表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/567

動物ノ王国 1

 第16回目の改善政策が行なわれた日の放課後、僕らはメェクドナルドゥにいた。

 お気に入りのハンバーガーを片手に、今週の改善政策の話題をする。


「『動物ノ王国』って、すてきじゃない。色々な動物たちが仲良く暮らしてるんだわ」


 ミサキが目を輝かして言う。

 確かに、言葉だけみればメルヘンの世界だ。だが、現実はどうなのだろうか?


「姉ちゃんに詳しい話しを聞いてみる?」


 僕がそう言うと、


「お願いね」


 ミサキがすぐに返事を返す。

 僕はLnieで姉ちゃんに質問のメッセージを送った。



 動物ノ王国に関して僕らが知る情報は少ない。

 そこで話題が少し変わった。


「あの国王、どう思う?」


 ヤン太が僕らに意見を聞いてくる。


「そういえば、アプリでああいったデコレーション付ける人いるよね」


 ミサキがおそらく鼻と耳の事を指しているんだろう。だが、彼女のアレは自前だ。


「うーん、そうね。鼻をメイクで隠せば、ものすごい美人だったわね」


 ジミ子が第一印象を言う。たしかに写真だけ公開していれば、ミステリアスな美人として世間では話題になったかもしれない。ただ、あの挨拶の映像が出てしまった後では、色々と無理だろう。



 女性陣が容姿の事ばかり言っていると、ヤン太がしびれを切らして、こう言ってきた。


「違うよ、彼女はライオンだぜ、俺の言いたいことは、彼女がどれだけ強いってことだよ」


 どうやらヤン太はライオンとしての強さに()かれたようだ。


LION(ライオン)と言えば強キャラだな。主人公としても様々な作品に出てるぜ」


 キングがゲームに例えて言う。

 確かに言われれば、顔がライオンのキャラがいくつか思い浮かんだ。


「体も一回り大きかったし、確かに強いかもね」


 僕がそういうと、ヤン太が興奮気味に言う。


「絶対に強いぜアレは。きっと力ねじ伏せて『動物ノ王国』を治めているんだ!」


 メルヘンだった『動物ノ王国』が、ヤン太の一言でバイオレンスな世界に変わった。

 もう、血で血を洗う修羅の国しか思い浮かばない。他の動物を殴り倒して、踏み台にして、勝利のポーズをとっている国王の図が頭に浮かんだ。



 するとジミ子から突っ込みが入る。


「いやいや、国会のような議会で決めるって言ってたじゃない」


 そう言われて、僕も政策改善の発表を思い出した。


「そういえば国王は国の象徴のような存在って言ってたね。

 それに、国王の人…… 『レオ(きち)くん』だっけ? 良い人そうだったから争いは起こらないかもね」


 僕がそう言うと、ヤン太ががっかりしながら言う。


「……それだとちょっとつまらないな」


 意外と宇宙人は現実的だ、おそらく普通の国家と大差ない国を築いた可能性が高い。暴力は排除されているだろう。



 ジミ子がコーヒーを飲みながら、鋭い考察をする。


「そういえば『レオ(きち)』って日本の動物園にいそうな名前じゃない? 日本の出身なのかな?」


「じゃあちょっと調べて見るぜ」


 キングがスマフォですぐに調べる。


 すると、こんな見出しの記事が見つかった。


東腐動物公園とうふどうぶつこうえんのライオン、ペット進化薬で撃たれる』


 記事の内容を覗いてみると、いたずらでペットの進化薬をライオンに打ち込んだ愚かな人が居たらしい。

 犯人は捕まって処罰を受けたらしいが、困った事にペットの猫用の進化薬で、撃たれたライオンの知能が進化してしまったらしい。

 このライオンは宇宙人に引き取られる事となるが、そのライオンの名前が『レオ吉』だった。

 あの国王は、このライオンと見て間違いないだろう。



「こんなライオンがいたんだ」


 ミサキがそう言うと、ジミ子が何か思い出したようだ。


「そうそう、そう言えば、この犯人はアニメの『けだものフレェンズ』のファンだったみたいで、アニメの世界を現実化しようとしたみたい。けだものの女の子と喋りたかったらしいわ」


「でも『レオ吉』って名前はオスだろ?」


 ヤン太がもっともな指摘をする。


「犯人は馬鹿だったみたいね」


 ジミ子が犯人を切り捨てる。


「オスとメスの区別がつかなかったんじゃないかな」


 ミサキはそれっぽい理由を導き出すが、僕がその間違いを指摘する。


「ライオンの大人はたてがみがあるから分かると思うよ」


「……そうね、それだと直ぐに分かるわね」


 ミサキも自分の間違いに気がついたようだ。


 そんな会話をしていたら、姉ちゃんから連絡が入ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ