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マッドネス・タクシー 1

 僕らがテストをした、ネンテンドーのマルオカートは、無事にリリースされた。

 この、実際のカートレースは、世間で話題になり、あっという間に人気のアトラクションとなる。

 姉ちゃんから聞いた話だと、夏休みという時期もあり、人混みがすごいらしい。レースに参加しようとすると、30分から1時間近く待たされるという話だ。


 この大人気のアトラクションに対抗心を燃やす企業があるらしい。

 僕らがジミ子の家でボードゲームで遊んでいると、姉ちゃんから電話がかかってきた。


「弟ちゃん、急な話で悪いんだけど、明日、みんなでゲームのテストプレイのバイトをお願い出来ないかな?」


「うん、ちょっと聞いてみるよ」


 みんなに確認をすると、OKが出た。レオ吉くんは休日出勤をしても良いらしい。まあ、ゲームのテストプレイという話なので、仕事と言うよりは、遊びの延長に近いだろう。



 僕は姉ちゃんに報告をする。


「全員OKだってさ。レオ吉くんも休日出勤しても構わないって」


「そう、ありがとうね。じゃあ、朝の10時に会社の前に集合でお願いね」


「うん、分った。ところで、今度はどんなゲームなの?」


「今度も車のゲームよ。『マッドネス・タクシー』っていうゲームなんだけど知ってる?」


「いや、僕はしらないけど、ちょっとまってね。キングは知っている?」


 キングに話を振ると、ちょっと興奮した様子で答える。


「もちろん知ってるぜ! タクシードライバーになって、乗客を運ぶドライブゲームだぜ」


 マルオカートは、大ジャンプや有り得ないアイテムなど、かなり非現実的なゲームだが、話を聞いた限りだと、こちらは現実的なゲームらしい。僕は、とりあえず姉ちゃんに伝える


「姉ちゃん、キングが知っていたよ。説明してもらって、なんとなく雰囲気は分った」


「そう。まあ、そのゲームなんで、明日はよろしくね」


 そう言って電話は切れた。



 姉ちゃんからの電話が切れると、僕たちは更に詳しい話をキングから聞き出す。


「『マッドネス・タクシー』について、もうちょっと詳しく教えてくれ」


 ヤン太が質問をすると、キングが丁寧(ていねい)に答える。


「アメリカの坂の多い街、サンフランシスコっぽい街のタクシードライバーになって、乗客を運んで乗車賃をを稼ぐゲームだ。宇宙人の作ったヤツだとどうなるか分らないが、元のゲームだと制限時間が決まっていて、時間内にできるだけ効率よく稼ぐドライブゲームだな」


 ミサキが感想を言う。


「ちょっと変わったゲームなのね」


「うーん、そうだな。普通のレースゲームとはだいぶ違うな。SAGEらしいゲームと言えばゲームだな」


 SAGEと言えば、古くからネンテンドーのライバル会社として、ゲームを作ってきた会社だ。

 ネンテンドーが子供や万人向けのゲームが多いのに対して、SAGEはちょっと変わった…… いや、かなり変わったゲームが多い。

 カードゲームと、ボードゲームのモソポリーを合わせたような、キャルドセプト。とにかくシーン毎に爆発をするダイナマイト探偵。気持ち悪い魚に話しかけるシーマソなど、とにかく印象に残るゲームばかりを開発している


 しかし、これらのゲームは話題にはなったものの、あまり売れなかったらしい。昔はハードウェアも作っていたが、今は辞めてしまった。確かに、気持ち悪い魚に話しかけるゲームなど、誰がやりたがると言うのだろう。



「タクシーのドライバーって、かなり現実的で地味なゲームだよね」


 僕がそうキングに言うと、こう答える。


「うーん、そこまで現実的では無いかな。道の(いた)る所に、タクシーを待ち受ける乗客が配置されているから、色々と都合良くお金も稼げるし」


 確かに、実際に街中でタクシーを待ち受けている人はかなり少ない。この点を現実的にすると、とても退屈なゲームになってしまうだろう。



 お金の話が出て来たので、ジミ子が横から質問をする。


「ゲームっぽくガンガンお金を稼げるの?」


「ああ、乗客は街に溢れているし、目的地はどれも近い場所ばかりだ。10分間で1万ドルとか稼げるぜ」


「1万ドル…… それって、100万円以上よね?」


「まあ、ゲームのスコアだからな、かなり滅茶苦茶な数字になってるぜ」


 ゲーム向けにバランス調整はされているみたいだが、やはりお客さんを運ぶだけの、タクシーの運転というのはとても地味に感じる。話を聞いている限りでは、あまり面白くなさそうだ。



 今度はレオ吉くんがキングに質問をする。


「タクシーのドライバーって話ですけど、それだと街のマップを覚えないとダメですよね?」


「ああ、ハイスコアとか狙うなら、街もマップと、客の配置と目的地を、ある程度は覚えないといけないな。ただ、乗客を乗せると、ナビケーションみたいに目的地への矢印はでるから、マップを覚えなくても、それなりにゲームは遊べるぜ」


「なるほど、ナビケーションシステム付きですか、それなら知らない街でもなんとかなりますね」


 大体、ゲームの概要が分ったので、僕たちは再びボードゲームを遊び始めた。車の運転はしたことがないが、カートの運転は問題が無かったので、なんとかなるだろう。


 この日はボードゲームで散々遊んで、解散をする。そして翌日になった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 説明は間違ってはいない [気になる点] まあマルオカートはゲームっぽい世界観があっているから 大人気になるのは分かる [一言] しかし夏休みながいな いいことだな
[一言] カルドセプトは名作。 シーマンは文中の意見そのまま買う気無かった。 気持ち悪い魚の良さが理解できない。 ダイナマイトは救出にきた二人を殺しあわせるクソドブスきっつ。 お前を殺していいか? …
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