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ボクモンGO 1

「うぉ、マジかよ」


 放課後、学校からいつものメェクドナルドゥに移動中、キングがスマフォをみて声を上げた。


「どうしたの?」


 僕がたずねると、キングはスマフォを見せながら、こう言った。


「いつもやってるゲームがサービス終了するらしい。確かに人が減ってたが……」


 ちょっと寂しそうに語る。

 ちなみにゲームのタイトルを聞いたが、全く聞いたことのない名前だった。



 メェクドナルドゥに着き、席に座るなりキングがため息をつく。


「はぁ、終わりかぁ~」


 そんな様子を見ながら、ジミ子は冷静に言う。


「丁度良い機会じゃないの、家でもゲームやってるんだし、スマフォのゲームは止めちゃえば」


「いやぁ、スマフォのゲームは、ゲーム専用機のゲームと違って良いところがあるんだぜ。簡単には止められないよ」


「じゃあ、どうするの?」


「他の探さないとな」


 そういってキングはゲームサイトの記事をチェックし始める。

 一通り、タイトルをチェックしたらしいが、好みのゲームは無かったようだ。


「うーん、気になるのが無いな。どうしようかな?」


 するとヤン太がこんなゲームを(すす)めてきた。


「ちょっと前に流行った『ボクモンGO』はどうだ? あの歩いて色々と集めるヤツ」


『ボクモンGO』とはネンテンドーの人気作品『僕とモンスター』をスマフォのゲームとして作り直したものだ。GPSを使い、実際に歩き回って、色々とゲームを進めていくらしい。

 一時期は社会現象とまで騒がれたが、最近はあまりニュースを聞かなくなってきた。



「『ボクモンGO』か、ちょっと面倒くさそうだな」


 キングが率直(そっちょく)な感想を言う。確かにゲームのアイテムを集める為に歩き回るのは面倒だろう。


 あまり乗り気でないキングにミサキがこんな事を言って薦める。


「でも、タダなんでしょ? 家でゲームをするより健康にも良さそうだし、試しに数日やってみて、ダメだったら止めれば?」


「うーん。まあ、それもそうだな。このジャンルのゲームはやったことがないし、手を出して見るか」


 そういってアプリをインストールして、ゲームを始めた。



 翌日の朝、キングがホームルーム開始ギリギリに駆け込んできた。肩で息をしていて、かなり急いでいた様子がうかがえる。


 ホームルームの連絡が済むと、通常通りに授業が始まり、やがて休み時間になる。

 僕らはいつもの席に集まると、ヤン太がキングに朝の出来事を聞く。


「遅刻しそうになるなんて珍しいな」


「ああ、ちょっと『ボクモンGO』で寄り道をしていたら、遅刻しそうになった」


「それならいつもよりちょっと早く家を出れば良いんじゃないの?」


 僕がそういうと、意外な答えが返ってくる。


「ちょっと早く出たんだが、その時間を使って、色々とアイテムを拾ってたら遅刻しそうになった」


 なるほど、早めに出たのに遅刻しかけたのか。これは以外と深刻な問題かもしれない。


「止めちゃえば」


 ミサキがそう言うが、キングは微妙な顔をして返事をする。


「うーん、もうちょっと続けてみるよ。朝は(ひか)えるけど」


「本当に大丈夫? ゲームだと夢中になって、何か失敗とかしない?」


 ジミ子が痛い点を着いてくる。確かにキングのゲームに対する集中力は凄い。周りが見えなくなって、なにかやらかしてしまうかもしれない。


「ま、まあ大丈夫だと思うぜ。」


 キングは、自信が無い返事をする。そんなキングを僕が少しだけフォローをする。


「まあ、本当に危なかったらゲームを止めれば良いんだし」


「そうだな。そうするよ」


 こうして『ボクモンGO』に重点の置かれた、キングの生活が始まった。

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