けることになるでしょう。よって最初は董閣下には皇甫嵩殿の補佐をして頂く形となるかと思われます」
「……皇甫嵩殿が?」
涼州軍閥については確かに伝手がある俺を使うのが手っ取り早いだろうさ。しかし皇甫嵩だと?
俺の後任として広宗の黄巾賊を相手にしているはずだが、連中はそうそう簡単には落ちんぞ?それなのに次の任地を決めるというのは些か気が早いと思うのだが……何か掴んでいるのか?
「えぇ。広宗に居る黄巾の討伐は今月中には終えるでしょう。その後、こちらで戦後処理を終えたら涼州に向かって貰うことになるかと」
「は?」
今こやつは何と言った?
「もっと細かく言えば涼州遠征は彼が洛陽に凱旋し、全体の論功行賞が終わった後になります。よって出陣は来年の春先になる予定です」
「す、少しお待ちくだされ!今月中に広宗の黄巾が終わるとは?!」
来年の出陣はともかく、あの黄巾どもが今月で終わるとはどういう事だ?!
「あぁ、説明不足でしたな」
失敗失敗と言いながら頭を掻く李儒だが、その目は決して笑ってはいない。まるで董仲穎と言う人間の底を観察しているような怖さがある。しかし董卓とてその程度で怯む男ではない。
さすがに何進に「無礼だな。処刑だ」と言われるのは避けたいと言う思いから反省しているように見せていたが、その心配がないと言うならば必要以上に萎縮する必要もないだろう。
むしろこれから涼州軍閥の相手をさせるために己を河東に向かわせると言うならば、洛陽に居るうちに将としての器量を見せるべきだと考え……董卓は自らが被っていた羊の皮を放り投げた。
「……ほう」
そんな決意をした董卓に何を見たか、何進が横合いから感嘆したような声を上げる。だが董卓にしてみれば今重要なのは李儒。彼の観察するような目から決して目を逸らさず、己の存在を見せつける。
「結構。では説明させていただきましょう」
そしてそれを見た李儒も、観察は十分と見たか目を伏せて拱手を行い言葉を続ける。
「よろしくお願い致す」
自分が彼の目に適ったことを確認した董卓もまた、撒き散らしていた威を抑えて拱手で答える。
個人の官位で見れば董卓が上であるが、この場に置いては何進と言う後ろ楯がある李儒を立てる必要があると理解している為だ。
垣間見せた荒れ狂う程の野生と、それを完全に押さえ込む理性。矛盾する二つを完全に両立させる董卓と言う漢は間違いなく一代の英傑であった。
――――――
「(さすがは董卓)」
一瞬の豹変に何進が驚いたように李儒もまた驚愕していた。
正直今まで何進の前で萎縮していた董卓からは全く想像も出来なかったが、歴史に残る暴君と言うのはこれほどの野生を身の内に秘めて居るのだと再認識させられたからだ。
しかしそんな彼を見て、李儒は恐れ入るどころか「それでこそ」と内心で口元を綻ばせる。
彼が器を見せたのならば次は自分の番だ。己の目的の為にも、彼に「取るに足らない若僧」などという評価をされても困るので、まずは自分を高く評価してもらうように動くつもりだ。(実際はすでに高い評価をもらっているが)
さしあたっては今。
「まず今月中に終わると言う根拠ですが……そもそも今月中に終わらなければ面倒なことになりますので、皇甫嵩将軍は如何なる犠牲を払ってでも黄巾を滅ぼそうとするでしょう」
「面倒なこと?」
「えぇ、具体的には食糧ですね」
「あぁ!」
本気で「今気付いた!」と言わんばかりの表情を見せる董卓。この辺は地方に居た董卓なら分かりそうなモノだが、やはり兵糧には困らない官軍だったり、基本的に奪う側の人間だったから気付かないのかもしれない。
「元々今回の乱は馬元義による朝廷工作が失敗した結果、連中が焦って挙兵したモノです。最初から準備不足でしたので、蓄えに余裕があったわけではないのです」
「……それはそうでしょうな」
「その為、現在の黄巾連中は最後の蓄えを使って何とかやりくりしている状態となります。さらに今は8月。この時期は村や町から奪うにしても、どこも食糧が不足しておりますので略奪だけではどうしても大軍を養うことは出来ません。つまり今の連中は目の前の官軍の他に食糧不足と言う危機に挟まれている状態です」
「なるほど。しかし来月になれば……」
「そうです。彼らが乱の最中に自分たちで食糧を栽培していると言うことはないでしょう。しかし、周辺の村や町から食糧を奪えるようになります。そうなれば彼らはまた息を吹き返すこととなります」
「確かに……」
食糧さえあれば何でも出来る。と言うわけではないが、食糧があれば行動の幅が広がるのも事実である。
また飢えた連中が食糧を求めて村を襲うことになる。
なにせ連中は数十万の民だ。それらがすべて飢えた暴徒となり、四方八方に散らばれば4万の官軍では抑えきれないのは明白。
それは治安維持を目的として動いている官軍としては、面目を潰されることになるだろう。
既に廬植と董卓が失敗している中でそのような失態を演じれば、皇甫嵩がどうなるかなど、火を見るより明らかではないか。
しかし今ならばどうか?連中が全力で出てきても周辺に奪う物は無い。そして食糧を持つのは目の前の官軍のみ。ならば連中が向かう先もまた官軍以外に無いと言うことになる。
結果として周辺の被害は抑えられるし、官軍も逃げる賊を潰すという手間から解放されると言うわけだ。後は食糧を使った罠でも何でも使えば良い。
そしてこれが出来るのは今月だけだと考えれば、皇甫嵩も犠牲を顧みない策を使う可能性は高い。
彼が自軍の損害に対する気遣いを捨てて、なりふり構わずに戦をすれば暴徒に遅れをとることはあるまい。さらに……
「さらに未確認の情報ではありますが、おそらく黄巾の首領である張角は既に死んでおります」
「はぁ?!」
今回の乱において、帝に名指しで討伐対象にされた張角が既に死んでいると言う情報に驚く董卓だが、まぁ当然と言えば当然だろう。
正確にはまだ死んでいないかも知れないが、それだって死んでいるか死の一歩手前かの違いでしか無いと思われる。
いや、奇跡で以て病を治したと言う張角が病に倒れたと言うのならば、普通に死んでいるよりも質が悪いかもしれない。
死因はストレス性のすい炎か胃潰瘍かなんかだと思うが、まぁ動けないなら死んでいると言っても過言では無いよな。
「その根拠としては、董閣下の帰還に合わせて向こうの統率が一時期大きく乱れた時がありまして」
「ほう」
「それに乗じてこちらでも複数の密偵を広宗に入れております。しかしここ半月の間、彼を見た者が居ないのです。さらにこれまで積極的に行ってきた信者の治療も行っていないとか」
「密偵を……」
タイミングは嘘だが、実際に広宗に密偵は放っている。
なにせ俺の記憶では張角は皇甫嵩に負ける前に死んでいたハズだったからな。そのタイミングが分かれば、戦も楽に終わるだろうと考えて調査させていたんだ。そして、その結果がコレだ。
洛陽と向こうのタイムラグはおよそ七日。つまり向こうでは少なくとも一週間は張角の姿は確認されていないと言うことになる。
皇甫嵩にも同じ報告を送っているから、今ごろは周囲に対して「張角死す」と声高に宣言しているだろうさ。
それで出てこなければ死亡確定だ。
出てこないだけで生きていたら?さっきも言ったが姿を見せれない時点で旗印としては死んだも同然。
実際に冀州の黄巾を率いているのは張梁や張宝なんだろうが、奴等は指揮官にすぎん。結局のところ、広宗の黄巾にとっての旗印は張角なんだ。
故に連中に張角の死を突きつけることが出来れば、あとに残るのは旗印であり信仰の対象を失った信者と、反漢(反宦官や名家)の意志を持った知識層に操られるだけの飢えた暴徒の群れに過ぎん。
そんなんが今更何をしたところで準備万端整えた官軍によって蹂躙されて終わるだろうよ。と言うか、蹂躙出来なければ罷免だ。
「このような状況ですので、皇甫嵩将軍の勝ちは揺らぐことは無いでしょう。しかしここで問題が発生します」
「問題?あぁ、南陽ですか」
それもそうだが、やはり董卓は武官だよな。洛陽の澱みを理解できていない。
「いえ、皇甫嵩将軍が手柄を立て過ぎると言うことです」
「は?」
皇甫嵩が手柄を立てて何が悪いというのか?まさか何進が彼の手柄に嫉妬するとでも言うのか?董卓がチラリと何進を見れば、視線を向けられた当人は「俺じゃねぇよ」と苦笑いしている。
「そう、大将軍閣下ではありません。むしろ大将軍閣下にしてみたら軍部の功績は望むところです。今回は閣下に得をされて困る者たちが動くのですよ」
「困る者……名家と宦官ですか?」
今まであえて洛陽の政治に関わらないようにしてきた董卓でも、ここまで言われればその程度は分かる。
「その通りです。元々皇甫嵩将軍は名家閥の中でも清流派(実際は濁流派で無いだけで帝派に近い)に属しておりますが、現在彼の心情は大将軍閣下に近くなっております」
「それは……そうでしょうな」
董卓だってあんな訳のわからん連中と仲良く出来る自信は無い。
そもそも今回の敗因とて、軍事を理解していない名家閥の袁隗が宮中での権力争いの延長で勝手に自分を盧植の後任に押し込んだからだ。
さらに言えば現在軍部に所属する将帥たちから見た場合、宦官や名家の連中は最初に自分たちを引き上げてくれただけの存在でしかない。
無論そのことには多少の感謝の気持ちも有るが、その後の手柄は自力で立てたものである。
それを「あの時に面倒見てやったから今のお前が有る」とずっと言ってきて、自分は何もしていないくせに当然のようにおこぼれを貰おうとするだけの存在に好感を抱くというのは難しい。
そんな連中に関わるくらいなら、今回の戦で一切足を引っ張らず、むしろ積極的に後押しをしてくれた何進に接近したいと思うのは、官軍の将としては当然の考えと言えるだろう。
皇甫嵩の場合は叔父の名が在って帝によって招聘されたのだが、それでも「帝に推挙したのは自分だ」と言って来る連中は後を断たないと言われているので、いい加減疲れたと言う気持ちが強いのかも知れない。
「そうですね。それで、朱儁将軍と共に抜群の武功を挙げた皇甫嵩将軍が大将軍閣下に近付くのを嫌った名家や宦官が、彼に失敗を押し付けるために涼州へ派遣するのです。朱儁将軍を派遣しないのは、名家閥から推された董閣下の後釜が皇甫嵩殿だからと言ったところでしょうか」
「……言葉もありませんな」
実際に現場を知っていれば、今回の件は適材適所と言う人事の基本を理解していない袁隗の自爆なのだが、連中がそれを認めることはない。
結局、皇甫嵩が董卓の尻拭いをした形となるので名家の面目は丸潰れだ。そこで顔を潰した董卓を罰しようにも、本人は既に罷免されて自分達の手が届かない河東に飛ばされている。
ならばその振り上げた拳はどこに下ろすのか?と言えば、手柄を立て過ぎた名家閥にとっての裏切り者(連中は本気でそう思っている)である皇甫嵩となる。
更に帝からの評価が高い皇甫嵩が何進の派閥に入ることを嫌う宦官も、今回は名家と共に彼の足を引っ張ろうとするだろう。
それだけではない。
「では李儒殿は皇甫嵩殿が涼州の乱の平定に失敗すると見ておられるのですかな?」
皇甫嵩の将才を高く評価しているはずの何進や李儒が、今回は名家の狙い通りとなることを疑っていない。これには何か根拠が有るのか?と思い確認してみれば、
「するでしょう?民が賊となっただけの黄巾とは違い、生まれた時から馬と共に在る騎兵を中心とした異民族ですよ?それも戦場は相手に地の利がある涼州です。中央の戦しか知らない官軍が勝てるとでも?」
「あぁ、いや、それは……」
当たり前の事を聞くなと言わんばかりの言葉が返って来る始末である。
確かに何もしなくても皇甫嵩は失敗するだろう。董卓は李儒が断言した言葉の内容に納得しそうになるが、流石に大将軍の前で官軍の将がそれを肯定することは出来ない。
だか当の何進は名家や帝派の将軍と違い、官軍を絶対視してはいないので事実を指摘されたからと言って文句を言う気はなかった。
「ま、そんなわけだ。俺は皇甫嵩を休ませて、別の将帥を送るよう提案する。しかし名家や宦官共は新しい将帥が俺に近くなったら困るってんで、皇甫嵩を推すだろうな」
「……しかしそれでもしも皇甫嵩殿が勝てば、連中の企みは瓦解することになります。それなのに連中は彼を推すのですか?」
今の時点で何進が『確実に皇甫嵩が負ける(より正確に言えば戦略目的を達成できない)』と言うことを理解しているのは、軍事に明るい李儒が何進に戦の理を説明したからだ。
それらを知らずに官軍を絶対視する連中である名家や宦官どもからすれば『皇甫嵩が負ける』とは考えないのでは?
その場合、皇甫嵩が手柄を立てることが前提になってしまうので、彼を追い落とすと言う目的にはそぐわないはずだ。
「閣下。名家や宦官にしてみれば皇甫嵩殿が戦に勝とうが負けようがどうでも良いのですよ。彼を洛陽から引き離し、帝に讒言する隙さえ見つけてしまえば良いのですからね。そうすれば盧植殿のように嵌めることも出来ますからな」
「……なんとまぁ」
董卓が信じられんと言うように頭を振るが、洛陽から遠い涼州の乱を収めることよりも、洛陽内部での権力争いに終始するのが洛陽の連中のスタンダードだ。
また、皇甫嵩が戦に負けて取り返しがつかないほどの被害を受けたならば推薦した者にも類が及ぶが、廬植のように嵌める分には誰も巻き添えを受けることはない。
実際に廬植を推薦した李儒や、その上司である何進には何の被害も出ていないことが、それを証明している。
そう言う意味では、宦官も名家の連中も皇甫嵩の能力を信用していると言えよう。
……本人が喜ぶかどうかは別だが。
「とりあえずはそんなわけで俺たちは最初の遠征は失敗すると見ている。だからお前さんは奴さんの道案内をする程度で構わんよ。何かを聞かれたら、できるだけ皇甫嵩の考えとは違う意見を言ったりしてくれれば尚更良いだろうよ」
「彼に巻き込まれるのを回避するためですな。そして本番は二度目の遠征になるとお考えで?」
「そうだ」
何進は董卓の問いに頷き、李儒に先を促す。
「えぇそうなるでしょう。そして二度目の遠征には大将軍府から私が出ることになっておりますので、その際はよろしくお願いします」
「李儒殿が?!」
何進から告げられた内容を理解し、納得したところで李儒が爆弾発言をぶち込んで来た。
爆弾を投げつけられた董卓からすれば、李儒にはこのまま洛陽に留まり、今まで通りの完璧な後方支援をしてくれるだけでも十分過ぎるほどだと言うのに、何故ここで戦場に出ようとするのかが理解出来ない。
「董閣下の疑問はごもっともです。率直に言わせていただければ……お恥ずかしい話なのですが、いい加減私にも目に見えた武功が必要となりまして」
「目に見えた?……あぁ」
軍部の将帥達の間では既に李儒は一廉の人物なのだが、机上の戦や洛陽しか知らない名家や宦官連中は李儒の功績を理解出来ないのだろう。
「だな。大将軍の子飼いが戦を知らねぇって言われても困る。それにこいつが一緒に行けばお前さんたちだって補給やら面倒な事務仕事から解放されるんだ。悪い話じゃねーだろ?」
つまりは単純に、何進の腹心である李儒を出世させるために目に見えた武功が必要だ。と言うだけの話だ。
皇甫嵩が失敗した任務を何進の子飼いが達成する。
確かに武功としては十分だろう。それに董卓としても羌族らと戦うに当たって、洛陽との折衝と言う無駄な仕事は無いに越したことはない。
さらに彼がいれば万全の状態で軍を維持できると考えれば、董卓にも損はない。それどころか、何進が言うようにかなり助かると言っても過言ではない。
「確かにそうですな。では李儒殿、その際はよろしくお願い致す」
「はっ!閣下の足手まといとならぬよう、全力を尽くさせて頂きます」
この会談により、名家閥に所属していた董卓は何進の派閥に属することとなった。ただし、対外的には何進は董卓に敗戦の責を問い、その地位を剥奪したと言う記録しか残ってはいない。
その為、董卓は何進に対して隔意を抱いていると言うのが名家閥の認識であったと言う。
――――――
中平元年。8月。広宗での敗戦を理由に董卓は中郎将を解任され、河東へと配備されることとなった。それとほぼ同じころ、皇甫嵩が広宗に籠る黄巾賊の殲滅に成功。
そして彼が張角の遺体を発見し、それを衆目に晒すことで冀州黄巾はその勢いを失わせていく。
さらに南陽に向かった朱儁もまた、皇甫嵩の武功や洛陽の情勢を鑑みて無理をしてでも黄巾を滅ぼすべきと判断し、犠牲を省みずに一気呵成に攻め立てることで南陽に蔓延る賊の悉くを攻め滅ぼすことに成功したと言う。
中平元年 (184年)9月。張角の死と南陽解放の報を受け、朝廷は黄巾の乱の収束を宣言した。
しかし乱の首謀者が死んでも、彼らを武装蜂起へ駆り立てた元凶は何一つ失われてはいない。
此の度の乱は漢の統治に綻びを生み、民衆や地方領主の心中にある中央への不満と不信を煽り立てる形となった。
この乱で生まれた地方軍閥や賊の残党たち。漢の衰えを目の当たりにした異民族。燻る火種はこのまま消えるのか、それとも漢を焼き払う燎原の火となるのか。
腐敗しながらも続いた微睡みの時間は終わり、これより大陸に激動の時代が訪れる。
無理矢理一話に纏めたので、無駄に長くなっております。
とりあえず黄巾の乱はこれにて終了。曹操?孫堅?劉備?誰それ?
時代は朱儁と皇甫嵩のツートップ!ってお話。
……実際はもっと居ますよ?
呼び名を董卓閣下にするか董閣下にするか悩みましたが、なんか語呂が良いので董閣下にしてみました。
ザ・ワイルド系ヒロイン。流石はむせる漢の国、漢帝国ですな。
当然彼の背後で流れるBGMはGetwildです。