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人体エディット 2

 姉ちゃんから、バイトの依頼が入り、僕たちは会社の前に集まった。

 バイトの内容は、整形に使うユーザーインターフェースを試して、レビューをすると言うものだ。

 僕は実際に整形するつもりはないが、どんな風にイメージをイジれるのかは興味がある。



 会社の前で、ミサキがみんなに問いかける。


「ねえ、どうやって整形のイメージを作ると思う? ねんどみたいに顔を自由に変えられるのかしら?」


「たしか姉ちゃんはゲームを元に作ったって言ってたよ」


 僕が答えると、キングがやる気を出す。


「ゲームなら、慣れているから、そこそこ良いエディットが出来そうだぜ」


 いや、キングの容貌は、もうイジる場所が無いくらい、完璧だと思うのだが……


 僕らが雑談をしていると、バイトの開始時刻になったようだ。

 ロボットがやってきて、会社の中へと案内をされる。



 僕たちは、会社の中の会議室へと通された。部屋の中には姉ちゃんが居て、僕たちを出迎えてくれる。


「集まってくれてありがとうね。今日はみんなに整形のイメージを作り出すユーザーインターフェースを試してほしいの」


「姉ちゃん、今日はあくまでイメージを作るだけで、実際には整形はしないんだよね?」


 僕が念のため確認をする。本当に整形をしてしまうと、色々と問題になるだろう。


「そうよ。今日はあくまでユーザーインターフェースの確認だけだから。もちろん、作り出したいイメージに、整形したいというリクエストがあれば、実際に適応させる事も出来るけど……」



 変な事にならないように、僕がダメ押しで確認をする。


「たしか、日本政府から『写真での本人確認ができなくなるので、すぐに整形をするのは待ってくれ』と、発表があったよね」


「そうなのよ。だから、今日はイメージ作りまでしかできないわ。実際に整形ができるのは、後日(ごじつ)、日本政府が許可を出したらね。もちろん、イメージを作ったからといって、その姿に整形する必要は無いわ。整形するかしないかは、個人の判断になるわね」


「わかったよ。じゃあ、さっそくイメージを作ってみようか」


 十分に確認をしたので、僕は安心をする。勝手にイメージ通りに整形されたら、たまったものではない。



「どんな風に整形のイメージを作るんですか?」


 ミサキが姉ちゃんに聞くと、姉ちゃんはゲーム機のコントローラーを取り出した。


「見ながら説明した方が、分りやすいと思うわ『プレアデス・スクリーン、弟ちゃんのイメージを表示して』」


 姉ちゃんが言うと、僕の3Dの立体映像(ホログラム)が浮かび上がった。姉ちゃんは引き続き、こんな指示を出す。


「整形のシミュレーターを起動、動作タイプはケプコンの『モンスター・ハンティング』モード。はい、弟ちゃん、これでイジってみて」


 そう言って、ゲーム機のコンローラーを渡された。



 コントローラーを動かすと、僕のホログラムの横に、こんなメニューが出てくる。


『髪形』『顔』『目』『鼻』『口』


 試しに『口』を選択してみると、いくつもの『口』だけの画像が、僕のホログラムの横に現われた。それを見てキングが声を上げる。


「ゲームとまるで同じだな。このパーツの中から、好きなヤツを選べば良いのか」


 ヤン太が、ある『口』の画像を指さしながら言う。


「試しに変えてみようぜ。これなんか無難(ぶなん)だと思うんだけど、どうだ?」


「そうだね。悪くないと思うよ。じゃあ、変えてみるね」



 僕がコントローラーを操作すると、僕のホログラムの画像が変った。画像を見ながらミサキが感想を言う。


「パーツが入れ替わったけど、イメージはそんなに変らないわね」


「確かにそうだね。無難なヤツを選んだからかな?」


「口だからあまり印象が変らないんじゃない。鼻や目を入れ替えないとダメだと思うわ。ちょっとコントローラーを貸してよ」


 ミサキが手を出して来たので、僕はコントローラーを渡す。


「あんまり変なパーツを選ばないでよ」


「任せてよ。美人に仕上げてみせるわ」



「やっぱり顔の印象は、鼻で決まるハズだと思うのよ。これなんか良いんじゃない」


 ミサキは鼻のパーツを選ぶ。それは、鼻筋が通っていて、かなり高い、西洋人風の鼻だった。

 間違えなく美人の鼻のパーツなのだが、一般的な日本人の僕の顔に、やたらと高い鼻をつけても、違和感しかない。ミサキが首をかしげながら言う。


「あれ? おかしいわね。なんで良くならないのかしら?」



 すると、キングがアドバイスをする。


「目の周りの()りが浅いのが原因じゃないかな。もっと彫りの深いパーツを選ばないと」


「そうね。鼻に合わせると、この辺りかしら」


 ミサキが目のパーツを選ぶ。鼻に合わせて、西洋人風の目のくぼんだパーツを選ぶと、今度は顔の輪郭が浮いて見える。


「あれ、まだ何かおかしいわね? バランスが悪いわ」


「顔の形も変えた方がいいな」


「そうね、ここら辺がいいわよね」


「口も変えた方が良いな」


「これなんかどう?」


 ミサキとキングが僕の顔を調整していく。出来上がった画像は、とてもバランスの良い顔だったが、それはもはや別人だった。どこからどう見ても西洋人で、とても日本人には見えない。



 僕がミサキに文句を言う。


「もはや別人だよね。僕の元のパーツが残っていないし」


「いや、これ、調整が難しいのよ。リセットするから試しにやってみてよ」


「わかったよ。じゃあ、目から決めていこうかな」


 コントローラーが戻ってきたので、今度は僕が決めて行く。

 目は…… 彫りの深い、彫刻のようなパーツしかない。仕方がないので、それらの中から選ぶ。

 鼻も、目に合わせて選び、輪郭も…… そんな感じで選んで行くと、結局、ミサキが作ったのと同じ様なイメージが出来上がった。



「あれ? こんなはずじゃあ……」


 僕が弱々しくつぶやくと、ヤン太とジミ子が手を差し出してきた。


「ちょっと俺にかしてみてくれよ」


「私も試してみたいわ」


 二人が競うように言うと、姉ちゃんが人数分のコントローラーを取り出してきた。


「そんなに急がなくてもいいわよ、ここに全員分のコントローラーはあるから、それぞれイジってみましょう。それに、どうせだったら、自分の姿の方が良いでしょ。『ミサキちゃん、ヤン太くん、ジミ子ちゃん、キングくんの整形のシミュレーターを起動、動作タイプはモンスター・ハンティングのモードでお願い』」


 姉ちゃんが指示を出すと、全員分のホログラムが浮かび上がる。


「「「おおっ!」」」


 全員から思わず声があがった。


「それじゃあ、試してみましょうか」


 姉ちゃんからコントローラを渡されて、キャラクターメイクのようなイメージ作りが始まった。



 しばらくすると、全員分のイメージが出来上がる。顔のパーツを選ぶだけなので、そこまで時間はかからなかった。

 出来上がった顔は、全員がとても彫りの深い顔に仕上がっている。劇画調(げきがちょう)みたいな、ごりごりの濃い顔ばかりだ。


「な、何かイメージと違うわね……」


 ミサキが言うと、キングが答える。


「まあ、モンスターをハンティングするような世界の住人だからな。たくましい顔つきにもなるだろう」


「それはそうかもしれないけれど……」



 ミサキが戸惑っていると、ヤン太が姉ちゃんにこんな質問をする。


「顔はこれでも良いんですけど、身長とかはどう変えるんですか?」


 間髪(かんぱつ)を入れず、ジミ子もこんな質問を重ねる。


「そうです。バストとか、体型はどうやってイジるんですか?」


 姉ちゃんは申しわけなさそうに答える。


「ごめんね。このゲーム、体型に関してのエディットは無いから、そういった操作はできないのよ」


「ええー!」「そんなぁ」



 ヤン太とジミ子から不満の声があがる。一方、キングは冷静に受け止める。


「そう言えば、このゲームには無かったな。まあ別にイジれなくても良いんじゃないか」


「「良く無い!!」」


 ヤン太とジミ子が二人して強く否定をする。キングは二人の迫力に圧倒される


「お、おう。悪い」


「まあまあ、じゃあ次のシステムを試してみましょうか。次はスクウィア・エミックスのファイルナファンタジーを元にしたシステムで、これなら体型のエディットもあるわよ」


「はい!」「試してみましょう!」


 ヤン太とジミ子がやる気を出す。この二人にとっては、体型のエディットは最重要らしい。


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― 新着の感想 ―
[一言] 追い付いた 面白かった
[一言] リアルなら髪や目の色を変えるだけでも面白いと思いますね。
[良い点] ゲームを基にするなら エロ系統の奴はかなり自由度高い [気になる点] おっぱいの大きさはかなりむずいけど
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